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| 2004年05月29日(土) ■ |
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| 八百屋のおっちゃん |
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近い内に民俗博物館入りするであろう“八百屋さん”というものが近所にある。気さくな年輩の夫婦が経営している。姉さん女房で、おっちゃんはごぼうのことをごんぼという。ここには、いわゆる“人情味”が存在している。旅行のおみやげをもらったり、お中元をもらったり、アルバイもさせてもらったり(時給を決めるときに、「他の子はいくらもらってるんや?」と訊かれたので、「800円」と答えると、「じゃ、うちは850円や」と言ってくれた。思えばバブルの晩年だった)小さいころは母の買い物についていくと、プリンやおかしやらをもらっていた。そして、未だに消費税は取らない。
今ではほとんど足を運ぶことはなくなったが、通勤の通り道なので、店の前におっちゃんがいると挨拶はする。私は人見知りする方で、近所の人への挨拶得意ではないが、このおっちゃんだけは例外だ。幼いころからのかかりつけのお医者さんには平然と胸を見せれるのと同じノリかもしれない。
「こんにちは」、「お、まいど」。普段はそんなやりとりで終わってしまうのだけど、ときどき妙な余白があって、挨拶以外に話をしなきゃいけない雰囲気になる。そんなとき、おっちゃんは、たいていこう言う。「お、甲子園行ってきたんか?」。それもたいてい数日前には甲子園に行っているので、母が話しているのだと思っていた。今日もそんな感じの挨拶をしたのだ、夕飯時に母にそのことを話した。すると、母は「そんなん、しゃべってへんよ」という。元々、家のことをべらべら話す人ではない。強いて言えば、10年ほど前、八百屋さんの常連客から(高校野球選手権の)甲子園のチケットを譲ってもらった際に、仲介してもらっていたのがおっちゃんだった。ようはするに、おっちゃんの中で私は10年前で止まっているのだ。でも、「甲子園、行ってきたんか?」のタイミングのよさは、やっぱり不思議でならない。
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