Desert Beyond
ひさ



 街をひとまわり

今日は街をひとまわりした。
市内電車、と大層な名前で呼ばれていても
それは一両の路面電車。

旧車両の路面電車は木の床で
車内はとにかく古くさい。
くすんだ金属の真ん中にある白いボタンを押すと
「チンッ」と甲高い音が鳴り響いて
次の駅で降りますよ、と車掌と乗客に伝える。
同時に「つぎとまります」の文字が点灯する。
走りだすときの音や、車内の注意書きの文字のロゴ
こげ茶色の油くさい床とカーブでのゆれ具合。
どれをとっても昭和のまま。
→好き

新車両の路面電車はノンステップ。
障害者に気を使うつくりなのは好き。
光が少し弱くなるように遮光ガラスで
できるだけ大きな開けられない窓。
インフォメーションの映像を流す画面と
真新しいようなにおい。
→好きじゃない

街の中心には山があって、その頂きにはお城がある。
まだ一度も城には行ったことがない。
城下町のくせに行き止まりの少ない街。

温泉街は連休だということもあって
かなり混み合っていて
人で歩きづらくてすぐに気が滅入った。
僕は混雑してる場所が苦手なのだ。

花粉の被害はそれほどひどくなく
僕はなんとかがんばりぬくことができた。

本を読み出すと本に引き込まれる。
実際手にとって支配してるのは僕のように思えるけれど
本当は手にとられた本が僕のすべてを引き込んで
本に書かれている世界を見せて、聴かせて、感じさせる。


2005年05月03日(火)
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