2004年06月20日(日) |
関西女子リーグ ラガッツァ−三木ドリームス Lリーグ スペランツァ高槻−日テレ・ベレーザ |
朝っぱらからヨーロッパ選手権をビデオ観戦。灼熱のポルトガル開催なのに大会前に「決勝はチェコ対スウェーデン」と主張して奇特の目で見られてしまった手前、チェコの状態を確認しておきたかった。オランダの先制点の際のポボルスキーのマークミスには思わず「金もらってるだろ」と大久保風にテレビに向かって毒づきたくなったが、なんとか逆転勝利を確認して家を出る。
台風は意外にゆっくりと北上し、前日の降水確率50%がこの日の朝には20%にダウン。雲は多いが風はそれほどでもなく、むしろ蒸し暑い。今期2度目の関西女子リーグ観戦、そしてLリーグ・スペランツァFC高槻のホーム初戦をみるべく萩谷へ向かう。
関西女子リーグは昨年までラガッツァの1強時代が続いていた。が、今期INACが1部昇格とともに劇的に強くなり、全勝で独走している。GWには伝統あるマガジン杯をも制している。ちなみに大会スポンサーは以前は雪印乳業だったが、困った衛生管理体制が発覚してスポンサーも降りて、その後消費者の信用を失った牛乳部門は廃止された。で、今年のスポンサーはメグミルク。そう、雪印の後継牛乳会社である。さすがにここの牛乳を飲む勇気はない。INACを観に行こうと前回足を運んだときは、対戦相手で昨年のレディースサッカー大会全国制覇チームのUSEDが人数不足ゆえ棄権してしまい観戦できず。
さてこの日の対戦カードは今期ともに4勝1分1敗で2位を争うラガッツァFC高槻スペランツァと三木ドリームス。三木ドリームスは全女関西大会の準々決勝以来の観戦となる。
関西女子リーグ 第7節 ラガッツァFC高槻スペランツァ−三木ドリームス 6月20日(日)萩谷サッカー場 11時 ピッチ良 晴 弱風
ラガッツァ 三木 −−−二八−−二五−−− −−−七七−−八八−−− −−−−−二四−−−−− −−−−−七番−−−−− −四五−−二三−−九番− −二二−−十六−−五五− 三九−十四−−二番−五番 十五−四番−−五一−二一 −−−−−七番−−−−− −−−−−八番−−−−−
選手交代は小まめで再入場もアリなので全部書かないことにする。
ラガッツァはLの下部組織らしく自陣からパスを繋いでサイドを崩しにかかる。全員MFに見える。ボランチ23番(乃一、以下呼び捨て失礼)が得意のミドルパスで左右にボールを振り分ける。24番(エミ)はボールを持てばどんどん前に仕掛ける。28番は長身でポストプレーヤー。SBが次々に攻撃参加して分厚いサイド攻撃を繰り返す。一方攻撃時には守備がややおろそかになることも・・・・・・。
三木には昨年圧倒的なパフォーマンスを見せたFWがいない。その分ショートパスを丁寧に繋ぎチャンスを伺う。中盤に好選手が多い。22番(クミ)がFK担当。16番主将(シマダ)は良く動いてピンチの芽を摘み取ると同時に強いパスも出せる選手。7番(マヤ)はスルーパスを常に狙う。4番(リョーチャン)はカバーリングにしっかりした守備の要。77番(ナナ)はウラを良く狙っている。
序盤から技術に優るラガッツァが攻め込み、三木が守る展開となる。三木もボールを繋ぐスタイルながらサイドを破るには至らずクロスは上がらない。そのため攻撃は中央へのスルーパスが命となる。7分、ラガッツァが正面30mFK。23番乃一が狙うが左に外れる。9分、三木GKの左足フィードからタテ1本のパスに77番(ナナ)が裏に抜け出して決める。0−1。ラガッツァはボールを回してサイドからクロスも上がるがそこでミスキックしてしまい、中に合わない。またパス自体もスリータッチ以上のものが多くラガッツァ本来のリズム感に欠け、バイタルエリアでのスピード感もなかった。22分には給水タイム。ここで双方選手交代を行なう。31分、ラガッツァは5番(サキ)の右クロスを28番が落とし23番(乃一)のミドル、GK正面。綺麗な崩し。しかし三木もすぐカウンターから99番がシュート、これもGK正面。この当たりからラガッツァにダイレクトやツータッチでのパスが増えてパス回しが小気味良いものとなる。34分、ラガッツァ左CKで23番(乃一)キックを14番(井上)ヘッドは三木DFがライン上でブロック、クリアを拾った5番(サキ)のシュートは左に外れる。36分、ラガッツァ41番の左クロスを28番が決めて1−1の同点とする。そのまま前半終了。
