海の向こうの遠い街。そこへは行ったこともない。身近なひとも住んでない。飛び交う言葉もわからない。テレビに頼り、漸く距離が近くなる。ただ、それだけのことだ。同時通訳のうわずった声に、煽られる。ただ、それだけのことだ。けれどどれほど身近でなかろうと、どれほど馴染みがなかろうと、どれほど政情に疎かろうと、悲しみが、心に積もる。胸が苦しく、塞がれていく。ただ、それだけを根拠として、失われた命のために、祈りたい。