2004年01月11日(日) |
全日本ユース(U−15)フットサル大会 2日目 準々決勝 |
全日本ユース(U−15)フットサルも2日目。午前中にグループリーグを消化し、2時間の休みを挟んで午後から準々決勝を行なう。午前は捨てて午後から観戦することにした。
会場の大阪市立体育館へは御堂筋線本町で中央線に乗換える。。東京や名古屋にもJRの「中央線」があって大抵混んでいるが、こちらは普通空いている。しかしこの日はやや違った。大阪港からの列車が混んでいる。しかも客層が独特というか個性的だ。つまりは単純にコミケ・トレインだったのである。まあコスモスクエア行きは空いていたのでいいか。
午前中のグループリーグにより、既に準々決勝のカードが決まっている。ここからは第1ピッチと第3ピッチでゲームが行なわれる。真ん中の第2ピッチは使われないので一方のピッチがアウト・オブ・プレーになった際に他方のゲームを観ることは出来るが、細かいプレーの際に背番号の区別はつかない。
例年第2ピッチを見下ろす正面スタンド中央部は記者席としてテープが張られ、客も選手も座ることが出来なかった。しかし記者なんて一人もおらずナンセンス。今年から撤去されている。反対サイドには関係者席あり。
第1試合はどちらも興味深いカードで迷ったが、ユニオン−大分をメイン観戦。きっちりフットサルの基本を身につけているユニオンに対し、大分は体育館サッカーの域を出ず、必然的にユニオンがじっくりボールを回し、大分が引いて守りカウンター狙いとなる。しかし意外と大分の守備も要領が良く、身体能力、特にスピードがあるためカウンターの威力は十分。マガリェンス・リシャルドソン監督はもしかするとフットサルの経験があるのかもしれない。ユニオンの得意パターン、サイドでのパス回しから一気に逆サイドに出してシュート!も大分は研究しているようで、一人が逆サイドをケアし、カットもしばしば。ユニオンほどではないもののメンバーチェンジもよく行い、最後までスタミナも持ちそうだ。大分の粘り強い守備が続く。大分先制、ユニオンが追いついた1−1でカウンターから桜井君→左の原野君→中につめた白方君と鮮やかなカウンターで大分再びリード。ユニオンもエース・門間君が決めて追いつくが、すかさず大分もエース・桜井君が決めて2−3。ここでユニオンがタイムアウトを取る。ここまで攻守の切り替えが遅く、大分にカウンターを許していた上に守備時のチェックも甘かったユニオンだが、ここから高い守備意識で大分を封じるようになる。前半は2−3で終了。後半はユニオンがシュートチャンスを何度も迎えるがシュートミスが多い。じりじりした展開が続いたが、ついに熊谷君が決めてユニオンが3−3と追いつく。ここで大分はタイムアウトを取る。しかし再開後すぐ和田君のシュートがバーを叩く。勢いに乗ったユニオンの攻めに対し大分もよく粘り延長戦へ。後半はユニオンが瀬戸君に当ててサイドを使うプレーから素早いクロスが決まり、大分はカウンターもさせてもらえない状況に陥った。しかし実に粘り強いチームだ。延長は開始早々に瀬戸君がVゴールを決めてユニオン勝利。実力的には順当だと思う。ただ大分の粘り強さは今後に繋がるものだ。技術や戦術(フットサル戦術理解に歴然とした差があったことは大分の選手たちでさえも認めるはずだ)よりも重要なものを大分から感じた。
大分はフットサルの練習は大会前に週1回のペースで行なった程度だという。U−15代表の片山達也君などの有力選手がエントリーしていないが、別にケガだとかメンバーを落としているわけではないそうだ。
準々決勝のもう一つのゲームは関東大会決勝と同じカードで、このときは高崎フットサルクラブがMALVAを破り優勝している。しかしMALVAの方曰く、「全国行きが決まってやや気が抜けてしまったが実力的にはウチが上。今度やれば勝つ」とのこと。前半は高崎の速い攻めが功を奏し2−0と折り返したが、後半はMALVAの速い攻めが爆発し、2−3と逆転し、関東大会の雪辱を果たした。MALVAは後半スピード勝負に出るが実に迫力がある。