前半のシュート数は10対3、ゴールキックは1対10、クロス数は6対0、CKは4対2。ラガッツァが押し込んではいたがクロスに精度を欠いたこと、三木にスルーパスを出せる選手が複数(7番、22番)いた為にチャンス数では大きな差はなかった。
後半3分、ラガッツァ右CK。23番(乃一)からファーの14番(井上)がヘッド、三木も必死のライン上ブロック、しかし再び14番が蹴りこみラガッツァが2−1と逆転する。三木は前半とペースは変わらず、ゆっくり繋ぎスルーパス狙い、またはカウンターからDFの裏へのパスに勝負を賭ける。ラガッツァは攻撃時に三木FWを見失うことがあり、有効な攻撃ではある。しかし暑さのためか三木の運動量が落ちて、全体が下がり、パスの出し手とFWの距離が開いてしまい、タテへの単調な放り込みが多くなる。15分、自陣に引いた三木のサイドのスペースにラガッツァ5番(サキ)がスルスルと上がりボールを持ってスピードに乗り中央に突っ込む。ペナ手前で三木の選手の足に当たり、ペナ内にこぼれたところを5番自身が蹴りこんで3−1。迫力ある攻め上がりだった。全体的に運動量の落ちた三木としては苦しい状況となったが、粘り強く守りラガッツァにシュートチャンスを与えない。しかし自らもシュートチャンスを奪えない状況に陥ってしまった。双方小まめに選手を入れ替えつつ運動量低下を抑える。特に決定機がないままタイムアップ。ラガッツァが3−1で勝利した。
後半はシュート数4対1、クロス数3対0。20分過ぎから双方シュートチャンスがほとんどなく、消耗戦となり、無難にラガッツァが逃げ切った。
関西女子リーグからLまでは1時間以上も間がある。少しサッカー場を離れてキックオフ10分前に戻りLリーグのプログラムを購入すべくスタンド下に行ってみればなんと売り切れ。前代未聞である。更にスタンドには観客が300人以上いる。驚いた。こんなこと初めてだ。オリンピック効果というのは大したものだ。もちろん周囲の努力あっての事だが。
午後2時になっても台風の影響は全くない。微風のままで暑い。もう少し接近してもいい位。開幕戦は高槻が伊賀に2−0からの逆転負け。ベレーザは大原学園に1−0と辛勝している。
日本の女子を引っ張ってきたベレーザは抜群の技術とスピードを誇り直接対決ならば日本代表よりも強いのではないだろうか。高さとパワーには欠けるので世界相手では日本代表以上につらいだろうが、小技の効いたサッカーは魅力的だ。萩谷に向かう理由のひとつもベレーザにある。
Lリーグ 第2節 スペランツァFC高槻−日テレ・ベレーザ 6月20日(日)萩谷サッカー場 14時 ピッチ良 晴 弱風
高槻 日テレ −−−−−上辻−−−−− −−−荒川−−山口−−− −−−−−庭田−−−−− −−−−−大野−−−−− 相澤−松田−−高倉−鳥越 −−小林−酒井−近賀−− 中鍋−下小鶴−奥田−高見 豊田−須藤−−四方−中地 −−−−ウォルシュ−−− −−−−−小野寺−−−−
高槻は4−5−1。全員MFに見えるタイプ。フラット4を極端なまでに高く押し上げる。CBはともに長身でボランチ出身。技術面がしっかりしていて組み立てることができる。両SBはともに堅実。守備重視。SHはともに攻撃意識が高い。主将の相澤は快速レフティー。CHは高倉が落ち着いてゲームコントロール。松田が良く動いて守備に貢献しつつ重心の低いドリブルも。庭田がトップ下的にドリブルは交えつつパスを狙うが、ストライカー意識は低い。1トップ上辻も本来サイドの突破役。 下小鶴がA代表、鳥越・高倉・相澤・庭田が代表経験者。奥田がU−19代表。また下小鶴と相澤はユニバー準優勝経験者。
