サッカー観戦日記

2013年10月12日(土) プリンス参入戦 履正社−郡山 近大新宮−神国大附 比叡山−立宇治

この日はプリンス参入線一回戦。プリンスは来年から1部制になる。プリンス1部8位の野洲と2部優勝の阪南大高、同2位の神戸弘陵がシードで決定戦に登場。その3チームに挑戦するチームを府県リーグ優勝の6チーム同志の対戦で決める。またプリンス1部の上位3チームで大阪桐蔭・京都橘・東山がプレミア参入戦で勝ち上がった場合、プリンス参入戦で敗れてもプリンスの成績上位から来年度のプリンスに参加できる。つまり野洲は優位になる。またプレミアからG大阪の降格もあり、そのつど調整とのことだが、参入戦勝利チームのプリンス参加を保証するとのことなので、では代わりにどこが降格するのか、とかレギュレーションがわからない部分がある。

第1試合は履正社(大阪)対郡山で勝者が2日後野洲と対決する。

プリンスリーグ関西参入戦1回戦
履正社高校−郡山高校
堺S8 10月12日 9時45分 ピッチ人工芝 晴れ

履正社          郡山
−五三−−二四−−三番− −−−三二−−三八−−−
−−−四八−−四四−−− −−−−−−−−−−−−
−−−−−二六−−−−− 三七−三一−−三十−四四
二五−五六−−二七−十三 三五−五五−−四七−六十
−−−−−三十−−−−− −−−−−七四−−−−−

立ち上がりから履正社は一方的にパスを回す。しかし局面で1対1を迎えても、ほぼ100パーセントパスなので打開はできず、シュートには持ち込めない。郡山はバランスを保つが、振り回されているので、90分ゲームにおいてスタミナが持つのか、心配だ。郡山では32番の突破力や30番の正確なキックが目を引く。履正社では48番と44番が正確なパスワークと前線への飛び出しを見せるが郡山はしっかり付いていく。淡々とゲームが進み、24分、履正社の左CK、ファーで3番が中に折り返すがクリア。27分、郡山の右FK30番が右足で中に入れるがニアでGKがはじく。29分、履正社53番の左クロス、ファーから44番、GKの脇を抜く。1−0。履正社25番に警告。すかさず25番→6番を右CBに入れて17番を左SBに回す。37分、履正社、右パスに24番シュートもGKセーブ。決定機。44分、履正社パス回しから44番ミドル、右に外れる。決定機。45分、履正社、左FK、53番飛び込むもGK抑える。結局前半は1−0で終了。

履正社はパスの美学にこだわるのはわかるが、もっと仕掛けないと点は取れない。90分トータルで相手を疲れさせればいいと思っているのだろうが。前半シュート数は5(2)対2(2)、CK数は3対2、GK数は3対3、クロス数は6対0、ファウル数8対3。ほとんど郡山サイドでのゲームだった。

後半も流れは変わらない。5分、履正社、右クロスにファーで53番落とし3番シュートもブロック。13分、履正社24番、左から突っかけるがカットされる。15分、44番→52番。18分、履正社、右CKに26番の左足から左に流れ48番のクロスに6番ボレー、当てただけ。26番の左足でのパスワークも見事。22分、郡山55番に警告。ドリブル引っ張った。履正社24番→12番。26分、郡山、スルーパスに38分が反応するが履正社GKキャッチ。30分、履正社17番、フリーで左クロスもGKキャッチ。31分、郡山31番のパスに32番右シュートも上に外れる。37分、郡山44番→66番。39分、38番→76番。郡山は相手のパス回しにすっかり運動量が落ちたが、それでも履正社は頑として仕掛けない。結局1−0で終了。

後半のシュート数は6(2)対3(1)、CK数2対0、GK数0対7、クロス数5対0、ファウル数8対6。ペースは圧倒的に履正社が握っていたが、物足りなさも感じた。もっと点を取りにいけただろうと。郡山は仕掛けはよかったが、守備力が足りなかった。引いて守ってロングカウンター狙いが、それも不発。力の差を感じましたね。

これで履正社は2日後、野洲とのポゼッションサッカー対決となった。支配力では履正社、突破力では野洲というカード。結局6−0で履正社が勝利して来年度のプリンス関西への参加を手にした。野洲はプレミア参入戦に1チームでも勝てば残留できるが、とにかく他力本願となった。




第2試合はなかなか注目のカードだ。近大新宮が昨年の選手権和歌山予選ベスト4。新宮といえばもともと和歌山市周辺〜有田付近のみ野球が盛んなために野球どころと誤解されている和歌山随一のサッカーどころ。しかし近年、初橋や近大和歌山の強化で埋もれてしまった。地元出身選手だけの新宮勢に対し、大阪から選手の流れる初橋などに対抗できなくなってきたのだ。それだけに近年強化してきた近大新宮への期待は大きい。対する神国大附は3月に県リーグ観たときに、これは全国制覇すら狙える戦力だと思った。2年生CB5番は体はできてないけどジャンプ力とか寄せ方とか身体能力は高かったし、バックラインを押し上げての猛烈なプレスで何もさせなかった。だから高校総体予選で思いのほか早く負けたのが意外だった。今年観た兵庫のチームでは一番強いと思った。

