女房様とお呼びっ!
DiaryINDEXpastwill


2001年12月30日(日) かつて、私をふったキミへ 〜いつか『お前』と呼ぼう〜

そろそろ年が改まるから、昨年暮れの出来事を「かつて」と言い捨てて、
大掃除のついでに、ここにひけらかしてしまおうと思い立ったんだ。悪いね。
あぁでも、残念だけど、ナカッタことには出来ないし、忘れ去るつもりもない。
キミは、私は、ずっと。辿った事実を厳然と、心に抱いていくしかないのだろう。

・・・・・。

今年は、お互いに酷い年明けだったね。暗鬱な闇が、胸一杯に立ちこめていた。
一人の女をふって、一人の女にふられたキミは、泣き疲れた挙げ句に熱を出し、
キミにふられた私は、喪失感に苛まれながら、死の床に就く父の傍らで泣いた。
思いもよらぬ結果が、私たちをそれぞれに、孤独のただなかに追いやった。

恐らくは。キミは、その孤独に納得していただろう。自らが招いた結果だものね。
けれど私は、キミを失ったことに、我が身の不幸に、納得してなかったんだろう。
身の置き所に迷った私は、だから、キミとの繋がりを断つことが出来なかった。
お為ごかしに物言いながら、実は、私の慰めに過ぎなかったことを許して欲しい。

誰が見ても、みっともない話だよ。浅ましい女だと誹られても、仕方のない事サ。
ふられた女が、己をふった男の気弱につけ込んで、ヨリを戻そうとするなんて。
だけど。私は、自らのみっともなさや浅ましさに甘んじた。己の不徳を覚悟した。
それは、ふられた女の意地だったのか・・・残酷だけど、それは確かにあったと思う。

・・・・・。

あの時。キミが私に引導を渡した時。突然の不幸に私は涙し、声を上げて泣いた。
キミは絶句し、遂に、絞り出すように言った。ボクニドウシロトイウンデスカ?
正直驚いたよ。途端に涙がぴしゃりと止まった。泣いてる場合じゃないと思った。
結果論だけど、あの成り行きがなかったらば、今のキミと私はない、とさえ思う。

あの瞬間。私は、キミを取り戻そうと決めたんだ。取り戻せると確信すらした。
キミを失いたくないという当たり前な想いよりも、邪な決意が胸を走り抜けた。
だから、キミを呼びつけにした。直ちに。明らかな意図の下、キミを呼び捨てた。
まだ、キミはふられちゃなかったし、私を見限った結果は歴然とあったのだけど。

姑息な私は、呼び捨ての親密さを図りながら、親切ぶって、キミと関わり続けた。
それを、お釈迦さまが地獄に垂らした”蜘蛛の糸”のようだとキミは評したっけ。
そこに深い洞察はなかったと推測するけれど、キミの評は、まさに的を射てたよ。
だって私は、己の傲慢に気付いていた。あの物語の釈迦の如く、身勝手だった。

・・・・・。

そして今に至る。キミはあっさりハメられて、私の従として呼び捨てられている。
漸くの苦渋の決断を不意にされ、未知の苦悩や哀しみに苛まれ続けたこの一年。
辛かっただろうと思う。自分の身の上を、アテなく恨むこともあったろうと思う。
逃げ出したいと悩み、逃げ出せずに再び悩み、そんな自分にうんざりしただろう。

その度に己の意志を確認して、自らを励まし続けたのだと思う。よく頑張ったね。
でもね。少しだけ安心して欲しいのよ。キミがそうなる原因は、まさに私にある。
だから、徒に自分を責めたり、事の成り行きを恨んだりする必要はないんだよ。
私は底意地の悪い女だから、これからも、キミを不安にし続けるんだと思うわ(笑

恨むなら、私をこそ恨みなさい。辛いときは、私にこそ辛いと訴えなさい。
恨まれても辛がられても、私はキミの側にいる。そして、上手に誤魔化してやる。
だってほら、私はインチキだからね。キミが幸せに思えるように、騙してやろう。
ね、悪いこと言わないから、さっさと自分を諦めて、賢く『バカ』になりなさい(笑

・・・・・。

そしたら。いつか。私は。キミを『お前』と呼ぶのだと思う。
そうね、もっともっと、キミをハメるために。私のモノにするために。


女房 |HomePage

My追加
エンピツ