ベレーザは中盤をダイアモンド型にした4−4−2。伝統的に全員が抜群の技術を誇り身体能力も高い。ポジションチェンジを多用し、近賀と小林がサイドを変えることも多い。近賀がFK担当。SBは高いポジションを取り攻撃意識が強い。CBは比較的長身で流石に技術は高い。中盤での圧倒的なボール回しからスルーパスを狙うスタイル。大野はスピードもあり、FWを追い越す動きも出来る。 小野寺・中地・須藤・酒井・小林・大野・荒川がA代表経験者。近賀・四方が候補。豊田・山口がU−19代表。近賀と須藤はユニバー準優勝メンバー。エース澤は負傷中。
ゲーム前に高槻の選手たちがサインボールをスタンドに投げ入れる。キックオフから日テレがボールを回し高槻がプレスをかける。高槻はバックラインをハーフラインから10m前後まで押し上げてベレーザの中盤でのパス回しを封じにかかる。しかし中盤の守備はベレーザの選手と比べるとやや淡白で激しく潰すシーンは見られず、ベレーザのキープ時間は長い。高槻はチャージもインターセプトの狙いはなし。そのためカウンターは発動せず。ベレーザはMFが前を向けないのでDFからバックラインの裏を狙うが全てオフサイド。俊足荒川が一度でも裏を取れば即失点というハイリスクの守備方法である。10分5秒、つまり公式的には10分、裏へ出たボールにGKウォルシュが「keeper!」と美しい発音で指示しつつ飛び出すが、躊躇してスピードが緩まり荒川が距離を詰めたところにクリアを当ててしまいそのままゴールイン。思わぬ形でベレーザが先制した。17分、ベレーザがバックライン裏サイドに入れ、GKウォルシュがやや躊躇、下小鶴が体を入れてゴールキックを取ろうとするが、山口が体を入れてCKを獲得。20分、近賀がハーフ付近から裏を突くフィードにウォルシュが「keeper!」と言いながら出てくるが、またしても躊躇、クリアできたはずのボールを荒川が先に触りゴール。2点目。26分、近賀の左CKに須藤が中でヘッドに競り勝つが外れる。28分、荒川が中鍋の裏を突いて飛び出しパスを受けてゴールライン際からクロス、大野にはDFよくついてシュートは触っただけ、右にこぼれたボールに荒川が追いつくが完全にオフサイド。30分、上辻から庭田へパス、ペナ右に入り須藤を左への切り返しでかわしたところを豊田好カバー。31分松田が中盤から低重心の力強いドリブルで二人かわして左の相澤へ、庭田へのクロスがこぼれたところを松田シュート、GK小野寺も好セーブでCKに逃げる。決定機。このCKのクリアの際大野が右肩を痛めるが、なんとかピッチに復帰。35分過ぎからややゲームが落ち着く。前半は0−2で終了。
前半はベレーザがボールを支配したが、後方でのパス回しが多くシュートには持ち込めない。シュートは3本で、崩したものは28分の大野の触っただけのシュートのみ。一方の高槻もシュートは2本で、ついに中盤で奪ってからの速い攻めはなかった。FWがタメを作れたり、かき回せれば良かったのだろうが・・・・・・。高倉の運動量が気になったが、暑さで自重したのか。アップダウンによるDFラインの消耗が気になる。ベレーザは荒川以外は余裕がありそう。オフサイド数は0対5。
ハーフタイムで高槻は相澤を下げてU−19代表にして次回もその資格を持つ阪口が登場。上辻がLHに回る。後半の出だしは高槻がいい。2分、鳥越の右クロスをファーの上辻がジャンピングハイボレーに行くが届かず。さらに高倉のスルーパスを鳥越シュート、左ポストを叩く。5分、日テレも近賀から右に流れた山口へ、右クロスを荒川が落とし大野シュートはGKウォルシュが横っ飛びキャッチ。いい反応。9分、ベレーザがまたもバックラインの裏へのボール、長すぎるものの一抹の不安もよぎる。しかしここはウォルシュがペナぎりぎりでキャッチ。10分、酒井→近賀と繋ぎ荒川へのスルーパス、奥田が好スライディングタックルでカット。