サッカー観戦日記

2004年02月21日(土) 大阪高校新人戦準決勝 近大附−大阪朝高 芥川−関大一

この日はサッカー三昧である。プリンスリーグもかかる大阪新人戦にU−23日韓戦。当初モルテン杯決勝も考えたのだが、はしご不可能なので取りやめた。

プリンスリーグの大阪高体連枠は新人戦の最上位チームが推薦される。すでに出場権を得ている大阪朝高が準決勝を勝てば、もう一つの準決勝・芥川−関大一の勝者が、そうでなければ優勝校が出場権を得る。トーナメントの勝者がプリンスリーグ出場なんて、リーグの精神を尊重していないようでおかしい話ではあるが、よりフェアな方式を整備するのが困難な以上仕方がない。個人的には総体・選手権を含むポイント制のほうがまだマシだと思っている。リーグ参加には旧チームの実力や会場を確保するスタッフ力・経済力などを含む総合力が問われるべきだからだ。


大阪高校新人戦決勝 近大附−大阪朝高
2月21日(土)鶴見緑地 11時 ピッチ悪 晴 無風


近大附               朝高
−−−中村−−福山−−− −−−−周−−梁−−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−孫景−−−−−
長束−小柳−−寺谷−入江 −−朴−−金孟−金龍−−
山口−−森−長谷川−田中 −季−−安−−金昌−尹−
−−−−−岡本−−−−− −−−−−夫−−−−−−

近大はゾーンの4バック。この時期だけに受け渡しはスムーズではない。シンプルなクリア多用。CBはともに長身。長束が左、入江が右足のFK担当。クロスの精度も高いがスピードは普通でタテに突破するウイングタイプではなく、アーリークロスを上げるタイプ。福山が長身CFで、中村が衛星的に周囲を動く。

朝高はゾーンで守る4バックで受け渡しは細かい。現時点ではマスターできていない印象。クリア多用。高さには欠ける。中盤はダイアモンド型。ボランチ金孟がFKも蹴る。エース格の周はトラップが上手い。

序盤から近大が押し込む。1分、朝高CBのクリアが近大・中村に当たりゴール前にこぼれるが、GK夫が飛び出してシュートブロック、CKへ逃げる。シンプルな約束事がしっかりしている近大に比べると朝高は4バックのマークが曖昧で連携もまだまだ、中盤もプレスにならず、しかもフィジカルでははっきり近大に劣るため序盤から厳しい展開となる。5分、入江が中にドリブルから裏へのスルーパスに寺谷が飛び出す。が、トラップミスで決定機へは至らず。10分、正面30mFK、入江のシュートはゴール左上スミを襲うがGK夫が好セーブ、カドに当たりCKへ。朝高は攻守の切り替えに問題があり、SBは相手と戦う以前に不慣れでポジショニングに苦慮している感すらある。綺麗なミドルパスを持つ技巧派の金孟も流れの中ではいいパスが出ず、孫景もすぐ潰される。方向性としては技巧的なサッカーなのだが、結局タテのロングパス頼りとならざるを得ない。梁は強い。また周は意図のあるトラップを見せ、チーム1のセンスを感じる。18分金孟強烈な左足ミドル、GK岡本好セーブ。20分、近大も左CKで入江から長束ヘッドも左に外れる。決定機。さらに左CKで入江のボールにGK夫飛び出すが触れず、森がヘッドで無人のゴールを狙うがバーを叩く。決定機。30分には入江が金孟のチャージを跳ね返してスルーパス、中から右ナナメ前に走る寺谷に対し朝高は誰もマークに行かず、そのまま切れ込み角度のないシュート、外れる。決定機。前半は0−0で終了。

完全に近大ペース。個々の能力で一枚上回る上に、チームの完成度も高くはないものの朝高より上である。これははっきりこの大会を勝ちに来ている。中からの攻めが特に上手いわけでもないのだが、横への動きに対し、朝高は簡単にマークを放してしまうため、スルーパスが次々に通る状況である。

ハーフタイムで近大・福山→河原、朝高・梁→周湘。
近大は機動力重視の交代か?サイドから福山へのクロスよりも中からかき回したほうがチャンスは増えそうだ。朝高はカウンターに狙いを定めてスピードある選手を投入。

