女房様とお呼びっ!
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2001年12月26日(水) 恥ずかしがってイイデスカ?#4 〜アタシを楽しんで〜

催眠術って、かかる人とかからない人がいるよね。強制力のある洗脳やマインドコントロールと違って、かけられる側の意志や感情が、結果を左右するからサ。かかりたいなと思ってる人が、かかるし、かからないと思ってる人は、かからない。でも、かかるもんかってリキんじゃう人は、意外とかかったりする(笑)面白いねぇ。

ところで、私がS側にある時に、M側が一種の催眠状態に陥ってるって感じることがある。意識が混濁したみたく瞳が開いたり、体の痙攣が続いたりする。ちょっとヤバイ感じ(笑)っても、別に、私は催眠術師じゃない。ただ、S側として相手に対峙する場合、呼吸を調え、言葉を選び、沈黙を作り、意図した目線を送ることになる。

一方M側は、「S側と対面してる」という期待や不安がもたらす、異常な緊張をもって、私の行為やムードにさらされるワケだ。すると、ほんの些細なことがきっかけとなって、彼にオカシナ変調が訪れるみたい。中には、私が何にもしなくても、この緊張感だけで自己催眠状態に陥る、便利な体質の人もいるくらいだヨ(笑)

・・・・・。

「アサゴハンヲ、タベヨウ」・・・オトーサンが投げた、何気ない言葉。それが、思いがけず、私に催眠状態を引き起こしたのだ。極度の緊張の高みから、ポンと平地に飛び降りて、ガクガクと足がくずおれる感じ。全身に震えが走り、頼りなく膝が笑う。シートから上手に降りられない。地面に降り立っても、よろけてしまう。

あ、コレって、イった後みたい・・・意識の片隅は覚醒してて、その状態を面白がるのだが、その他の部分は、ぼんやりと霧がかかったようだ。だって、どっちに歩けばいいのかワカラナイ。病気で寝込んでて、お便所に立つ時の戸惑いに似ている。次第に、迷子になったような不安が襲ってきて、必死にオトーサンを探してしまった。

普段の私は、どこでも独りでスタスタ行っちゃうほうだ。なのに、この時の私は、ひたすらオトーサンを目指して歩いたの。まるで鳥のひなみたく。よちよちと。

・・・・・。

テーブルに案内され、腰を降ろして、漸く安堵した。と同時に、尿意に気付く。オシッコイッテクル。彼にそう告げて、席を立ったものの、まだ足許がおぼつかない。お便所でもスッ転びそうになる。やっとの思いで和式便器にしゃがみこめば、ヤダ、まだ足が痙攣してる。あーもぅ。うんざりしながら、己の体が愉快で笑えた。

再びヨロヨロと席に戻ると、オトーサンがニコニコと煙草を吸っている。大変ナンデス。よたよたと腰を降ろしながら、言い訳がましく、そう言った。それには答えず、彼はただ微笑み、煙を吐く。それで、勢い、私が喋ることになる。いや、モノでも言ってないと、落ち着かないのだ。酷イコトニナッテマス、アタシ。彼が笑う。

私は、言葉を吐く毎に、自分が小さく小さくなってくように思えて、それがナンダカ面映ゆい。はっきり言って、恥ずかしい。そして、あぁオトーサンは、私の今の状態をわかってるんだワと思う程に、くすぐったいような気分だ。遂に私は、彼と目を合わせることさえ恥ずかしくなって、白状してしまった。ハズカシイデス…。

・・・・・。

やがて、私が頼んだ雑炊が目の前に置かれる。幼子みたいにお匙をガッシリ握って、ゆっくり口に運ぶ。その仕草を、オトーサンが見つめているのに気付いて、またも告白。「震えちゃって、お箸使えないと思ったの…」もぅ、恥ずかしくて消えてしまいたい。つい、上目遣いでオトーサンを見る。わぁ、ナンテ嬉しそうな顔なんだッ!

「アタシが恥ずかしがってると、嬉しいんでしょ?」往生際の悪い私は、そう訊いた。ウン、と答える彼の満面の笑み。あぁソウダ。こんな私を、彼は楽しんでいるんだワ。ようやく、そのことに気付いた途端、私も無性に嬉しくなってしまった。そして、恥ずかしがっている自分も可愛いじゃんなんて、思ったりもしたのね(笑)

・・・・・。

これが、アノ素晴らしい経験の顛末。改めて、オトーサンに感謝を捧げるワ。


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