14分、小林、美しい左クロスに山口が頭でそらすがGKキャッチ。16分、ベレーザがじっくりしたパス回しで高槻を押し込み、近賀が中に入ってマークを引き付けサイドにスペースを作り中地が上がりフリーでクロス、ファーに流れたところを四方が追いつき左クロス、中では高槻が競り勝つが、こぼれを大野左足ハーフボレー、決まって0−3。綺麗な攻めから綺麗に決めた。後半からFWに入った阪口はスピードと技術のある選手だが、それ以上に積極的に前に仕掛けてシュートを狙う姿勢でベレーザDF陣に脅威を与え続ける。18分、阪口がペナ外で酒井にファウルされ、正面18mFK。庭田と高倉が立ち、庭田を囮に高倉がシュート、バー直撃。21分、小林が下小鶴に対するラフプレーで警告。22分、ベレーザ・山口→永里。日本代表。また湘南のFWで元国体得点王の妹でもある。快速を飛ばし裏を狙うがオフサイド連発。マークを外す動きが素晴らしい。高槻DF陣は永里の消える動きの前にマークを見失うシーンが多いが、幸い永里の欲しいタイミングでパスは出ない。27分、高槻・高倉→小中山。俊足。FWに入り庭田が中盤。高倉はすっかり動きが落ちていた。阪口・小中山の2トップはFWらしい積極性があって迫力を感じる。29分、中地に警告。あまり危険なエリアでもなく体勢もよくなかった庭田に対するやや不用意なファウル。30分、裏へのパスにウォルシュ飛び出してクリア。まあイージーなボールではあったが、とにかく初めてクリア成功。32分、日テレ・荒川→泉。いい動きをしていた荒川がここまで持つとは驚いた。ただただ凄い。35分近賀→井関。高槻は下小鶴のポジションを上げて、高見CB、鳥越RBにして最後の攻撃を仕掛ける。42分、高槻・上辻→小野村。右クロスから決定機も掴む。しかしロスタイムに大野がスピードに乗ったドリブル、右でフリーになって待ち受ける永里に出し、落ち着いて決めて0−4。高槻はベレーザの自陣パスミスを奪い小中山シュート、上に外れる。決定機。結局0−4で終了。ベレーザの完勝だった。
それにしてもベレーザのスタミナは凄かった。前半押さえ気味だったこともあるが、この暑さの中、後半に中地が激しいアップダウンを繰り返し中盤も動きを止めない。局面での激しいプレーも健在だった。高槻は守備の激しさで劣り、せっかくコンパクトに保ったゾーンで潰せず、速い攻めにならなかった。チーム戦術としてははっきりしていてある程度機能もしており、中盤で奪えるようになれば劇的に強くなりそう。阪口はやっぱり凄い。次期U−19では確実に中心選手になるだろう。 長身GKウォルシュは飛び出すプレーが大の苦手の様だ。高槻のスタイルとの相性は最悪かもしれない。長身で空中戦に強く反応もいい選手。ゴールエリアでは抜群の存在感が光る。それにしても1点目のミスの後、際チームメートが声を掛けていればと思う。2点目の時も声はかからなかったし、コミュニケーションは大丈夫なのだろうか?
さてハーフタイムでの他会場の結果・途中経過の放送にも触れておこう。
「熊本の何処何処で行なわれました湯郷ベル対ルネサンス熊本は・・・・・・」
オイオイ、ホームチームが後回しか。ということはルネサンスが負けて連敗記録更新だな、と考えていると
「4−2でルネサンス熊本が勝ちました」
ええ〜、ついにルネサンス歴史的初勝利!?凄い!!
続いて
「・・・・・・清水第八対アルビレックス新潟は1対0でアルビレックス新潟が勝ちました」
ほう、清水も結構健闘したな。・・・・・・と思っていたら
「失礼しました。・・・・・・10対0でアルビレックス新潟が勝ちました」 う〜ん、こんなものか。更に数分後の再放送で
「湯郷ベル対ルネサンス熊本は4対2で湯郷ベルが勝ちました」
サラっと訂正されてるよ・・・・・・・・・・・・。
帰りの摂津峡ではあちこちで水浴びしている人たちがいた。犬も水浴び。結局台風は来なかった。実に暑い一日でした。
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