2024年10月23日(水) |
高校選手権岡山県大会準々決勝 朝日塾−就実 関西−岡山学芸館 |
滋賀国体(国スポ)のリハーサル大会である社会人選手権、いわゆる全社。社会人のカップ戦であり、また今ではJFL昇格をかけた地域チャンピオンズリーグの出場権も関わって来る大会となっている。この大会は五日間連続であり、観る方としてもタフだ。そして3回戦(準々決勝)まで訪問困難な会場優先で足を運んでいたので消耗した。しかも三日目時点で地域チャンピオンズリーグの補充枠?3がすべて決まった。で、疲労感もあり三日目で燃え尽きた。が、この大会最終日の水曜日まで自由が利く。4日目は完全に休んだ。大会途中で離脱すると、必ずしも最終日に足を運びたくなくなる。そういうわけで、その日の他の試合を探した。すると高校選手権岡山県大会準々決勝が平日開催になっている。そこで急きょ岡山県に足を運んだ。
ケチるため鈍行で会場に向かう。平日は朝7時前に大阪駅始発の姫路行新快速がある。そこでまずこれに乗り、姫路で岡山行の鈍行に乗りかえて西進する。岡山駅で素早く乗り換えて倉敷へ。目的地は水島の福田運動公園である。実は倉敷から水島工業地帯を結ぶ水島臨海鉄道に乗る目的もあった。たまに天皇杯に出る三菱自工水島の工場までを結び、貨物列車も走っている私鉄である。しかし駅まで行って駅員さんに尋ねると、バスで行った方がいいとのこと。最寄駅から徒歩30分というのは予習していたが、こういう判断は現地の人に従った方がいい、というのは旅慣れた人間の常識である。そこでバスに乗って向かった。
福田公園の前のバス停からすぐ入り、右手に人工芝グラウンドがある。プログラム販売はなく、そもそも会場内の保護者は誰一人プログラムを持っていなかった。したがって本観戦記も名前なしになる。
岡山県大会準々決勝の本会場の第1試合は朝日塾(岡山県2部リーグ)対就実(プリンスリーグ)である。朝日塾は初観戦。岡山県まで観に来た以上、岡山県でしか見られないチームを観戦できるのはラッキーだ。就実は練習場である祇園グラウンドまで行ったこともある。
高校選手権岡山県大会準々決勝 朝日塾高校−就実高校 10月23日 11時 福田運動公園 人工芝 曇り
朝日塾 十三 十番 十四六番七番九番 二番五番四番十五 一番
就実 八番九番 十四 七番十番六番十三 二三五番二一 十七
朝日塾は自陣からビルドアップする意識があり、ある程度仕込まれていた。しかしフィジカル不足が目立った。つまり就実が体格で優り、また実戦経験豊富なだけに強度を生かしてデュエルで圧倒できるのだ。中盤で激しく当たって圧倒し、素早く前線に当てるとセンターフォワード9番と左寄りの8番が身体を入れるとポストに対し朝日塾が何もできないのだ。朝日塾の前線も就実3バックが激しく潰し、弱気になってしまう。「サッカーは格闘技だ」という言葉の真偽はともかく、少なくとも心理的に劣勢になり、戦わなければ勝敗の帰趨は明らかなのだ。 9分、就実6番の左コーナーに23番頭で合わせて0−1。13分、就実、裏に出して8番が前に出たキーパーの上をループで抜き0−2。前半終了間際に8番の左クロスをキーパーと9番が競ってこぼれを13番が右から出し9番が蹴り込む。0−3。
後半は勝負ありとみて就実が攻めるゴール裏からのんびり観戦した。メンタル的に厳しかった朝日塾だが、就実が準決勝以降に備えて雑な放り込みをやめて丁寧に崩し始めて、追加点が入らない。朝日塾もビルドアップできるようになった。メンタル立て直しには成功した。就実が絵にかいたようなポストシュートで4点目だと思ったが、ネット記事では就実は3点だったので、このゴールは取り消しだったかもしれない。逆に朝日塾が1点奪い、最終スコアはどうやら1−3で就実が準決勝に進出した。優勝候補らしい完勝だった。
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第2試合は関西(かんぜい)対岡山学芸館である。関西は初観戦。岡山学芸館は言わずと知れて全国制覇経験校であり、今季のプリンスリーグ優勝チームである。
高校選手権岡山県大会準々決勝 関西高校−岡山学芸館高校 10月23日 13時半 福田公園 人工芝 晴
関西 七番 十七 十一十番五番八番 二十四番三番二番 一番
岡山学芸館 十番十四 六番七番十一 十八 二番三番二一二二 三十
岡山学芸館はボールを動かして支配したいチーム。ゴールキーパーは長いボールを蹴る。センターバックコンビは体格がなく空中戦で苦戦。しかしビルドアップはできるタイプ。3番はロングフィードも得意。2番は右利きで中を持ちあがる。6番は左カットインが得意。2番との役割分担が必ずしもしっかりしていない。18番はボールサイドに寄りがちだが、ボール奪取能力は高い。11番も右カットインが得意。7番はキャプテン。独特の回転をかけたキックが多彩。セットプレーも蹴る。10番は長身で空中戦が得意だが、下がって受けたがる。それはそれでいいのだが、中盤のパッサーの少ないチームにあって中盤を手伝っている感がある。14番はセンターフォワード。やはり空中戦が強い。中盤4枚が必ずしもボールを動かせず、奪還能力やハードワーク重視で、狙ったスタイルが実践できなかったのでは?パスの起点は7番と10番だが、チーム全体で動かしたかった。 関西は徹底してロングボール。キャプテン2番はロングスローも得意。前線の7番17番が岡山学芸館の空中戦で優勢なだけに相性が最高である。しかも前半は風上で、徹底して放り込む。技術で劣るチームにあってやれることを理解して割り切っている。何度かチャンスもつかんでいる。中盤も激しく潰す。「戦う」ことはしっかりできている。前半は関西の流れで終了。
さてハーフタイムで14番→16番が右ハーフに。11番が左ハーフに回り6番がトップに。6番は裏に飛び出したい。というか岡山学芸館の前半は飛び出す選手がいなかった。さらに後半13分、6番→9番。一目でたくましいセンターフォワード。スタメンの10番や14番は必ずしもパワフルではなく、ポストプレーが生きなかったが、9番はパワフル。温存していた?流れが変わり、21分、裏に仕掛けてたぶん9番が決めて岡山学芸館先制。終了間際、2番から10番に出し、9番力強いポストで落とし、10番ワントラップ右上隅で0−2。ATには3点目が入り、結局0−3で岡山学芸館が勝った。
9番の投入が流れを変えた。なるほど、前線のタレントには問題ないらしい。しかしどうやってボールを動かすか?関西だから回せて体力を削れたが、プリンスリーグ優勝チームとしては正直言って物足りない。プレミアプレーオフは苦戦するのではないだろうか?18番は動かせないし、サイドハーフは中に入りたがり、幅を作れない。クロスも入らない。この評はプリンスリーグ優勝校、あるいは全国制覇を狙う高校としてのものなので辛めだが、前半の苦戦はなかなか厳しかった。
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