プリンスリーグ関西参入戦1回戦
近畿大学附属新宮高校−神戸国際大学附属高校
堺S8 10月12日 12時 ピッチ人工芝 晴れ


近大新宮         神国大附
−−−九番−−七番−−− −−−十番−−十一−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−八番−−−−−
十八−三番−−八番−二番 −十七−−七番−−二十−
五番−四番−−二四−十四 十八−四番−−六番−三番
−−−−−一番−−−−− −−−−−十二−−−−−

近大新宮はすぐに18番が素晴らしい選手であることがわかった。遠くが見えていてスルーパスが出せて、自ら突破もある。いきなり左シュートは右ポストをたたく。決定機。8番はセットプレーで伸びるストレートボールを蹴っていて面白い。神国大附も8番がFK担当。12分、神国大附、ロングボールに11番落として10番、左シュートも近大新宮GKセーブする。超決定機。両者極めてコンパクトなサッカーをしていて、高いバックラインの裏を狙い続ける。24分、近大新宮、右FKに8番のボールに競り勝って9番シュート、上に外れる。決定機。32分、近大新宮、2番に警告。神国大附10番の突破をとめた。神国大附はCB主将の4番が堅実でリーダーシップもある好選手。34分、近大新宮、ロングボールのこぼれを18番シュート、セーブ。決定機。36分、神国大附LB18番ふわりとした左クロスに10番がGKに高さで競り勝ち0−1。近大新宮GKは小さすぎる。普通決まらないゴール。直後に神国大附8番のパスを20番右シュート、決まって0−2。20番はタテへの仕掛けが鋭い。40分、神国大附7番からスルーパスが10番へ、しかし近代和歌山GKキック。42分、神国大附、右FKをGK飛び出してパンチも無人のゴールに11番蹴りこむ。0−3。直後には神国大附11番のカットから10番へ、決まって0−4。結局前半は0−4で終了。シュート数5(3)対6(6)、という数字から両者シュート精度は悪くないことがわかる。しかしチーム力の差は歴然としていた。近大新宮も決して弱いチームではないのだが。

ハーフタイムで近大新宮5番→11番。2番が左SBに下がり、11番がFWに入り、7番がボランチ、8番が右のハーフに大きく布陣変更。開始すぐ近大新宮、右CKで8番のストレートボールを4番ヘッドも上のネット。神国大附は相手との距離を詰めていてスライディングタックルが多い。10分、神国大附右CK、8番のキックに6番飛び込んで決まって0−5。16分、近大新宮18番(キョウゴ)→10番(フカワジュンヤ)。18番がばてていたとはいえ、10番が途中出場とは本来のエース?それとも10ばんが3年生で18番は2年生だからエースナンバーをもらえない?いずれにせよ、10番もなかなかいい選手。18分、近大新宮3番→25番。18分、近大新宮11番右から仕掛けてシュートもワンバウンドでGK正面。23分、神国大附11番→23番。28分、近大新宮、右突破からクロスに10番届かず。神国大附3番→5番。3月に観た逸材だ。6番が右サイドバックに。近大新宮も9番→15番がFWに。28分、神国大附17番→26番。28分、近大新宮14番→20番。35分神国大附、7番→14番。41分、近大新宮11番が仕掛けて神国大附5番を外してシュートもGKキャッチ。11番もなかなかいい選手ですね。10番といい、怪我で温存していた?44分、近大新宮11番、右から切れ込み左足シュート、神国大附GKかろうじてセーブ。なんというか、圧倒的に押しているチームって、得てしてGKの出番というか見せ場を作るための様な相手のいいシュートが飛んでくることがよくある。ここで決められて大勝にミソをつけるキーパーと好セーブを見せて防ぐキーパーには確実に違いがある。神国大附キーパーはいい例だ。ロスタイム、神国大附、左CKから19番、GKと1対1決める。0−6。結局0−6で終了。なお注意すべき点がある。各種情報によればこのゲームの最終スコアは0−5となっている。取り消しになったゴールには気づかなかったし、すべてキックオフから再開されたと思うのだが、とにかく限りなくオフィシャルに近い発表だから、私のメモにミスがある可能性が高い。

神国大附はやはり全国制覇を狙える高校だと思った。昨年の全国高校総体優勝の三浦学苑よりもおそらく強い。もちろん全国制覇の可能性を秘めた高校はたくさんある。同じ兵庫の滝二だって可能性はあると思う。大阪なら何校にも可能性がある。しかしその中でも神国大附は上位に入る。ここのハイプレスをかいくぐれるチームは全国にもそうはないと思いますよ。近大和歌山も大敗したけど弱いとは思わない。初橋・近大和歌山・和歌山北にも引けはとらない。交代出場の10番・11番はなかなかのタレントだし、スタメンの18番もいい。普通にいいチームだと思いました。

