サッカー観戦日記

2024年09月14日(土) 岩手遠征記・Jリーグいわてグルージャ盛岡観戦記

9月の3連休に盛岡に遠征した。目当ては総理大臣杯決勝だが、どうせ行くならその前日、Jリーグ盛岡対八戸の旧南部藩ダービーを観に行こうと思った。Jリーグをあまり熱心に観てこなかったので、東北での初のJリーグ観戦になる。
観に行く決断をしたのは総理大臣杯決勝に新潟医療福祉大が進出した準決勝後である。相手が大阪の阪南大だったのも後押しになった。大学サッカーに於いて北信越は全国制覇がない。新潟医療福祉大は2回目の全国ファイナリストになるが、どうなるか観たかった。少し前まで北信越は全国ベスト4すらない唯一の地区だった。なお、関西・関東・東海・九州以外に昨年度の東北の富士大が全国制覇を経験しており、札幌大、高知大は全国準優勝経験があるので、中国地方だけがファイナリスト経験がない。
3連休に急きょ遠征を決断したのでまずは宿である。通常3連休の土曜日はホテル代が高い。特に盛岡は最近インバウンドに魅力がばれてしまった。盛岡市内のホテルは安くて1万1千円した。雫石のプリンスホテルまで探した。なお、宿を確保してから水沢・北上の7千円台のホテルが空いたが、すでにカード払いした後なのでどうにもならない。
次に交通手段である。私はあまり飛行機を使い慣れていない。直前に安く飛行機を確保する方法など知らない。そういうわけで新幹線を乗り継ぐルートを考えた。ところが高槻駅のみどりの窓口に行くと3連休初日ということで新幹線も大変なのである。東京までののぞみは何とか取れた。問題は東北新幹線だ。十分早いはやぶさは満員で、併結の盛岡から秋田に向かうこまちのグリーン車が残り1席しかない。やむなく取った。高い。交通費は飛行機よりも高くなった。しかし飛行機は到着が遅れるから仕方ない。この日は盛岡でわんこそばも食べたかった。
が、当日新幹線で向かうと小田原付近でノロノロ運転し、やがて止まる。車内に迷惑客がいたようなのだ。暴れたらしい。東京駅到着も30分近く遅れた。こうなると東北新幹線に乗り継げない。はやぶさは全車指定席。いまさら取れるわけがない。となると盛岡に行くやまびこの自由席に並ぶしかない。30分以上並んで何とか着席した。当然待機列が長く、駅弁も買えるわけがない。やまびこはいわば東北新幹線の「快速」。必ずしも早くはない。当初の予定なら11時前に盛岡着だったが、13時前に到着した。さらに盛岡駅で駅員さんにグリーン車払い戻しのため切符を保持したまま出たいと申し出た。グリーン車指定席券は新幹線特急券と一体化しているので、自動改札機で回収されてしまうと、グリーン車を確保していた証拠がなくなってしまう。即払い戻しししたくないのは14時キックオフのJリーグに間に合いたいためである。しかし駅員さんはありがた迷惑にも即払い戻しすると言い出してそういう流れになってしまった。しかも手間取った。そういうわけで駅改札を出ると、いわてグルーじゃ盛岡のホームスタジアム、いわぎんスタジアムへの盛岡駅からの最終便、13時発が出て行ったところである。やむなく、JRで二つ南の岩手飯岡駅に向かうが、本数が少なく、出発が遅れた。岩手飯岡駅からいわぎんスタジアムまでは徒歩で1キロ弱。健脚にはどうってことがない。道も分かり易い。しかしのぼりがほとんどなかったのはどうだろう?盛り上がってないのか?と思った。会場近くの導線も車が少ないとはいえ怪しい。係りが少ない。隣に立派な野球場が税金で建てられているが、サッカー場は税金でJリーグ仕様にしたくないらしく、岩手県の偏った行政と、逆にサッカー理解度の低さが心配である。聞くと岩手県の高校野球は全国制覇したこともないらしいのだが。というか雪国の高校野球はほぼ全国制覇したことがないくらい普及していないのに。いわぎんスタジアムは全国高校総体の会場として整備された。隣り合う2面の間にスタンドがあり、両面に向かい合う形になっている。