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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2005年08月01日(月)
試合前

 
 ある日、夏の地方予選を見に行った。平日だったためか、観客は多くなく、ネット裏最上段のほぼ正面という快適な席に座ることができた。

 第一試合が始まってまもなく。私はおそろいの帽子をかぶった保護者たちに囲まれてしまった。後ろの通路には試合開始を待つ部員たちとマネージャー。マネージャーが部員一人一人にお守りを渡していた。すぐ胸の中にしまった子もいれば、しばらくいじりながら見ていた子、そして胸にしまうことなく無造作にぶら下げてる子…いろいろいた。

 試合は、盛り上がっていた。周りの保護者達は、自分の息子と重なってしまうのか、歓声を上げて試合を楽しんでいた。一方の選手達は、私すぐ後ろにあるスロープに手をつき、前傾姿勢で試合を見ていた。中にはストレッチをしている子もいた。背番号のある子もそうでない子もいっしょくた。ときどき、私の背中に膝が当たった。それくらい近い距離いた。彼らは冷静にゲームを分析し、ミスが出たら「同じことしたらあかんで」と皆で確認をしていた。

 試合が中盤に入った。ベンチ入りする選手は下(おそらくベンチ裏にある通路か何かロビーみたいな場所かと思われる)で待機。ぐっと人数が減り、周りは静かになった。しばらくは後ろに気を遣うことなく観戦していたが、7回くらいか、ふと見ると、背番号のついた選手が一人いる。どうしたん?みんな、もう中で待機してんのに。私はてっきり彼がどこかに行っていて、中に入る指示を聞き損ねたのかと思った。」ところが、彼は背番号のない後輩らしき部員とこんなやりとりをしていた。

 「どうしたんスか?もう下行っとかなあかんのとちゃますの?」
 「緊張して、いてられへんわ」
 「緊張してるんスか」
 「実際行ってみたらわかるわ。めちゃ緊張するで」

 一桁背番号をつけた彼は落ち着きなくウロウロしていた。すると、後輩の一人が。

 「僕らも下行っていいスか?笑わせましょか?」「笑わせましょか?」。

 残念ながら先輩がどう答えたのかはわからなかった。でも、なんて可愛らしい後輩ちゃん。こんな言葉が出るチームには、いい上下関係があるんだと信じたいな。