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| 2004年03月18日(木) ■ |
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| ある日、正座の少年。 |
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大量点を取られたピッチャーは、自チームのダグアウトに戻るとその場で正座した。決まり切った儀式のような、前からここでこうすることを知っていたような感じだった。それほど自然でスムーズな動作だった。
すぐ正面には指導者が座っていて、彼に話をしているようだが、その声が聞こえなかった。それは、試合展開からして、指導者は真っ赤な顔をして怒鳴っていて、正座の選手は縮こまりそうになりながらも、「はいっ」と返事するといった光景が展開されるのかと思っていた私を見事に裏切った。
ほどなく、他の選手の彼を囲むようにした集まったが、正座をしていなかった。相手チームの守備交代を告げにダグアウトにやってきた主審は、当惑の表情を浮かべていた。そして、すぐまた彼一人が取り残された。彼は、微動だにせず、まっすぐ指導者を見ていた。でも、そこに硬さや威圧されているといった様子はなかった。返事を求められていないからか、彼の口から「はいっ」と言う声は聞かれず、それでもその表情で真剣に話を聞いているのがわかった。
私はそんな彼の姿をじっと見ていた。大量点を取られ、正座をし、指導者の話を神妙に聞いている。普段は、見てはいけないものを見てしまったと目線をそらしてしまうのだけど、今回はそこに悲壮感を見つけることはできなかった。
彼は素直な子なのかもしれない。そう思って見ていたが、長い話が終わって、指導者の元を去る彼の仕草は、それまでと比べて雑な感じがした。彼は次の回も登板した。失点は前の半分以下の4点に減ったが、結果は大量20点を取られ、練習試合としては異例の5回コールドゲームとなった。
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