Desert Beyond
ひさ



 金木犀は二度咲く

とても眠い。
初対面で挨拶のひとつも出来ない人が
僕の机のある4回生部屋で酒を飲んでいる。
4回生部屋だというのに4回生は一人もいなくて
それ以外の人たちに占拠されている格好だ。
そもそも僕も一緒に飲もうとしたけれど
その人に挨拶もせずに偉ぶって話す態度と
実験データは他の人のものをパクるという発言が
どうにもひっかかって僕は酒を一滴も飲まず
挨拶もしないままに他の部屋に移ってきた。
しかし4回生部屋の鍵は僕が持っているので
僕は飲み会が終わるまで待たなくてはいけない。

自分の居場所を我が物顔で占拠されてしまったのと
自分の方が年上だという下らないプライドのせいで
ここまで苛々してしまうのだろうか。
無礼な態度は昔から嫌いだけど
やっぱり頭が硬いのかな。
あの低俗なノリには決してついていけないと思ってしまう。
相槌とか打ちたくないな、と思ってしまった。
それも年齢起源のノリの悪さなのか
僕のもともとの性格のせいなのか。
どちらにしても負の感情で蝕まれている
(もしくは自ら蝕んでしまっている)。

先週の火曜日から数日間北海道に行ってきた。
松山から東京
東京から旭川
に飛んで、夜はジンギスカンをたらふく食べた。
2日目は鉱山跡地で作業。
3,4,5日目はずっと岩石を鑑定していた。
6日目に屈斜路湖を見た。
熊笹の斜面は黄緑色の萌え
顔がこわばるくらいの冷たい風が
笹をゆらしながら斜面を駆け上ってくる。
湖を見た後空港に向かったが
滑走路を前にして飛行機の空調システムに不具合が発生し
結局空港に後戻り。
飛行機は5時間10分後に飛んで東京へ行くも
松山への乗り継ぎ便はすでになくなっていて
飛行機会社にホテル代を出してもらって東京に一泊した。

彗星が通常の40万倍もの光を放っているという。
肉眼で見えるんだって。

カール・セーガンの著書を読んでいたら
科学を研究する勇気が沸いてきた。

最近また金木犀が咲いている。
前に咲いたのはさっと終わってしまい
こんなにも金木犀の季節は短く儚いものだったのか
と思ったものだが
昨日と今日の咲きようときたらどうだ。
それと同じくしてアパートの近くで満開の銀木犀を見た。
朝も夜もかおりが街に漂うのです。




2007年10月30日(火)
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