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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2004年03月16日(火)
ジジイ


 ちょっと野球に力を入れている高校なら、たいていいるOB。全員が全員ではないけど、“ジジイ”と呼ばずにはいられないタイプが少なからずいる。ネット裏最前列というベストポジションに陣取り、会話の大半が文句か自慢話。ときどき、フェンスの向こうにいる選手にむかって、ああやこうやと指示を出したりする。私個人、あまりいい印象はないのだが、こんな出来事があった。

 その日は、下級生を中心とした準レギュラーチームの練習試合が行われた。平日夕方からのシングル。ギャラリーもいつも以上に少ない。仕事でたまたま近くにいた父兄さん2人と私とジジイ軍団2人。“なんで、ここまで来るの?レギュラーチームの選手にすらいっつも文句ばっかり言ってるのに、ストレスたまるだけちゃうの?”と向こうのベンチに腰掛けていたジジイたちに心の中で毒気ついた。

 試合はすっちゃかめっちゃかだった。大量リードしたはずが、最終回にピッチャーが打ち込まれ、その上、雨が降ってきた。父兄さんはとうに姿を消していて、ジジイ軍団の一人も帰った。ギャラリー席には私とジジイ1人の2人が残っていた。こんなグダグダな試合、他に話す相手がいないからだろうけど、大人しく見ているジジイに、私は“やるやんけ”という不思議な感情を抱いていた。雨粒でスコアシートが濡れていて、どんどん記録が録りづらくなる。それでも、ジジイに負けてられないと最後までゲームを見届けた。

 試合後、雨が止んだ。
 ジジイは静かにグランドに背を向けた。その後ろ姿を見て、“なんやかんや言って、この人も野球が好きなんだな。母校のこと、愛していて、心配してるんだな”そう思うと、今まで抱いていたジジイ拒絶の感情が雪解けするような気がした。

 ところが、である。
 グランド側にある川沿いを歩いていたジジイは、おもむろにズボンのチャックの下ろし、男性のシンボルを惜しげもなく放りだし、放尿した。川に向かって掛けられた黄ばんだアーチを見てしまった。うげっ。やっぱり、ジジイや。一瞬予感した雪解けは幻の産物となった。でも、それでいい。