今年度から全国高校総体男子は福島県のいわき近辺で固定開催である。ようやく涼しいとまではいかなくても東北でピッチコンディションのいい会場で行われる。全国高校総体夏季大会は全国持ち回り開催ではあるが、花園固定開催のラグビー競技など例外もあるので、サッカー競技も交渉の余地があると思っていた。それが実現できて良かった。主会場はいわき市の北、楢葉町と広野町にまたがるJヴィレッジである。東日本大震災前はクラブユース選手権の会場として毎年向かっていた。約15年ぶりの最探訪である。常磐線でアクセスする。初訪問時はサッカー雑誌の案内に従い広野駅からバスが出ていると思っていたが、着いてみるとバスなどなく、そこから徒歩だった。帰りはやみくもに歩いて、実は最寄りだった木戸駅に辿り着いた。以降は木戸駅からアクセスするのが定石だった。北海道旅行に行って仙台港に朝着いて、特急ひたち号で富岡駅に着いてタクシーでアクセスしたこともある。で、震災後に新たにJヴィレッジ駅ができた。今回はそちらからアクセス。駅で乗客が一斉に降りて、やはり皆さん目的地は同じか、と実感した。谷底の駅から一斉に階段をかなり登り、駅改札へ。無人駅だがこの日は来訪者が多いので、複数の駅員さんがいる。切符は駅員さんへ。交通系ICカードも使える。で、駅改札を出て道路を渡ればあっという間にJヴィレッジ敷地内。改札を出て2分で着く。ずいぶん楽になった。Jヴィレッジの構造は基本的に変わらない。入った通路の左手がP2、右手がP5で左右にP1〜P5となり、ピッチは10面で、あと徒歩で7分ほど、少し離れた広野町内にJヴィレッジスタジアムと広野町サッカー場もあり、今大会の会場である。ホテル棟には売店やレストランもあるが、大勢一般客が来る大会中はレストランは混むだろうから期待できない。少なくともクラブユース選手権時代はそうだった。出店も離れたところにある。浪江バーガーとメヒカリのから揚げがある。強調したいのは駅から至近距離になり、便利になったということ。
さて、今大会はながら観戦にして複数ピッチを同時に回ろうと思った。最初はP2の大阪府代表興国対静岡学園を考えていた。しかしゴール裏テントは満席で、バックスタンド側は人が多く、しかも感染爆発期にもかかわらずマスクした人が少ない。明らかに感染リスクが高い。近づかないようにしておきたい。そこでP1の東山−高川学園のバック側に陣取った。幸い空いているので日傘を広げても迷惑ではなさそうだ。
東山 十番九番 十三十八六番十四 五番四番三番七番 十七
高川学園 九番十番 十六十二八番十九 二番五番十三六番 十七
選手名は既にアップしているメンバーリスト参照。東山は予選でも見ているし、まああまり触れないのだが、基本的には蹴る「カップ戦仕様」だった。高川学園はビルドアップ意識がある。キーパー17番は左足で鋭いフィードで組み立てる。コーチングもなかなか。センターバックは13番は高い。16番は左足の名手でセットプレー担当。8番は右足フリーキック担当。10番はポスト役で9番が飛び出したい。ただ10番は東山センターバックコンビに高さでもパワーでも完敗。潰されるとわかったらサイドに逃れ始めた。いい判断だ。繋ぐ意識のある高川学園だが、デュエルでは東山の完勝。東山センターバックコンビは大学でもやれるレベルだし、中盤でも個人能力では劣勢だと思った。大会前から東山に分のある勝負だと踏んでいたが予想通りだ。高川学園は東山を煽り気味。「お行儀のいい」チームではないが、フットボールとはそういう競技だ。前半は0−0で終了。
P2に移動。
興国が先制している。が、自陣にべた引きなのである。完全に静学が押し込んでいる。注目の右サイドバックキャプテン5番は中に入りビルドアップしつつ,持ち上がれて、相手を一発で潰す守備もある。興国の左は強力だと思ったが見込み違いかな?興国10番は予選の右サイドバックと違いボランチだが、何せべた引きで分からない。力の差があるからべた引きなのか、経験のなさから心理的に劣勢になってしまったのか?とにかくゴール裏からしか観戦できない状況でずっと逆サイドで進むと観戦が楽しめない。すぐに観戦を断念してP3に移動する。
