気まぐれ日記
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2008年08月06日(水) 広島の原爆の日に思う

原爆の日は今年で63回目を迎える。6日が広島、9日が長崎、核兵器廃絶と平和を願う思いを新たにし、祈りの言葉を全世界に発信する日だ。
現状は決して楽観視できない。イラン・北朝鮮の核問題、残念ながら核の拡散には、歯止めがかかっていない。
地球上には今も2万6000発の核弾頭があると考えられる。だが希望の動きが無い訳ではない。今年1月、キッシンジャー元国務長官をはじめとする米政府の元高官ら4人が、米紙に(核の無い世界を目指して)と題する論文を連名で寄稿した。核の拡散により核兵器が(危険な手)に落ちる可能性が高くなったと警告し、たとえ困難であっても(核ゼロ)を展望して国際社会が歩みだすよう呼びかける内容だ。

これに呼応する内容の論文が英紙に載った。今度は英国の元外相ら4人が連名で大幅な核兵器削減を訴え,まずは核大国である米ロ2カ国が交渉を開始するよう求めた。2つの論文に共通しているのは、冷戦時代の核抑止論はもはや有効ではないとの冷厳な認識だ、核の保有は国家の安全を保障せず、逆に危機を高める。そうであれば核軍縮こそが,現実的な選択肢となる。

2010年には核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が開かれる。核保有国5カ国に対し、真剣な軍縮交渉を迫っていく機会となる。そこへ向け、今一度、国際世論を喚起していく必要があろう。

被爆国・日本の役割は重要だ。包括的核実験禁止条約(CTBT)の1日もはやい発効を働きかけるのは当然だ。インドの核保有を容認することになりかねない米印原子力協力協定には反対を表明し、両国に見直しを要求するべきだ。北朝鮮の核放棄を目指す6カ国協議の進展にも勤めねばなるまい。

頂上は遠く、険しい。だが目標へと導く道はあるはずだ。今年5月、非人道兵器であるクラスター弾の禁止条約案が国際会議で採択された。9年前に発効した対人地雷禁止条約と同様に国際非政府組織(NGO)と中堅国が主導し、国際世論を背景に実現へこぎつけた。

日本のNGO幹部は(やれることからやる)のが困難を克服する秘訣だったと振り返っている。核絶滅への道も、しっかりとゴールを見据え、身近で可能なところから着実に一歩を重ねていきたい。

資料道新2008年8月6日(社説)より


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