初めて、死人の顔を見た。 とても白く、美しく、気高いとさえ思えた。
しかし、僕が見た時の、その感覚は、 もう既に人を見る目ではなかった気がする。 それは僕がその人にお会いしたことがなかったからかもしれない。
しかし、あの時の俺はただ、キレイだと思った。
人が死ぬというどうしようもないこと。 ただ、それを待って生きているのが私たち人なのか。 いや、生きるモノなのか。
一生懸命生きていたいと思いつつも、 私は一生懸命生きられているのだろうか。 結果というのは何処に表現され、 また過去に残っていくのだろう。
私は、お葬式の華がとても美しく思えた。 何故あんなにも美しく思えるかどうか分からなかったが、 一つ一つの華が輝いて、 また、何かを伝えたい気持ちでいっぱいのようだった。
その、故人の息子は、私の大切な後輩だった。 彼はいつも笑っていて、 その時も、私を見つけると、 ニコリとした。
私は、どういう顔をしていいかわからなかった。
ただ、彼をじっと見つめていた。
彼の兄貴はお礼の言葉を述べながら泣いていた。 彼は、とても複雑な顔をしていた。
彼は最後まで泣き顔を見せなかった。 だけど、 彼はいつも一人になると泣いているといった。
皆に親父が死んだことを言わず、 一人一人自分の口で伝えた。
心配されるのが嫌だったそうだ。
葬式が終わり、火葬場に着き、 また彼に会った。 いつもと変わらない彼の笑顔。 別に肌の色が悪いというわけでも、 眠いというわけでもなさそう。 いつもと、本当に変わらない笑顔。
彼の母親の寂しそうな顔。 私たちにペコリと一礼する。
帰りの車の中で、 お葬式に参列した11人は、 各人思い簡単なものではなかっただろう。
私は風邪を引いていて、 参列中も、朦朧としていたくらいだから、 もう最低のコンディションだったが、 話をして、気を紛らわせる以外何もできなかった。
大切なことってなんだろう。 それも生きている間にできること。 俺が今彼にできることってなんだろう。 アイツは俺の大切な後輩だ。 俺はこれからどうやって生きればいい。 いつか死ぬと分かっていながら、 俺は何処までがんばれる。
やりたいこととやれないこと。 生きることと死ぬこと。 愛することと嫌うこと。 守ることと闘うこと。 歩くことと、、、、なんだろう?
家に帰って、 体力がもう0に近かった。 僕は喪服を脱ぎ、 一人でご飯を食べた。
隣の部屋では妹とおかんが何かテレビを見て爆笑している。 親父はもう上で寝てて、いびきが聴こえてくる。
そんな当たり前のことが、 もしかしたら、あと2年で、明日で、10年で、一週間後に、、、
なくなってしまうかも知れないなんて、
俺には信じられない。
そう思うと、 単純にアイツがカワイソウに思えた。 カワイソウだカワイソウだと思うと、 涙が止まらなくなった。
俺は、彼の親父の前で言った。
「これからは俺と堂前が親父さんの代わりにアイツを見守っていきます」
と。
役不足な僕たちは、 今以上の努力と誠意と男らしさを。
がんばろうと思う。
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