P3では神村学園の試合がある。大会ナンバーワンストライカーでU−17アジア選手権得点王MVPの名和田我空がいる。が、着いたら既に4−0と大量リード。スコア教えて貰った人に「名和田君はまだ出ていますか?」と尋ねたが分からないとおっしゃる。実はこの日のJヴィレッジは全体的にぬるかった。観戦ノート付けてる人は私以外は見かけなかったし、熱心なファンというより、近くで大会やっているから見てみようか、という雰囲気に人が多かった。このぬるさは今後の新たな全国高校総体の雰囲気になるだろう。名和田が中盤インサイドの位置からパスを出し左を破って中シュートで5点目。さらに名和田が自ら決めて6−0.ゲームが壊れていたので観戦をやめてP1に戻った。
東山−高川学園は相変わらずスコアレス。終了直前に東山がPKを獲得して決めて1−0に。高川学園が運べても最後まで打開できず。1−0で東山が勝利した。
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さて、試合後に出店のあるところまで移動するが、なにせ巨大なJヴィレッジのこと、時間が掛かる。浪江バーガーを注文した。そして屋内ピッチわきのベンチに腰掛けて食べる。昼食はかきこみたくない。ゆっくり食べたが、第1試合と第2試合の合間は1時間。移動時間があることを考えると十分とは言えない。 しかも地元の高校生が作った地元のミカン使用のジュースも買う。 試合後急いでP2に移動する。帝長対柳ヶ浦のカードである。ぎりぎり間に合った。 さてジュースを飲むが、ここはアリが多く、ジュース飲むとアリさんとお友達になってしまうことを忘れていた。何せ久しぶりなのだ。プレミアリーグの帝長は当然優勝候補で、圧倒的に攻めるが、柳ヶ浦もしっかり守れて、止めて蹴るがしっかりしている。抵抗するだけの力があるのは明らかだ。
柳ヶ浦 十番九番 十三八番七番十一 六番十九五番十七 十二
帝長 十四十番 十一七番六番十三 十八五番三番二番 一番
帝長のエースナンバー14番安野はマイボールに収まり周りも使えて押し込んで相手が密集している状態でも選択肢が多い。センターバックコンビ3番と5番は競り合いに強く、今までの帝長の弱点である、センターバックは技術的には凄いが、肉体的アドバンテージが少ないという伝統を書き換えた。即時奪還を貫く帝長が終始押し込んでいる。これに対し柳ヶ浦はキャプテン5番が逆サイドまでカバーしていて今時珍しい。とはいえ力量差から言って帝長が先制すればほぼ決まるだろうと判断した。前半0−0。最終的には帝長が大勝した。
ハーフタイムでP3に移動。青森山田対旭川実。青森山田は「東の横綱」だし(西の横綱は東福岡、今大会は予選敗退)旭川実も元プレミアリーグである。ユニフォームが双方濃色で、よく主審が認めたと思った。判別困難だが、とにかく一方的な青森山田ペース。旭川実も相当高いレベルに思えたが、肉体の差は大きく、デュエルで青森山田が圧倒しているように見えた。大量得点し、次戦の生駒戦も万全というか、予選で観ている生駒の力量からすると、精神的に未熟な高校生、とか高校サッカーの怖さ、というフレーズ以外には生駒に勝ち目は見いだせなかった。生駒の古田先生は元Jリーガーで、プロにしか見抜けない隙があるのだろうか?
試合終了前にJヴィレッジのレストラン・アルパインローズに行きたくてホテル棟に向かう。帰りの電車まで時間があったし、潮目丼を食べる。要するに海鮮丼。この辺りは良い漁場であり、広域合併でいわき市になった小名浜港は良港なのだ。名前の通り潮目でもある。美味しい。魚介物専門レストランでもないのに美味しい。ゆっくり閉店の14時半まで粘り、15時過ぎの帰りの電車に乗る。 なお帰りの電車は4両繋いでいて、たまたま座れた。帝長の試合では前半で帰り、12時50分の電車で帰る人も見かけて、観客が分散されたのかもしれない。
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