後半開始すぐに近大が押し込む。中村のドリブルを金昌が倒し、左80度20mFK。前半に入江がいいキックを見せているだけに場内の期待も高まる。カベを超えたボールだが今度はコースが甘くGK夫がセーブ。夫はキックやハイボールに難があるが、シュートへの反応はいい。一方近大・岡本は非常に安定感がある大会トップクラスのGKだ。CKのこぼれを近大シュートもブロック。4分クロスに河原が力強くDFの前に体をこじ入れてシュートも右に外れる。7分には右CKで長束のボールが長谷川の頭にかする。カウンター狙いの朝高も周湘が巧みなドリブルでカウンターの基点になろうとする。本山を思わせる細かいドリブル。しかし最後には近大が止めるシーンが続く。相手の素早い寄せに対し孫景や金孟は引き球や切り返しを多用するがスピードが落ちてしまいカウンターの威力もなくなってしまった。周のようにもう少しトラップで工夫すれば・・・・・・。15分、近大・入江のFKで裏に抜け出した長束がフリーヘッドも上に外れる。決定機。朝高またもマークミス。21分、右に開いた孫景から久しぶりにいい形でのクロス、FWの上を通過。22分、正面35mから金孟が意表をつく弾丸FK。23分、朴ホンス→朴チュンソン。そのままLHに入る。なかなか俊足。24分、近大・中村が裏に抜け出しかけるが、安が戻ってクリア。24分、近大・中村→サイフク。なお私の席からはメンバー表が見えないので字は分からない。スタメンは確認済み。28分、クロスのこぼれをRB田中ロングシュート。地味ながらタフな上下動を繰り返すいい選手だ。選手権で活躍した山口の控えというのももったいない。実力でポジションを奪ったのかも。朴チュンソンはスペースをもらえば素晴しいダッシュを見せる。LBタイプか。29分、長束が右クロス、ファーに流れるサイフクがフリーで折り返し、河原が押し込む。ついに近大先制!朝高は近大の横の動きに対しマークがルーズだった。31分、孫湘→チョンテスン。上半身がたくましく見るからにパワフル。ただオーバーウェイト気味で見るからに走れそうにない。空中戦に強いが、近大のフォアチェックの前に朝高はパワープレーに行けず、そのまま後半35分を終了。近大が1−0で勝ち、決勝に駒を進めた。

現時点でのチーム力でははっきり近大が上で順当勝ちといっていいだろう。個々の能力が高く、ある程度チーム作りも進んでいる。ただ朝高との力の差を考えると、1−0は物足りない。やはり中央からの攻めは不得手だ。シンプルなサイド攻撃とセットプレーだけでは苦しい。GK岡本、CB長谷川、森、MF長束、入江と好選手が多い。

朝高は明らかにチーム作りの基礎段階で守備が組織されていなかった。何度近大FWをフリーにしたことか。ゾーンの理解度や連携に難があるだけでなく声が出ていなかった。また今年はタレント的にも近大に一歩譲る印象。しかし孫湘や周など好選手や他校ではなかなか見かけない個性的な選手もいて、相変わらず観ていて楽しいチーム。プリンスリーグまでにどう整備するか。




大阪高校新人戦決勝 芥川−関大一
2月21日(土)鶴見緑地 13時 ピッチ悪 晴 無風


芥川                関大一
−−−西村−−城野−−− −−−品川−−西村−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−向−−−−−−
別小−上田−−高槻−南部 −田中−−小椋−−古賀−
久保−渡部−−岡田−長野 樽井−久野−−寺野−佐藤
−−−−−十河−−−−− −−−−−中山−−−−−

芥川は中盤・最終ラインともフラット。例年通りゾーンで守る。横の受け渡しはまずまず。ラインコントロールや組織的な中盤のプレスなどはなく、チーム完成度は朝高と同等かそれ以下と言う印象。西村はトップから引いて受けてのドリブルが武器。

