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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2004年02月21日(土)
♪人は悲しいくらい忘れてゆく生き物〜


 私の愛読書の一つに、小泉吉宏さんの“シッタカブッタ”シリーズがある。これは、かわいらしいブタが登場する4コママンガで、佛教の教えがベースになっている。この本との出会いは、大学4回のとき。教育実習(※学生時代の専攻が佛教だったため、宗教の教員免許を取りました)で担当教官が授業で使っていた。いっぺんにはまってしまって、以来シリーズはすべて購入している。しばらくご無沙汰だったのが、先日、本屋で新刊を見つけ、即買い。その名も、『ブタのいいところ』(メディアファクトリー)。

 印象に残ったのは、『理想の自分は自分を攻撃してくる』『他人の賞賛を支えに生きているブタは奴隷になっていく』『赤ちゃんは“ボク”とか“私”とか言わない』『他と比べて得た自信など偽りだ』『幸せを目指すならその道のりも幸せでいたいよね』etc。こうして、活字だけで書くと能書きくさいのだけど、マンガだと素直に納得できるから不思議だ。数年前に読んでわかったつもりでいたのに、また衝撃が走るのは、やはり知ってるだけで、わかっていなかったという証拠。あるいは、忘れてしまったという証拠。

 私は自分で記憶力がある方だと思ってたけど、最近そうでもないなあと思う。ミスチルの歌詞で、♪人は悲しいくらい忘れてゆく生き物〜とあるけど、本当にその通りだと思う。

 2年前秋、近畿大会を見に行ったときに、天理高校の1年生ピッチャーがいいなと思ったので、当時掲示板か日記でそのことを書いた。“いい投手です。注目してます”みたいなことを。ところが。今夏、天理高校が甲子園に出た。ネット友からメールが来た。「天理高校が出ますね。あるこさん注目のあのピッチャーですよ」。はて、天理高校なんて見てたっけ?すっかり忘れてたんです。それを知った彼女は、別にネット友と、「あるこさんって天然?」とか言い合ってたとかなかったとか…。それ以来、注目選手とかを書くのは怖い。書かれた選手にも失礼だしね。未来なんてわからない、それは選手の将来にも、自分の気持ちにもいえること。でも、少なくともそのときはいい選手だと思った、心にひっかかるものがあった。そういうことにしている。

 そうそう、野球選手の薦めで読んだ本がある。週刊ベースボールでは、毎回テーマに沿って選手の話を聞くコーナーがあるのだが、その号では本をテーマにしていた。当時ダイエーにいた佐久本選手のお薦めが、三浦綾子さんの『氷点』。人を許すことはどういうことかがテーマになった現代文学本。滅多に文学作品を読まない私が珍しく書店に走った。なかなか面白かった。そういや、その作品の中にも、♪人は悲しいくらい忘れてゆく生き物〜を思わせるシーンがあった。船の遭難事故で奇跡的に助かった父親は、そのとき、命があるだけでありがたい、いろんなことを許していこうと心に決めるが、いざ日常に戻ると、そういう気持ちが段々薄らいでいたことに気付くといったもの。物語の中枢ではないが、一番印象に残っている。