2005年01月03日(月) カッコいい俺の親父を世界に自慢したい。


おかんがいつもよりよく喋る。

昼頃起きて、
コタツに入ると、
おかんが妙に話し掛けてくる。

いつもあまり話さねぇくせに。


何か違うな。そう思って、話を聞いてると、
話始めて20分くらいたって
やっと口を聞いた。
サラッと。

「おばあちゃんがな、倒れたらしい」

サラッと言った。
この「おばあちゃん」ってのはおかんのおかんだ。
つまり実の母なわけだ。
おかんや俺が住んでるのは三重県。
おかんや俺の生まれは熊本。
約900kmも離れてる。

おかんはサラッと言った。
だけど、繰り返して同じ話をしないおかんが、
軽く笑いながら話してる。

きっと心配でいてもたってもいられないんだ。

ええんか?

と聞くと、

大丈夫やろ

と、ケロッと答える。
気丈にふるまってる。

そんな不安そうな母親が愛しくてたまらない。
俺も普通にあつかったけど、
お互い心は同じだった。

熊本に行かなくていいのか?

行くわけないやん。
大丈夫やって。

確かに電話で大丈夫ということは聞いていたらしい。
だけどおかんはボソッと言った。

声が、かなり疲れてたけど、
心配させないようにできるだけ元気に声だしてる
って感じの声だったと。

どうしてこうも俺の家系ってやつは
馬鹿が多いんだ!
だけど、そんな家系を俺は愛してやまないぜ。

9月に九州に行った時のおばあちゃんは元気だった。
相変らず痩せてるけど、とっても温かい手と
温かい人だった。
僕の後輩を一緒に連れていったにも関わらず、
俺の後輩に、
「第二の家ができたと思いなっせ」
と優しく言った。
後輩は本当に嬉しそうだった。

おかんはきっと心配だ。
こんな口数が多いはずがない。

親父には言ったんだろうか。
どうせ黙ってるんだろうなと思っていた。


僕は夜はバイトだった。
20時から1時までのバイト。

バイト仲間と談笑してると、
親父が店にやってきた。

またビデオでも借りに来たのかと思ったら、

「お前返ったら伊勢神宮行くぞ」

と言った。

は?
なんで?

「おばあちゃんのこと聞いただろ」

ああ、うん。

「お守りを買いに行こう。」

そっか・・・。分かった。
できるだけ早く帰るわ。

「九州へ行くって言うたら、
 お母さん(俺の母さんって意味ね)に怒られたからな」

ええやん。九州までいこや。

「お母さん(おばあちゃんって意味ね)が心配されるってさ」

それはそうやな・・・。


親父。
親父カッコいいぜ。
なんでいつもたるんでて(腹も)、どうしようもねぇ
痛風酒飲み男なのに、
どうしてこんな時だけ頼りになるんだ。
カッコよすぎだぜ。

思わずにやけちまった。
いやーカッコいい。

思わず肩をぽんぽんと叩いちまって、
怒られた。

親父は本当にどうしようもねぇ男だけど、
誰よりも俺のおかんを愛してる。
もう結婚して20年も経つのに、
なんで一緒に風呂入ってんだおまえら。

って言うか、前、「今日は帰らん」
って電話して来た時、おかんとラブホにおったやろ!
知っとんやぞ!
そんなもん急に泊まれるホテルなんてあるかいな!
しかも、俺の誕生日だったやろ。


でもなぁ。
俺はなんか嬉しかったなぁ。
誇りに思うってきっとこういうことだ。

ここ一番ではいっつもかっこいいんだ。
コイツは負けたっていつも思うんだ。

この男の息子でよかったって
ほんまに思うんや。

俺はなー
親父ほど、愛せる人みつかるんかなー
ってたまに不安にもなるわ。
親父ほど、愛される女をみつけられるんかなって
不安になる。

親父ほどカッコいい親父になれるんかなって
すげぇ思うわ。

親父にな、去年の5月に言われた言葉、
どうしても日記に書きたい。
だけどな、書いてしもうたらあかんもんでかかへん。

だけどな、親父な、
「1000万でも即用意したるわ!
 そして、お前が俺に返せるくらいの男になれ!
 ぶちのめしてこい!
 そんな奴、ゆるせるか!!!!!」

って、俺に言うてくれたんや。
本気で怒ってくれたんや。

ああ、嬉しかった。
あの時ほど嬉しかったことってあんまねぇよ。

汚いことが大嫌いで、
甘えるのが苦手で、
ほんまに男って感じのくせぇ親父だけど、
おかんのこと愛してんねんな。

すぐにおかんの本当にしたいこと、
分かったんやよな。
なんか、嬉しいなぁ。


おかんは酉年だ。
1月1日に、近くの神社にお参りに行ったら、
おかんにめっちゃアピールされた。
神棚とかに酉の置物置いたらなんかええんやろ?
それで、俺に「買って買ってオーラ」出してた。
んなもん600円やそこらやで?
買ったるがな!だけど、そんなこと言われて買えるか!
でもな、

「アンタは絶対買ってくれる。
 でも、恥かしいから買えやんのやろ?
 分かっとんやに。楽しみにしとるわ」

と、馬鹿みたいに言った。
コイツは本当に馬鹿かと思ったが、
その通りだった。

伊勢神宮で何気なく買った、
酉の置物。

神宮から家に、帰って、
2階の自分の部屋に帰って寝ようと思ったら、

おかんに
「ありがとう」
と、言われた。

あんなもんで別に礼なんていらん

と言うたら、

「お参り言ってくれてありがとう」

と言われた。


ああ・・・
俺はこの人から生まれたこと、間違いないわ。

そう思って、嬉しくて、眠れなかった。


おばあちゃんが早く元気になりますように。



 past    will


sk6 [手紙] [Ai to U]

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