女房様とお呼びっ!
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複数派を明言すると、往々、 「どうしてひとりの相手じゃダメなんですか?」と訊かれてしまう。 私からすれば、「どうしてひとりじゃないとダメなんですか?」と訊き返したいところだが、 流石にそうもいかないので、どうにか答えてはみる。
ノンケの関係について、そう質された頃には、 「セックスって食事みたいなものだから、色んな人と楽しみたいのよ」 なんて誤魔化していた。 まぁそれくらいあっさりと色んな男と寝たし、 それで口に合わなければ、二度と喰わなければいいだけの話だった。 セックス−フレンドって、便利な言葉もあるしね(笑。
「恋愛についてもですか?」 そう突っ込まれることも少なからずあったが、生憎私はそこまで器用な人間じゃない。 二股かけるのは、倫理よりも先に心情的に無理がある。
「いや、恋愛はホラ、宗教みたいなもんですから…」 胡散臭い文言で、質問者を煙に巻いた。 もっとマシな説明も出来なくはないが、第三者にそこまでする必要もあるまい。 そんなの、当事者同士が了解すればいいことだ。
◇
むろん、当事者に、あるいは当事者になる前提で、そう訊かれれれば、 このときばかりは、自分なりに誠実に答えるしかない。 たとえ、答えそのものが不実なものであるにしても(笑。
それは、複数を相手に持つ際の、避けて通れない段取りのようなものだ。 このとき、相手は不審や不安を抱いたり、私との関係を納得したがったりしてるワケで、 それをうやむやにしてしまっては、良好な関係を築けようはずもなく、 結果自分が楽しめなくなる。
もちろん、どれ程言葉を尽くそうと、相手の懸念の一切が払われることはないだろう。 それでも、逐一の労を惜しんでは、複数を相手になんか出来やしない。 よほどのカリスマがあれば、話は別だけど。
もっとも、私に限って言えば、この作業に悩まされたことはあまりない。 いや、私にカリスマがあるってんじゃなくて(笑。 元々、独占欲の強い男とか悋気の過ぎる男を好まないので、 端から相手に選ぶはずもなく、自ずと面倒を避けてるだけのこと。
それに、男の場合、自分の位置に納得すれば、結構それで済んでしまう。 たぶん、これは、オスが本能的に持つ序列意識に由来すると推察しているのだが、 その点、複数の女を相手にするのは、よほど難儀だろうと想像する。
女の場合、自分の他に女がいることは認めても、 その中でも自分は特別と思いたがるのではないかと思うのだ。 ゆえに、序列としての相対位置を説明しても、恐らく意味がない。 実際、上手に女をあしらう男は、どの女にも「キミは特別なんだ」と言い含める。 もしかしたら、本心からそうなのかもしれないが、いずれにせよ、ご苦労なことだ。
そうまでして、女たちを取り回す男の心境は、 女の身で、しかも完全へテロの私にはわかりようもないけれど、 私がたとえ遊び事でも女を相手にしないのは、そういう面倒を厭うからでもある。
◇
さて、ここでようやく、SM関係において、 「どうしてひとりの相手じゃダメなんですか?」について。
実のところ、SM関係という前提を得て、この質問に答えるのは格段に容易になった。 いわゆるSM的倫理観に助けられる部分もあるし、セックスという行為が孕む貞操観念も、 プレイと称されるSM行為においては、さほど問われない。 単純なセックスと違って、多様なSM行為は多様な相手を選ぶんだという、 ありがたい共通意識もある。
もっとも、私としては、ノンケの関係であろうが、SMの関係であろうが、 先の記事に書いたとおり、まるで同一の感覚なので、 これが受容される環境が、SM関係という前提の中にはあったってだけなんだけれど(笑。
そんなワケで、 「私の相手をひとりでまかなえるんなら、それでもいいんですけど…」 なんて、無茶な御託を並べては、ひとり悦に入っている。 事実、これは、プレイだけの関係にしても、 心的な関係性を伴うDS関係にしても使える理由なので、便利だ。 SM関係の特殊性を、切実にありがたく思う。
◇
ちなみに、私の場合、プレイだけの関係の相手は「プレイパートナー」と呼び、 DS関係の相手は「奴隷」と呼ぶ。 いずれが複数、または合わせて複数、どれもありだ。 複数持つ理由、あるいは動機は、上に同じ。
ときに、両者の違いを訊かれることがある。 自分の相対位置を確認したい当事者なら、当然知りたいことだろうし、 第三者的な興味を抱かれても、答えるにやぶさかでない。
大抵は、 「プレイパートナーはセックスフレンドみたいな、奴隷は伴侶のようなもんです」 と説明するのだが、たまに「伴侶」を「恋人」と読み違える人がいて困る(笑。
私にとって、相手との関係性と、 その相手と恋愛するかどうかってのは、まったく次元が違うのだ。 恋して始まる関係ならいざしらず、恋愛を期した関係なんてあるのか?とさえ思う。 関係性ありきの場合、恋愛するかどうかは不可測で、いずれとも可能性はあるワケだ。 実際、プレイパートナーと、あるいは奴隷と恋に落ちたことはあるものねぇ。
ゆえに、「プレイパートナーって即物的で味気ないような…」 などと感想だか疑問だか賜ることもあるけど、実感としてはそうじゃない。 そう思われるのは勝手だが、味気ない食事をするために、わざわざ相手を探したりするものか。
誰でもいいから複数派なんじゃなくて、 得難い相手ゆえに得た以上、手放したくないから複数派なんだよ、ワトソン君。
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