2003年08月22日(金) |
この世で一番恐ろしい駐車場の話 |
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オレは最寄り駅の駅ビルにある駐車場をよく利用する。そこは1時間以内なら無料である。駅周辺には銀行も郵便局も本屋もマクドもあるのでたいへん重宝している、唯一の欠点はその駐車場がわりと混雑することと、一台あたりのスペースに余裕がなく、場所によっては入れにくいということである。
その日もオレはいつものように左右に高級車が停まっているところを選んで自分のクルマを入れた。こすられたくなかったら、高級車の隣に置け!これは駐車場利用の鉄則である。さて、駅ビルへの連絡通路に向かおうとしたオレは、ガガッという不吉な音に立ち止まった。クルマが壁をこする音であった。通路の突き当たりの壁際に、よりによって頭から突っ込んで停めているカローラがあった。そのカローラが出ようとしているのである。左を壁に接したそのカローラを運転するそのご婦人は、ハンドルを右に切ってバックすればクルマの左側は外に膨らんでいくという初歩的なことをご存じなかったようで、大きな音をたてて壁を削り取って急停車したのである。オレは気になって遠くからしばらく見ていた。
クルマを元の位置に戻したそのご婦人は、今度は何を思ったのかハンドルを逆に切ってから出ようとしたのである。グシュ今度は右隣のクルマが接触して揺れた。ああ、最悪の事態である。もしもクルマを動かす前なら、お節介なオレはクルマを代わりに運転して安全な所まで移動させることをいとも簡単に行っただろう。だが、もう完全に手遅れだ。今更どうなるものでもない。
しかし、一度傷物になると人間というのは気が大きくなるのだろうか。そのご婦人は、左側の壁と右側のクルマの価値を心の中で比較したのか、クルマをもう一度元の位置に戻し、もう一度派手にガガガガガッと壁をこすりながら颯爽とクルマを出したのである。そして、自分がぶつけた右側のクルマには目もくれずそのまま走り去ったのである。おそらく当て逃げするだろうとオレは思っていたので、オレは逃げていくご婦人のカローラのナンバーをその場で記憶し、カバンの中からメモ用紙を出してそこに書き付け、被害に遭われたクルマのワイパーのところにそのメモを挟んだ。「当て逃げしたクルマのナンバーです」そのあとどうなったか、オレは知らない。
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