スタジアムの手前に出店がある。が、このスタグルが充実していないのだ。テント、つまり店の数も少ないし、商品も平凡。スタジアムで焼きそばとか唐揚げとかってとりあえずおなかを膨らませるものであって、わざわざ並んで食べたいものではない。クラブおすすめのパンのテントに唯一行列ができていたので並んだ。待機列の前が地元の熱心なファンだったので少し話をした。総理大臣杯も観ているらしい。決勝の日にはお見掛けしなかったが。多少岩手県のサッカー事情の話もしたが、なかなか環境は厳しい。地方のサッカーはJクラブ周りに発言力がなければフットボール界そのものに発言力がない。で並んだ挙句パンは売り切れで揚げ物3種とビールを買って入場した。なるほど、グルージャは極端にお金がなく、企画力もなく、スタグルもさっぱりなのだな。秋田豊さんがオーナー社長だが、経営力はないらしい。唯一全国区のマスコット、キヅールも見かけなかった。コロナ禍だから?入場するとメインは個別席ではないベンチ。いかにも地方のプロ向きではないサッカー場である。客層は女性、それも中年以上が多い。若い人も割と多い。時化た男性が多そうという失礼な予想は完全に外れた。もう一つ、アウェイサポも多い。これは八戸が近いためだろう。場内は案外活気がある。日本リーグのような寂れたスタンドという予想は完全に外れた。岩手にもサッカー熱はある。ただこの日の観客数は1700人台で、重要なゲームは7千人くらい入るという高校野球に比べるとフットボール界の発信力はそんなに無いのか、と思った。あと声援を送るのはゴール裏だけですね。メインやバックからあまり自然な歓声は上がらなかった。
さて問題のゲームである。J3から降格まっしぐらな岩手はチームが崩れてさっぱりと予想したが、案外立て直している。名将・石崎さんに率いられた八戸の方が強いのは確かだが、星川さんがグルージャを立て直している。昨年全国制覇の地元の富士大よりもはるかに強いのは間違いない。天皇杯予選では3−0で一蹴している。たぶん天皇杯だからグルージャはメンバー落としたんじゃないかなあ?崩れたJ3は関東大学のトップ、たとえば明大や筑波大より落ちると予想されたが、そう見えない。やはりプロはレベルが高い。強烈なフィジカルと強いパスを正確につなぐ技術がある。たぶん明大と真っ向から戦っても若干分があるんじゃないかな?星川さんが来る前のグルージャなら苦しいだろうが。
ハーフタイム、スタグル追加に出た。が、焼きそばくらいしか食べるものがない。ちょっとなあ、と思いながら買ってスタンドに戻った。
後半もゲームを楽しんで帰りはシャトルバスで帰ることにした。案内を聞いて駐車場に向かう。観光バス使用。コンセントはない。満員になって出発した。がスタジアム駐車場をでると渋滞している。道路事情が悪い。JRも本数が少なかったが、盛岡の、というかいわぎんスタジアムの交通事情は相当悪い。JRの方が安くて早く盛岡に着ける。渋滞に相当手間取り、30分近くかかって盛岡駅に着いた。
さて、纏めるとグルージャにはお金がなく、運営能力も低い。スタグルも充実していないし、運営ボランティアも足りてない。スタジアムは最低限で個別ベンチもなく、ビジョンもなく、陸上競技場じゃないだけマシ、といったところ。マスコットにも出会えなかった。これを書いている時点でオーナーがNOVAに戻ると発表された。秋田さんがオーナー社長というのはかなり無理があった。自らの能力を過信してしまったか?フットボール愛だけは確かなのだが。このままいけばいわてグルージャ盛岡はJリーグ退会、JFL参加は間違いないだろう。ここはJ3創設時に飛び級で参加したのでJFLで苦労していない。NOVA次第だが、今の運営能力でJFLから再び上がってこられるかは疑問である……。地元にそれなりに根付いているのは確かだが。


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T.K. [MAIL]