午後2時くらいにヤツが駅に来る。 俺はそれをバイクで迎えに行く。
駅前のスペースにバイクを止めてたら、 同い年くらいの男がマーク��(車名)に乗って、 横につける。
彼女を待っているのだろうか?
俺は考える。
もう外は寒い。 17度。
そんな中、俺は彼女をバイクで迎えに行く。 ちょっと、俺車が欲しいと思う。
バイクに乗り、降りたときの彼女の赤い鼻を見ると、
早く暖めてあげたいと思う。
彼女は「ええよ」と言うてくれる。 実際そう思ってると思う。 だけど、俺は何か自分を情けなく思って「しまう」
俺はバイクが好きだ。好きで好きで仕方ない。 だけど、彼女にも好きになってほしい。
だから、そんな乗り方をしたい。 それができていない。
雨の日には彼女をぬらしてしまう。
辛いこと全てを払いのけていけばいいのか。 彼女が辛く思うことを亡くせばいいのか。
そうではないの。 高校生にはバイクすらとても大きな価値に思えるだろう。
だけどね、俺の心の俺にさえどうでもいい部分が働いて、 悪いなぁと思う。
家の近くのビデオ屋で映画を借りて、 近くのコンビニでお菓子とジュースを買って、家に帰る。
ジンジャエールを買ったつもりが、 なっちゃんを買ってしまった。
なんで?
二人で笑った。
二人で「黄泉がえり」を見る。 つまらないと思う。
部屋に古くて使わなくなった小さなテレビを持ち込み、 DVDプレーヤーを親父の部屋から拝借して部屋に運び、 二人で見る。
幸せな時間。
彼女は俺から離れるのが嫌みたいで、 すぐに近寄ってくる。
俺は困る。
だって、映画見てるのに、エッチな気持ちになるから。
嫌じゃない。俺だってくっつきたい。 だけど、そういう当たり前な気持ちがどうしても生まれる。
でも、同時に、拾ってきた子犬のような、 愛らしい、必然的な愛しさが頭にめぐって、
抱きしめる。 セックスとかじゃない。 当たり前なのだ。
彼女の柔らかい黒い髪をなでる。 満足そうな彼女。
お菓子に買ってきたカールとポテトチップをポリポリと、 映画を見る。
やっぱりつまらない。
彼女が、愛しくてたまらない。 もう9ヶ月も経ったのに、 この気持ちは日に日に増していく。
体の中に取り込みたくなる。 一つになりたいと、心から願う。
オロナミンCの上戸彩みたいに、 背中にしばりつけたくなる。
バイクに乗ってても、 僕の気を惹こうと、ヘルメットを叩く。 肩を揉む。
苦手な横っぱらをツンツンしてくる。
「やめなさい」
というと、ニコッと笑う。
ああ幸せってこういうことだって思う。
前歯が少し大きなキミ。 笑うと大福みたいにほっぺたが柔らかくなるキミ。
悲しいと唇が前に出るキミ。
上目遣いにすると、髪の毛で目が見えなくなるほど、 伸びた、まっすぐな黒髪。
「今日の服可愛い?」
って、クルッと笑顔で廻る君。
なんつうか、惚れてるんだなぁ。僕はキミに。
どうあがいても、きっとそうなんだ。 いなくなったら僕寂しいし、悲しいんだ。
寂しいって寄ってくるキミを 抱きしめる僕は、 実は僕は抱きしめられているんだ。
キミの素直な心に温かさを感じているんだ。
恋してたあの頃。 毎日のようにキナコへの思いを書いていたあの頃。
本当に好きで、だけど気持ちが通じているのかそうじゃないのか 全く分からずに、だけど、どうしても好きだったあの頃。
気持ちは変わっていくけれど、 あの頃感じた愛しさは、何も変わっちゃいない。
僕は「失う悲しさ」を知っている。
「裏切られた辛さ」を知っている。
一緒にいたものが無くなった虚無を知っている。
だから、キミといて、時々悲しくなるの。
キミも僕の前から消えちゃうの?
キミは僕に言ったよね。
僕が 「どんな人が好き?」
「ずっと一緒にいてくれる人」
僕はキミが僕を好ける男になりたいし、 そうありつづける僕でありたい。
弱い僕も好きとキミは言った。
僕の意地も、すねた時も、
キミはずっとその小さな体で受け止めてくれた。
抱えきれそうもない思いを、 キミはギリギリのラインでいつもしっかり受け止めてくれた。
よかった。 本当に。よかったよ。
失う辛さを僕はまた越えられたようだよ。
ありがとうね。 キミが寂しいって言ってくれるから、 僕もホントに寂しいんだ。
ここにいる、この人が好きだって
心から確信できるんだ。
僕はもっともっとカッコよくなるから。 ええ男になってやるから。
言葉にならないほどの想いは、 ちゃんとキミに伝わっているかな。
一人になって、寂しいって気持ちが 理解できないほど、
僕はキミが好きなんだな。
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