さて2日後、阪南大高とのハイプレス勝負は終盤までスコアレスだったが、ロスタイムに阪南大高がゴールして勝ったらしい。実力的には神国大附が一枚上だと思ったが、中1日で90分ゲームは厳しかったか。決定力不足だったようだし。ちなみに夏の全国高校総体関西勢展望でも書いたが、阪南大高は組織力の高い好チーム。ここも全国制覇は狙えると思ってます。今年の大阪は激戦区だから予選は甘くないけど。




第3試合は高校総体滋賀予選準優勝の比叡山が登場。個々の能力は高くないが、しっかり教え込まれていて、攻守に数的優位を作りフリーの味方を使って楽な体勢でボールを受けるパスサッカーと1対1で抜かれてもしっかりカバーのいる守備が印象的だった。対する立宇治は個々の能力が高い。京都ユースと提携していることでも知られる。


プリンスリーグ関西参入戦1回戦
比叡山高校−立命館宇治高校
堺S8 10月12日 14時15分 ピッチ人工芝 晴れ

比叡山          立宇治
−−−−−五番−−−−− −−−十八−−五四−−−
九番−−−十番−−−十一 −−−−−−−−−−−−
−−−八番−−七番−−− 二七−六番−−四四−五十
六番−三番−−四番−二番 二三−五番−−十九−十六
−−−−−一番−−−−− −−−−−七七−−−−−

4分、比叡山、右CKを6番が蹴り、ニアで11番がそらす。決まって1−0。5分、キックオフ直後のバックパスを比叡山10番がカット、1対1を決めて2−0。比叡山は5番が快速。10番がアイディア豊富なテクニシャン、7番がクレバーで周囲がよく見えている選手。個人能力で目立つのはこの3人くらい。立宇治のほうが個々の能力では明らかに上。12分、立宇治27番左クロスが18番に入るがオフサイド。立宇治は両サイドの能力が高い。13分、立宇治、44番がミドル狙うもブロック。直後に比叡山は9番のスルーパスに5番が右を抜けて左足でカーブをかけたシュート、キャッチ。決定機。20分立宇治、50番→59番がFWに入り、54番が右のハーフに。59番は体が強そうなFW。31分、立宇治、18番の左クロスを59番ボレー、決まって2−1。36分、比叡山、9番の左クロスを5番ワントラップシュートもブロック。37分、立宇治54番→79番。そのまま右のハーフ。比叡山は相手コーナーをゾーンで守る。クレバー系のチームによくあること。41分、比叡山、左利きのLB6番がアーリークロス、11番が大外でボレーも外れる。結局前半は2−1で終了。

シュート数8(4)対5(4)、CK数4対1、GK数2対7、クロス数5対4、ファウル数7対2。比叡山が巧みなゲーム運びを見せる。しかし立宇治の能力から言ってまだまだわからない。

ハーフタイムで立宇治16番→82番。右SB。立宇治、ロングボールの放り込みから59番落とし18番左へ回り込んでシュートも右に外れる。決定機。15分。比叡山、2番の持ち上がりからスルーパスが5番にとおりGKと1対1、しかしシュートは足でセーブ。超決定機。17分、立宇治RB82番が右を突破、強引に個人能力で抜けてクロスを59番が決めて2−2。セオリーを吹き飛ばす能力差が出てしまった。19分、比叡山9番→18番が右にハーフへ、11番が左に回る。ちなみに11番はレフティー。20分、立宇治59番シュートはバー。決定機。23分、比叡山、スルーパスに10番抜け出し左からGKと1対1を右隅に決める。3−2。10番は足元に受けるプレーと飛び出してスペースで受ける動きのバランスが素晴らしい。26分、比叡山5番、足裏タックルで立宇治5番を倒し警告。27分、比叡山10番→19番、立宇治6番→62番。比叡山の10番は戦術上の要だが、体力消耗の激しさからか?30分、立宇治5番に警告。オフェンスファウル。立宇治18番→34番。33分、立宇治、右クロスを比叡山GKパンチも27バンドフリーシュートは上に外れる。決定機。33番、比叡山5番→22番。34分、比叡山7番鋭いスルーパス、8番が右を抜けてクロスに11番流し込むだけ。4−2。5番も10番もいないこの時間帯、比叡山で一番怖いのは7番なのに、みすみす決定的なパスを許した。比叡山の2トップは快速で徹底的に裏狙い。比叡山は8番→16番。運動量を補強して逃げ切った。

両者ゲーム運びがまずかった。比叡山は2点リードを追いつかれたし、立宇治は個人能力が低いという比叡山の弱点を徹底的につけなかった。1対1なら全部仕掛けてもいいし、FWにどんどん当ててもいい。とにかく早めに前線に送るべきだったと思う。サッカーは駆け引きのスポーツ。相手の弱点は徹底的に突くべきだ。レベルの高い高校選手権京都予選を勝ち抜く力はある。しかし忘れてはならないのは京都府リーグ1部の優勝は京都橘B。繰上げで立宇治が参入戦に出場できたということだ。ライバルは手ごわい。この日みたいに真っ向勝負だけではどうにもならないだろう。

比叡山は決定戦で神戸弘陵に敗れ、プリンス昇格はならなかった。とはいえ、滋賀を勝ち抜く力はある。今後が楽しみ。


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T.K. [MAIL]