女房様とお呼びっ!
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2003年01月13日(月) この齢にして初体験 #1

旧年暮れ、待望の「M魚釣り大会」(註)が開催された。東京では3度目。
その前年、釣ったはずの魚に見事に(それもその日のうちに!)フられたワタクシ。
コトシコソハコトシコソハと呪文のように唱えつつ、期日が来るのを待ち侘びた。
いや、ただ漫然と待っていたワケではない。過去4回の不調をそそぐべく策を練る。

そして、浅薄にして姑息ながらも、ある考えに辿り着く。
仕掛けをしとけばいいのよ、ホッホッホッ。予め餌を撒いておくのだ。先手必勝の理。
かくして、ここ暫く足が遠のいていた2ショに出向き、極私的営業活動に励むことにする。
でもね、幾ら私が坊主続きとはいえ、雑魚には用がないのよ。上物、カモーン!

がしかしというか、やはりというか、2ショに足繁く通うも成果は得られず。
まぁ当然と言えば当然だ。だって、過去に私が2ショ漁を諦めたのは、この現状による。
それでも縁があれば出物はあるはずだし、少々難ありでも釣ってダメならリリースすればいいし。
結果に窮した釣り人の目は日を追う毎に濁り、都合のいい期待にしがみつく。

・・・・・。

期日まであと数日というその日、仰々しい待機メッセージを掲げた魚を見かけた。
平時なら、絶対そんな奴に食指は動かないだろうに、焦る気持ちが入室ボタンを押す。
と、挨拶を交わすやいなや、魚はとうとうと語り出した。こちらの質疑などお構いなしだ。
うぇぇシマッタ。こいつは忌むべきお喋りな魚。頭の隅に危険信号が点滅し始める。

あぁなのに私ったら、奴につき合っちゃったのよね。目先の欲が直感を退けた。
次々に積み上げられるログにうんざりしつつも、突っ込むべき隙を探してしまう。
言葉はバカ丁寧だが、自分勝手な性向が滲み出る。わかりやすい奴。すぐにアタリがつく。
奴の告白を遮って、突っ込み開始。怒濤のキーパンチ。どんな奴でも落とす時は楽しい。

果たして、奴はさっきまでの勢いを潜め、しおしおとしたレスを返し始めた。
その事実だけで調子に乗る私は、既に最初の直感を忘れ去って、奴にほだされる。
「貴女に諭して頂いて、凝り固まっていた心が溶けました。本当に涙が出ています・・・」
ベテランの中年M魚はそんなあざとい台詞を吐き、お調子者の私はあっさり惑わされた。

翌朝には早々と奴から麗しいメールが届き、私の気分は更に盛り上がったものだ。
数時間後には所期通りに釣り会場でのアポが成立し、電話番号を交換しあった。
「今お掛けしてもいいですか?」「掛けたいんだったらどうぞ」なんてやり取りがあって電話が鳴る。
流石にちょっとドキドキして受話器を取った途端、再び直感が警告を発した。・・・え?

・・・・・。

けれど、またも釣果に焦る欲が暴走し、直感をぶっちぎってしまった。嗚呼!
そうして当日、この齢にしてコンナノハジメテな経験を招いてしまうのだ。ノォォ〜!!



註:関連記事です→ 「た・の・し・いボーイハント」


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