江草 乗の言いたい放題
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2003年08月23日(土) 「火垂るの墓」は上映禁止作品にすべきである        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

毎年夏になると必ず一度はどこかのテレビ局が映画「火垂るの墓」を再放送する。この作品が第二次大戦の悲劇を伝えるきわめてすぐれた作品であることにオレは何の異存もない。一人でも多くの人に見てもらいたい作品だと思うし、できればアメリカ人にこそ見てほしいと思っている。市民を無差別に空襲し、虐殺したことを「戦争を早く終わらせるために必要だった」と信じているすべてのアメリカ人に「火垂るの墓」を見せて、「このような悲劇もやはり必要だったのか」と問いかけたいのである。

だが、オレ自身はもうこの映画を繰り返し見たくはないのである。見るたびに涙が溢れてしまうこの作品を見るのは生涯一度でいい。誰だって、自分の肉親を失うその痛みの瞬間を繰り返して味わいたいとは思わないだろう。オレにとって「火垂るの墓」を見ることは、見れば必ず生じる痛みと向き合うことであり、できればその痛みの記憶は思い出したくないのだ。あのような悲劇が実際に起きていたということにオレは耐えられなくなるのだ。そして、多くの人がおそらく自分と同じ思いを共有しているだろうことを信じる。

「あんな悲しい映画は(二度と)見たくない」と思ってしまった人が、その映像から思わずチャンネルを切り替えてしまったとしても、それは反戦意識の欠如でも平和を愛していないことでもない。痛みの重さに耐えられないからであると言いたいのである。

飢えることなど一度も体験したことがなく、明日も明後日も自分が生きていることは当たり前である飽食の時代を生きる子供たちにとって、「火垂るの墓」という作品はどのように受け止められるのであろうか。そのような愚かな戦争を起こした為政者への怒りなのか。悲劇に押しつぶされる弱い存在への哀れみや同情でしかないのか。全く別世界の非現実なのか。

ほんの数十年前に、たまたまその時代に生まれてきたというだけで、人間らしく生きる権利も夢も奪われて死んでいかなければならなかった多くの魂があったという事実をせめて知っていて欲しいとオレは切に願うのである。そういう観点に立てば「火垂るの墓」はテレビで流す映画には全くふさわしくない。学校教育の中にでも組み込んで一度だけ真剣に見ればいい。

 毎年夏休みに同じ映画をやるんなら、「となりのトトロ」でもやってくれ。だったら何度でも見るぜ。


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