Desert Beyond
ひさ



 音楽と記憶

CDを買ったりしてそれをよく聴いていると
何年か経った後にそのCDを聴いた時などに
よく聴いた時期の事を思い出す事が多い。
秋によく聴いたCDを聴くと秋を思い出し、
哀しかった時に聴いたCDを聴くとその時の気持ちを思いだす。
僕の場合、思い出自体を思い出すというより
よく聴いていた時の雰囲気その時寒かったとかあったかかったとか
そういう感じが甦える事が多い。
Stevie WonderのIn Square Circleを聴くと
今でもFENを聴いてた頃、アメリカに憧れに似た思いを抱いてた
そんなノンポリ高校生時代を思い出したりする。
因みにその頃僕の中で思い描いていたアメリカというのは
本当にアメリカに来るまで心の中に変わらずあったのだけど
やっぱり1980年代後半の中の映画のような、
思い描いた様なアメリカはすでになく、イメージと少しズレていた。
そうかと言って、そこまで残念だったということもなかったけど
今でも僕にとってのアメリカは
"Better off dead (やぶれかぶれ一発勝負)"とか
"Scramble (恋のスクランブル)"とか
"Ferris Bewler's Day Off (フェリスがある朝突然に)"
などの映画に出てくるアメリカなのです。

記憶と音楽が違った形で結びついたものに
Sade(シャーデー)とニューヨークがある。
Sadeの曲を聴くとNYにいた頃聴いた訳もないのに
NYを思い描く。雨の冷たいニューヨークを。
冬のニューヨークはいつもと変わらず人間臭いくせに
夏とはうってかわって寂しくて切ない。
寒さがそうさせるのかもしれないけれど
日本の冬とも少し違った感覚をうける。
もしかしたらそれは数年前に僕が何の目的もなしに
冬のマンハッタンをうろうろと足が棒になるまで
毎日の様に歩き続けたときの感情とリンクしているのかもしれない。
ちょっと寂しくて切ないけれどSadeを聴くのは大好きだ。

今日は日中曇ってた癖に夜は星がきちんと見える。
キラキラと輝いている。
下弦の月は深夜にのぼってくるのだ。
今夜の月は黄色かった。
あったかい感じのする月だったなあ。




2001年11月06日(火)
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