女房様とお呼びっ!
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先日テレビを見ていたら、懐かしいひとが画面に映った。 昔馴染みとはいえ、見知った顔にそうして会うのは、なんだか面映い。
テロップには立派な肩書きが記されて、偉くなったんだなぁと思う。 確かに名前に続く括弧とじの数字を見れば、重責を担ってしかるべき年齢だ。 正直、えっそんな歳になったのかと思ったけど、 私だって同じように年喰ってるわけで、我ながら間抜けな反応である(笑
◇
最後にご一緒したのはいつだったか。 もう長いこと音沙汰なく、既に携帯の番号は失った。 それでも何かよすがはないかと、名刺フォルダを繰ってみる。 平成10年4月某日、これが初対面だったらしい。
そのときの記憶はもう殆ど薄れているが、その後、 仕事帰りに待ち合わせては渋谷で飲んで、ラブホに泊まったこともあったっけ(笑 ま、そんな不埒な脱線もありながら、会う度、とても楽しかった。 来し方たくさんの人と関わってきたけれど、 そんな感じにすぐ思い出せるほど、印象に残っているひとだ。
思い出すごとなお懐かしく、駄目もとでメールしようと思い立ち、 新規画面を開いたものの、何も書かずに閉じてしまった。 メールの不着を懸念したのではなくてね。 今や立場のある彼に、もうこちらから連絡してはいけない気がしたから。
一旦取り出した彼の名刺をフォルダに戻し、パタンと閉じる。 もうこれ以上迷わずに済むように、大きく肩で息をした。
◇
彼がもし、かつての級友とか仕事仲間だったら、 いや、たとえテレクラ絡みのセフレであっても、こんなふうに迷いはしない。 そういう部分で、私はかなり厚顔だ。 駄目で元々なんだもの、メールくらいはしてみるだろう。
けれども、それすら踏み止まってしまうのは、 彼と私の出会いがエスエムを介したものだからだ。、 つまり私は、彼の、世に秘するマゾの部分を知っている。
十年経ったからといって、まさかMの性がなくなったとは思わない。 しかし、ご自分なりに決着をつけた可能性はたぶんにある。 何より、私のことなど忘れ去ったかもしれず、あるいは思い出したくないとか。
ま、そんな推察はさておいても、 一方的に消息を知られて、自分の性癖バレてる輩から連絡寄越されたら、 誰だって戸惑うし、困るのは必至だ。 いくらかつての盟友であれ、やっぱご迷惑には違いないものね。
そんなわけで彼のことは、 まずはお元気そうで何よりと、嬉しく思うくらいで留めることにした。 ちょっと寂しいけれど、そんなもんだ、うん。
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