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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2001年08月09日(木)
嗚呼、冷凍みかんに浪漫あり。


 せっかくだからと、夏の祭典・高校野球を見に行くことにした。

 最後に甲子園大会を球場で観戦したのは、20歳のときだから、今からもう6年も前のこと。規定や環境が毎年めまぐるしく変わる高校野球のことだから、球場の雰囲気もさぞ変わっていることだろうと思っていた。

 しかし、久しぶりの外野席に腰掛けると、そこは時の流れを忘れる光景があった。寝転がって試合を見ているおじさん、ちょろちょろする子供、黄色い上着のアルバイトの売り子たち…。

 売っているものも大きく変わらない。かちわりに、シャーベットに、缶ビール…。そして、忘れてはならないのが、冷凍みかんだ。

 個人的には「誰が食べんねん」と思うだが、冷凍みかんは根強く売られている。
ビニール袋に並サイズのみかんが5個。

 たまたま隣り合わせた見知らぬ家族連れのおばちゃんやおっちゃんから、「良かったら、食べる?」と言われて、1つ2つ戴いたといったエピソードを持っているひとは、少なくないと思う。私もその一人だ。

 また、そこから会話が弾むこともある。アルプススタンドあたりだと、応援しているチームも同じなので、意気投合の度合いも違う。今では、そうそうお目にかかれない「ふれあい」というヤツがそこにはある。

 業者が一体何を根拠に5個を1セットとして売り出したかは、分からない。本当なら、2,3個で売ってもいいはずだ。

 5個というのは、微妙な数字だ。

 冷凍みかんの魅力は、冷たい上にその自然な甘さだ。あと値段が300円くらいなので、下手に冷菓類を人数分買うより、安くついたりする。

 家族単位や連れ合って買う場合、5個というのは、たいてい余分が出る数字だ。そこで、残りを側にいる人にあげるという行為が生まれる。

 明確なコミュニケーションが出来ずとも、もらった側は「そういえば、あのとき、冷凍みかん、もらったな。おいしかったなあ」と夏が来るたびに思い出すだろう。それは決してマイナスのものではないだずだ。

 冷凍みかんは、硬い上、皮を剥かねばならないため、食べるのは面倒な代物だ。
しかし、ただ喉を潤し、胃袋も満たすだけではなく、心まで満たされるように配慮された意味ある果実だ。

 霜に包まれたオレンジ色の球体には、甘い果実と浪漫が詰まっている。