2005年08月01日(月) |
雑文 第10惑星発見の報に触れて |
NASAが冥王星軌道のはるか遠方に第10惑星が発見されたと発表した。その直径は冥王星と同等から1.5倍だという。この天体を「惑星」とよべるかどうかにについては議論のわかれるところだ。
惑星の定義ははっきりしない。その軌道近辺の質量を独占的に占有していること、というのがおおまかなところだが、冥王星の場合明らかにこの定義から外れる。そのため現在では専門家の間では冥王星は惑星とみなされていない。エッジワース・カイパーベルト天体の一つに過ぎないというのが現状である。
新たに発見された天体は太陽にもっとも近づいた場合53億キロ、もっとも離れた場合145億キロという極端な楕円軌道をとり、しかも黄道面から45度も傾いているという。このような天体は今後数多く発見されることが予想されているため例え冥王星よりも巨大な天体であったとしても「惑星」と呼び難いのだ。冥王星より多少大きい程度の天体を惑星と呼ぶには無理がある。
ところでエッジワース・カイパーベルト天体の中に極端な楕円軌道を持つものが多いのは謎だ。太陽系は円形状に回転するガスが収縮し、中心部が太陽に、また周辺部のうち固体成分は直径数キロ〜数十キロの種惑星となり、これが激突・合体を繰り返しガスを取り込んで惑星に進化した。種惑星の激突はランダムなものであり、合体してできた天体の軌道もまたランダムなものだが、もとの種惑星の軌道が円形かつ黄道面に沿っているだけに、激突を数多く繰り返すほどその軌道も円形かつ黄道面に近い天体となるはずである。したがってエッジワース・カイパーベルト天体の特異な軌道には外的要因があるのだ。
考えられることは、楕円軌道の最短部と最遠部の間に巨大質量が存在する、あるいはかつて存在したということだ。前者なら真の第10惑星の存在、後者なら恒星の通過などのカタストロフとなる。前者ならとっくに発見されていて良いはずなのだが……。後者なら黄道面に対し極端に傾いた天体の存在が不可欠なのだが、今回の発見で、その可能性が高まったということか。
真の第10惑星の発見というロマンの可能性は薄くなったが、今後とも変わったエッジワース・カイパーベルト天体の発見が続きそうである。
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