一方の関大一はCB久野(大阪選抜候補)が10番をつける。ゾーンだが、局面での受け渡しは曖昧。逆サイドの動きなど、約束事は芥川よりはるかに徹底されているので個人の戦術眼の問題か。中盤のプレスや組織的なパス回しなど、完成度の高いチーム。小椋がFK担当。田中がレフティー。品川がCFで快速西村が右から切れ込む。

序盤は芥川が個人のドリブルやワンツーなど局面打開力の高さでリズムを作る。細かいタッチで先手を取るいかにも高槻なドリブル。7分、南部のクロス、空中戦では関大一が圧倒的に高いが、ファーへのこぼれを別小シュート。しかし9分、左サイド浅い位置での関大一FKでキッカー小椋の前に走りこむ選手に誰もつかずサイドからフリーでクロスも何とかブロック。あまりに集中力に欠けた。また芥川は声が出ていない。関大一はフリーならば丁寧なパスを出せる小椋を起点に左足クロスが武器の田中やある程度の技術を持つ向などの個性が噛み合い、中盤が機能している。一方で守備は弱く、二人で囲い込んでも打開されるシーンも目立つ。16分、関大一左CKで小椋のキック、ファー大外に一人余っているが芥川は気づかない。そこに合わせ、フリーでのヘッドはなんとかゴールラインに逃げる。続く右CKであろうことかまたもファー大外がフリー。田中の右CKに待ち構える向のヘッドがGKの頭越しに決まり関大一先制。どうやら芥川はセットプレーの守備を練習していない。ということは攻撃時もパターンなど持っていないのだろう。18分、芥川の右CK別小の低い左足キックはファーに流れる。22分、関大一右CKを大外の向に合わせるが、今度は長野が体を入れてブロック。24分、関大一・田中の足に遅れ気味のタックルが掛かり長野に警告。26分、関大一の左サイドFKで田中が前方に走る向にチョンと出す。芥川はまたも集中力に欠け誰も追わず、ドフリーでクロス、GK十河もキャッチできずにこぼれたところをシュート、ブロック。30分には関大一・西村がスピードを活かしタテ突破から決定的なクロス。直後には芥川・別小もタテ突破からクロス、これはCKへ。CKのこぼれをシュートもブロック。前半は0−1で終了。

後半は開始から関大一ペース。3分RB佐藤がタッチライン際をスピードに乗って突破し、タテに走る古賀へ、ゴールライン際からマイナスのクロスを西村が決め、完全にくずしてのゴールで0−2。5分、芥川・上田→須崎。CBに入り、CB岡田がFW、西村がLHに回りLH別小がインサイドへ。しかしイマイチ機能せず。フィジカルに優る関大一のプレスが機能し、芥川は全体が寸断された状況となる。13分、関大一・左CKでまたしても大外がフリー。視野に入れているDFがいない。ただ止まって待っている選手がフリー
という状況が繰り返されるという事態はチーム完成度の問題ではなく、何とかしなければいけない。田中のキックを大外の久野が折り返し樽井が決めて0−3となった。15分芥川・LH西村→下浦がLBに入り、突破力のあるLB久保がLHに入る。ゼネラリストの多いチームだ。この交代でやや芥川はスムーズになる。が勝負は決まった。最後までみると長居のキックオフには間に合わない。ということで会場を後にする。

関大一はとても新人戦とは思えない完成度である。大冠と同等か。それ以上の力がある。現時点では近大附より上だろう。タレント的には近大附に一歩譲る印象で、チームとしての伸び代はライバルほどではないだろうが、これだけ強いと冬も優勝戦線に絡んできそうだ。

一方の芥川もタレント的には関大一にひけを取らないが、リーダーシップのある選手が欲しいと思う。チーム完成度は低いがそれでも朝高よりやや上か。冬も確実に優勝戦線に加わるだろう。結局準決勝はともにこの大会での勝ちにこだわるチームが勝ちあがった。率直なところ近大附にせよ関大一にせよプリンスリーグでは苦戦必至だが、いい経験にはなるはず。どちらが出るにせよ大阪代表として頑張ってほしい。


U−23日韓戦はまた後日。というかアップしないかもしれない。全体にキレたことを書いているので修正のしようがないからだ。


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T.K. [MAIL]