サッカー観戦日記

2012年02月11日(土) 京都高校新人戦準々決勝 立宇治−塔南 京産大附−福知山成美

この日は京都。陸上競技場は改修中で芝が剥がされていた。放送のない球技場というのは残念。ということで、この時期特有の、選手名のない観戦記をお送りする。


京都高校新人戦準々決勝   
立命館宇治高校−塔南高校
11時 太陽が丘球技場B ピッチ並 晴れ

立宇治          塔南
−−−五四−−三四−−− −−−九番−−十四−−−
−−−−−−−−−−−− 十五−−−十番−−−二十
五三−五十−−四四−三二 −−−−−四番−−−−−
四十−十四−−五番−二番 八番−十一−−十八−十九
−−−−−四一−−−−− −−−−−一番−−−−−

塔南は中盤はダイヤモンド型、というわけではない。能力の高い4番が守備にほぼ専念するフォアリベロ的ポジションで、他のMFは横一列の引き気味。つまり4番の能力を最大限活かしつつ守り勝つ戦術だ。4番がフィジカルも守備センスもある好選手。そして7分、塔南、15番が左寄りから思い切った左足ミドル、アウトにかかって左上隅に突き刺さる。0−1。立宇治はインサイドで回せず、いい形でサイドに出ない。2トップが交互に下がったところを塔南4番に潰されている。13分、立宇治50番が飛び出し、GKと1対1もはじかれる。決定機。立宇治2番は中に入りたがる。全体に声が出ていないのも苦戦の理由だろう。33分、立宇治、強引な攻め、53番の左クロスのこぼれを54番が決める。1−1。35分、立宇治、左70度30mFK、34番のシュートは壁に当たる。結局前半は1−1で終了。

力で上回る立宇治としては焦らないことが肝要だが、70分ゲームなんてあっという間だし、ボールを回せていないので、塔南の消耗にも期待できない。塔南とすれば、前半のゲームプランでOKだ。

後半6分、立宇治32番に警告。ラフ。7分、塔南4番がボール奪って突進、一気にペナ内に突っ込み、そこで倒れるがPKはもらえず。体の強さは見事。塔南、20番→2番。9分、立宇治、54番ナイスカットから裏の34番へ、シュートは左に外れる。決定機。13分、立宇治左スペース53番に出て、塔南GKが出たところを外して決める。2−1。19分、立宇治ポストプレーから34番がシュート、右上に飛び、これはGKスーパーセーブ、しかしこぼれを落とし2番シュート、左隅に決まる。3−1。両者の力の差から言って、ゲームはほぼ決まり。塔南の集中力も切れてしまった。以後は得点経過のみ記載する。23分、立宇治54番ミドル。4−1。29分、34番の左クロスを32番決める。5−1。34分、右へ展開、中に折り返し34番コントロールシュート、ポストに当たってゴールイン。6−1。35分、スルーパスが40番に通り難なく決める。7−1。試合終了。

立宇治はイマイチだった。ボール回しがスムーズではなく、サイド攻撃が機能せず。FWが引いて受けに来ても塔南4番に潰され、中で回せなかった。塔南は4番は素晴らしかったが、チーム力としてはレベルの高い京都ベスト8としては物足りない印象。集中が切れたのも残念だった。



さて、第2試合を前に、この日の予想を書いておこう。この日は2試合とも強豪高対新興高のカードなので、勝敗の予想はついていたし、事実第1試合は塔南の4番という収穫はあったものの、勝負としては後半半ばでついてしまっていた。70分間通してスリリングなゲームではなかった。第2試合は昨年全国高校総体に出た福知山成美の登場だ。点差がつくかも、という予断もあった。あっさり勝負がつくなら途中で帰るかも、などとツイッターで呟きもした。しかしよい意味で期待を裏切られた。


京都高校新人戦準々決勝   
京都産業大学附属高校−福知山成美高校
13時30分 太陽が丘球技場B ピッチ並 晴れ

京産大附         成美
−−−九番−−十番−−− −−−十番−−八番−−−
−−−−−−−−−−−− −九番−−−−−−十一−
八番−七番−−六番−十一 −−−六番−−七番−−−
五番−四番−−三番−二番 二番−三番−−四番−五番
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

成美といえば、徹底的にショートパスをつないで崩すサッカーである。昨年のチームは「ドリブルで目の前の相手をかわさない久御山」などと書いている。システムも4−3−3だった。2番がレフティー、左足FK担当、10番が右足FK担当。対する京産大附は7番が右足FK、5番が左足FK担当である。4分、京産大附、ショートコーナーから2番右シュート、サイドネットへ。8分、成美、10番のミドルが左ポストを叩く。決定機。9分、京産大附も11番がポストプレーで落としたボールを10番シュート、GKかろうじて触る。決定機。11分、成美、8番が抜け出し、左パスを11番に出すがDFが直前でカット、右CKに逃げる。このあたりで、京産大附が単にゲームの入り方に成功したのではなく、総合力の高いチームだということが分かってきた。個人能力で成美に引けを取っていない。真っ向勝負で互角の展開に持ち込み、戦術的にも柔軟だ。全体的に強い。17分、成美、2番の右CKをファーで5番触るが上に外れる。19分、京産大附GKのフィードを9番落とし10番左シュート、上に外れる。決定機。10番はなかなか技巧的な選手。23分、京産大附のバックパスを成美8番カット、10番へ、しかしタッチが大きくGKが押さえる。決定機。その後膠着。結局0−0で前半終了。

全く互角の前半だった。京産大附はサイドハーフがどんどん飛び出し形を作る。また無理に飛ばしている感じもない。今年の成美が弱いわけでは決してない。成美は10番が引いたり色々ポジションを工夫して攻略を図ったが、京産大附もよく対応。両チームのGKはレフティーだった。

後半3分、成美は8番が裏に飛び出し右パスに10番がダイレクトも左に外れる。ワンタッチあったみたい。決定機。その左CKで3番がニアでヘッド。決まって0−1。6分、成美ロングフィード、10番がキープし中の9番へ、シュートはセーブ。決定機。8分、成美の左CKを奪った京産大附カウンター10番から猛ダッシュを見せた5番が左シュート、右ポストを叩く。決定機。12分、京産大附GK1番→17番。ケガによる交代。13分、成美、裏を取った10番がGKと1対1も正面へ。決定機。15分、成美2番が右突破(メモまま)、右クロスを8番シュートも右に外れる。決定機。成美11番→12番。ここからゲームは膠着する。成美が逃げ切りを狙って意図的に膠着させた。中盤での潰しあいに終始。両者中盤を作るタイプだが、大きな展開やロングパスも欲しい。31分、京産大附9番シュートもGKへ。結局0−1でタイムアップ。成美が逃げ切った。

勝敗を分けたのは成美がセットプレーを決めたのに対し、京産大附は決定機にポストに当てた、ただそれだけの違いだった。全くの互角。

成美は10番のアイディアのあるプレーと8番の献身的なプレーが光った。6番、7番のボランチコンビは忠実でミスが少ない。逃げ切れたのはこの2人によるところが大きい。両サイドバックもタフだった。一方京産大附だが、この翌日のベスト8も観た限りでは、京都5番手といったところか。5番手といったら失礼ととる人もいるかもしれないが、レベルが高く混戦の京都で真に5番手の力があれば、十分全国は射程圏内だし、全国でも戦える。突出した武器に頼るのではなく、トータルな能力の高さがある。学校として強化を始めたのか、たまたまいい選手が集まったのかは分からないが、このレベルなら相当面白い。


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T.K. [MAIL]