paranoia kiss
    

10年ほど前、よく行った海が画面に映っていた。
背の低かった彼が運転する車は、
無人のスポーツカーと呼ばれるほど、
運転席には誰もいないように見えた。

そんな彼と海の向かい側にある
カフェバーでよく飲んだ。
そして、防波堤に座って
コーヒー、タバコ、読書。
気侭な時間だった。

純銀のジッポを教えてくれたのは彼で、
レディースサイズのそれは、
自分の手には小さすぎた。

イニシャルを入れてもらった。

以来、純銀のそれを贈り物にするようになった。

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君に送ったライターは未だタンスの上。
陽の目をみることはあるんだろうか。

今でもこっそりとオイルを補充する。

2007年11月26日(月)



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