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2001年01月09日(火) ■ |
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追っかけ姉ちゃんの応援回顧録 「応援スタンドに乱入」 |
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高校野球部や特定選手を応援していると、チームの勝利やその選手の活躍以外の願い事が出てくる。たとえば、サインだったり、ツーショット写真だったり、電話番号の交換だったり、メールのやりとりだったり…。じゃあ、私もそうだったかというと実はそうではなかった。私のただ一つの願いは、水をかけてもらうことだった。
“水をかける”。1992年の東山高校応援団は、試合で勝ったあとはえらい大騒ぎで、思いあまって、水をかけあうことがあった。その日の試合もすごくエキサイティングで、私もともきちもすっかり興奮しきっていた。気付いたら制服姿のまま、応援団の群れに乱入。わけわからないままにわいわい騒いでいた。選手の中には、私たちにハイタッチをして応じてくれる人もいた。
そんななか、水を掛け合う選手たちがいたのだ。私は興奮状態の中にありながら、「うわ、いいなあ」とその光景に憧れた。すると、選手だか若いOBだかが、横で騒いでいるともきちに水をかけた。ともきちは、びっくりしてたけど、嬉しそう。かけた相手は、ちょっとやりすぎたかなあと申し訳なさそうにしていたけど、当のともきちは一向に気にする素振りはなかった。
いいなあ、私も水かぶりたい。そう思った。でも、「私もかけてください」なんて恥ずかしくてよう言わんし、それにそういうことは自分の意志に関係なくされなければ意味がないように思えた。水をかぶるという選手と同じことをすることで、応援団の一員になりたかったのかもしれない。
後に、他のファンの女の子から「何、あの子ら」みたいな陰口を叩かれていることを人づてで聞いた。不思議なことに、全然気にならなかった。熱い日に熱いスタンドにいると、暑さを忘れるものなんだという不思議な体験は何にも代え難い。
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