高崎もMALVA同様に個々の選手は普段別々のチームで11人制サッカーをプレーしているという。関東大会後に選抜クラスの選手を補強し強化を図った。しかしこの日は選手7人が高校受験の為に不在という不運もあった。それでもベンチ入り12人枠は埋まり、選手交代もきっちり行なっていたが。福村将司君、新井健太君、小島俊樹君など将来が楽しみな選手も多い。
第2試合は小野中−見前FCをメイン観戦。ともに選手交代の少ないチームだし大会ももう4試合目なのでスタミナが鍵となる。小野中はよく声の出るGK高市君、パスが得意の三原君と機を見て後方からスピードあるドリブルを狙う横井君、身体能力と得点力の濱端君、頑張り屋の光宗君をほぼ固定し、初日は爆発的な得点力をみせた。この日は後方でのゆっくりしたパスからチャンスをうかがう。見前FCは抜群の技術を持つ佐藤真哉君を中心に細かくトリッキーなプレーを多用し、狭いところを突破する能力は大会随一のレベルにあるチーム。トップの加倉井君はダイレクトヒールなどワンタッチプレーがいい。まず佐藤君のパスを受けた加倉井君が素早い切り返しシュート、これに佐藤君が詰めて0−1。さらに佐藤君が角度のないところから決めて0−2。ここまで小野中は股間やちょっとした空間にパスを通されてきたが、ベンチから「股間を抜くシュート狙ってるぞ」といった指示もあって見事に対応する。小野中は横井君のFKからのシュート、(フットサルでは相手がカベを作り方を間違えない限りまず決まらない)跳ね返りを三原君が決めて1−2。さらに左を駆け上がった三原君が決めて2−2と追いつき前半終了。後半は両者ガックリと運動量が落ち、前線も動けないので攻撃にならず、ベンチからは「焦らなくてもいい、延長でもいいんだ」と声がかかる状況。まるでロッキーのように二人のボクサーが動けず突っ立って交互に威力の落ちたパンチを繰り出し、先に力尽きたほうが負け、という印象だ。スコアレスで延長突入するが状況は変わらず。たまに佐藤君がドリブルで持ち出すが、全員を抜くことは出来ない。延長後半にカウンターの応酬から三原君が右隅に決めて小野中Vゴール!準決勝進出を決めた。初日から感じていたことだが小野中の精神力は素晴しい。ストリートサッカーそのまま、という感じの見前FCは見ていて楽しいチームだった。佐藤真哉君はフットサルなら同じ時期の小笠原より上手いんじゃないか。
小野中は一つの小学校から一つの中学校へ進むため、実に息のあったチームだ。小学生時代は愛媛県内でも力のあるチームだったが、中学ではなかなか結果が出ず、県内上位には進めなかったという。しかしこの日のスターター全員が県選抜選手であり、個々の能力は非常に高い。他の部活終了後に1時間居残りの形で体育館で練習し大会に臨んだ。緊張で自滅するチームもある中、初めての全国大会でも初日から絶好調で中学部活で、しかもフットサルが盛んでない地域からのベスト4という快挙を達成した。
同時進行のもう1試合は緑東FCがピッチ内・ピッチ外ともに宝塚JFCを圧倒した。宝塚JFCはほとんど地元だが、緑東FCは熱心な保護者の方が多く詰め掛け、特に熱心な方がおり、場内の雰囲気を支配していた。この方は昨年「ケンシロウ」と複数の人から命名されている。大声で「いけけけけ(行け!)」「ゴゴゴゴゴ(ゴー!)」「シュシュシュシュシュ(シュート)」「あたたたた(当たれ!)」などと大声で絶叫するのだが、これが対戦相手にとっては非日常空間、緑東FCにとっては全くの日常空間となり、対戦相手は声も出ないのだった。13−4と緑東が圧勝し準決勝進出。
2日目 結果 グループリーグ グループA ユニオン10−4春日中 福岡中4−7宝塚JFC グループB 舘岡FC12−5Uno MALVA3−0大分 グループC 七飯中4−4小野中 高崎フットサルクラブ14−5潮岬中 グループD 見前FC7−6EXE90 緑東FC11−3FCターキー
この結果Aは1位ユニオン・2位宝塚、Bは1位MALVA、2位大分 Cは1位小野中・2位高崎、Dは1位緑東・2位見前FCが決勝トーナメント進出。
準々決勝 ユニオン4v−3大分 小野中3v−2見前FC 宝塚JFC4−13緑東FC MALVA3−2高崎
明日の準決勝はユニオン−小野中 緑東FC−MALVAとなった。
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