Desert Beyond
ひさ



 I'm hurt, by the way.

僕が一生懸命作ったポスターが
学校に展示されていたのです。
そうしたら今日、誰かが窓を開けたときの強風で
僕のポスターはびりびりと破けてしまったわけで。
そんな電話を先生からもらい
ショック半分、ちょっとコミカル気分半分。
明日が受験の耳鼻科の息子を教えるアルバイトを終え
僕は極寒の松山、大学へと向かう。

なるほどポスターの最下部が破れてしまっていて
その破れた断片はテーブルの上に置かれている。
僕は明日の日中に回収するのがなんとなく惨めに思えて
善は急げと今晩サクッと回収しようと思ったのです。
暗い展示スペースで作業しようと思ったとき
壁に貼ってある紙に気がつきました。
その紙には
「ドアの開閉時に風であおられて破れました。課題研究の方には申し訳ありませんが別の場所に展示してください 3/7」
と書かれていて
それを見た瞬間自分のエゴなのかわからないけど
沸々と怒りがこみ上げてきました。
そもそも貼り紙の主がわからないので
何とも言えないところはある。
部内の人間の書いた文章だったら理解できるんだけど
不可抗力とはいえ、窓を開けて
ポスターが破ける原因になったという
強風を入れた人が書いたとしたら
僕の礼儀礼節の物差しでは
ちょっと不完全過ぎる文章です。

文章の何がどうなのかという気持ちを
この日記に書かなくても
僕の日記を読んでくれてる人はわかると思うので省略します。

はじめは僕のポスターが傷ついてしまった。
と人事のように思っていたけれど
結局は僕の心も同じくらい傷つきました。
もう32歳なのにね・・・。

昨日も今日も夕方は金星が
夜の帳が降りたばかりの世界に
ギラギラと主張していた。
携帯電話の写真で撮っても写るくらいの明るさなんだ。

昨日ね、CDを借りに行ったよ。
トッド・ラングレンのフリーソウル
マルコス・ヴァーリのカフェ・アプレミディ
ジェームス・テイラーのベスト
トッドはアナログでしか持っていないので
久しぶりに聴いてやはり良いなぁと実感した。

春かと思われた季節の移り変わりはまやかし。
冬雲は光も通さないまあるい塊になって
じいっと見てるとわかる速度で南東へ流れる。
上のほうは雲の色。
それでそうしてくるっともくもく下に回ると
うん、雲のかげの色なんだ。
たとえ灰色の一種の色だとしても
それはそうじゃなくて、雲のかげの色なんだと思う。

真夜中の天気予報も終わると
たちまち世界は静かになって
家に入れ忘れられて鳴いていた猫も
もう入れてもらえたよう。
車は稀にすら通らない夜中の側道。
月はまだ明るく雲が向こうから月を隠したと思うと
また月を見せてとおくに去っていくのだ。

おそろしく寒い夜はあと幾夜続くのだろうか。
もう数夜と続くまい。


2007年03月07日(水)
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