2023年06月10日(土) |
高校総体大阪府大会準決勝 金光大阪−履正社 近大附−関大一 |
高校総体大阪大会は全国への出場枠が2つある。少し前まで上位4校による決勝リーグ方式での開催だった。この方式は公平ではあるが問題もあった。つまり両者戦わないゲームができてしまうのだ。攻めたら失点のリスクも高くなるのがフットボール。攻めても得るものが少なく、失点すれば全国を失うケースというものがフットボールには存在する。そのため両者ダラダラと自陣でボールを回し、相手も全くボールを奪いに行かないゲームが数年前大阪大会決勝リーグで存在した。そこで完全トーナメント戦にして準決勝の勝者2校が全国行きということにしたのである。無論決勝や3位決定戦はほとんど何もかかっていない。決勝はまだ全国高校総体の組み分けに影響するが、3位決定戦は何もかかっていない。しかし負けたらすべてを失う、というゲームでもないので、ダラダラと自陣でボールを回すゲームにもならない。トーナメント戦だからくじ運が大きく影響し、公平性には欠けるが、仕方がないという判断である。コロナ禍での大会方式変更なので、準決勝開催されてから観戦するのは初めて。
大阪府は全国屈指の層が厚い地区だ。昨秋の選手権予選はベスト4に大阪府3部リーグ(上から数えて6部リーグ)の大商大堺が進出したし、今高校総体はベスト8に同じく大阪府3部リーグのアサンプションが進出し、金光大阪に0−1で敗れた。ベスト4の第1試合は全国リーグであるプレミアリーグの履正社とプリンスリーグ2部で絶好調の金光大阪だ。
金光大阪 11番10番 八番六番七番九番 五番三番四番二番 一番
履正社 九番 十一十番七番 八番二十 三番五番四番二番 十二
すぐに気づいたのは金光大阪2トップの能力の高さだ。金光大阪のスタイルは伝統的に運動量豊富で前線にロングボールを当てるカウンター。FWは小柄で機動力あふれるタイプを起用する。が、この2トップは違う。大柄ながらスピードもあり、なかなかのタレントだ。11番がトップ、10番がシャドー的で、この二人に当てると履正社センターバック陣では歯が立たず、足もとは潰せず、空中戦でも負けて、確実に起点になる。金光大阪もロングボールの精度はあるから2トップに合えばいいカウンターになる。守備面でもセンターバック4番は効いている。中盤は運動量頼みなのは変わらないが、行けるところまで走る、というスタイルに迷いがない。7番はレフティで右コーナーを蹴る。 履正社の特徴は中盤が10番を囮にサイドハーフ7番と11番が中に突っ込み、決めにかかる。サイドバックがサイド攻撃の主役である。20番が左足で9番にどんどんくさびを当てる。9番は強くでよく走り起点になる好選手だが、金光のセンターバックもなかなか厳しく当たる。センターバックは前述のように大苦戦しているのでサイドバックやボランチのフォローが欲しかった。ゴールキーパーやセンターバックはビルドアップ能力を買われているのだろうが、結果的には金光のストロングポイントとの噛み合わせが最悪だった。
金光は10番がタメて7番北村がペナ左を駆け上がりスルーパスを受けてキーパーを外し角度のないところを左足で決めて先制。さらに10番が競って起点になり9番の右クロスを11番ヘッドで前半は2−0。
ハーフタイムで履正社は左サイドバックに18番を入れてその正確な左足クロスをヘッドで追いつくが、彼は左足クロスだけを買われて入ったか、左足を切られると機能しなくなる。そして金光は中盤をそうとっかえして10番をボランチに下げて12番をトップに入れると、その12番が左カウンター、ペナ内シュートは1度セーブされるが自ら蹴り込み3−1として金光が勝ち、全国行きを決めた。
まあこのゲームについては金光大阪のほうが強かった。11番10番は全国でも期待できるでしょうが、走る金光大阪は全国の連戦向けのチームじゃないし、2トップへの負担は絶大だ。全国制覇は厳しいと思う。が、ベスト8なら狙える。決して大崩れするタイプでもないし、タフな我慢比べに強い、勝負に辛いチームだ。
第2試合はプリンスリーグ1部の近大附と大阪府1部リーグの関大一だ。
近大附 九番十八 八番十番 六番七番十一 二番五番三番 一番
関大一 九番七番 十三六番十二十八 八番三番五番二番 一番
関大一 GK1ハシモトDF8イマイ3カモガワ5中?2?12ウメハラ6ニシダ13?18?7タケダ9イマニシ
近大附 GK1ニシダ2?11シモヤナギ3ヤマグチ5?6マエダ7ナノ?8ハラダ10?シタ 11?9ウエダ18?
近大附は長年チームを指揮した山田稔先生が退任されたという情報をいただいたが確認できなかった。試合前の場内放送では監督名の紹介があるはずだが間に合わず、ハーフタイムの放送では監督名は省略されていた。
このカードは近大附が筋骨隆々、関大一が「月まで走れよ」というチームで、つまり近大附は苦手な走りっこ、関大一は苦手な肉弾戦を強要される形になる。
近大附は3バックで真ん中のキャプテン5番はキック力を生かしたロングボールを蹴り、左ウイングバック6番はすさまじいロングスローがある。右ウイングバック11番は立ち上がりから華麗なテクニックを見せ、山田先生なら使わないタイプ。7番は屈強な潰し、10番はパワフルで飛び出せる選手。2トップも屈強だが正確なボールはなかなか入らない。
関大一はボランチ6番と12番が強力で、正確な捌きでサイドチェンジを繰り返し、よく走るサイドバックの攻撃参加を促す。12番はレフティ。センターフォワード9番は近大附とパワー勝負で渡り合える。センターバック陣は連携がいい。ともに「走る」チームの金光と関大一を比較すると、連動して前に進む点では関大一に分がある。100パーセントカウンターの金光と、自ら仕掛ける関大一との違いというか。
試合は注文相撲通り。スタミナでは関大一に分があるから、近大附は前半でリードしたい。で、11番が右寄りからクライフターンを決めて左足ミドルを叩き込み前半は1−0で近大附がリードした。
後半、関大一が強力なボランチ6番と12番がポジションを高くして決めに来た。前半は捌きに徹していた。そして左コーナー、キーパーがパンチしたボールをミドル、キーパーの手前で10番が逸らしループ。1−1。さらに10番の右クロスにファーで13番スタンディングヘッドで1−2。近大附は最終ラインに4番を入れて5番を1列前に上げて全部競らせるが、関大一も攻め気を失わず、左クロスに10がトラップ、近大附キーパーよく触るが12番が蹴り込み、1−3で関大一が勝利して全国へ。
関大一はやはり走り勝った。チームを機能させたボランチが素晴らしかった・このチームも大崩れしないタイプ。やはり全国制覇は厳しいだろうが、ある程度の好成績は期待できる。大阪代表の両校の活躍を期待したい。
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