2003年09月06日(土) |
天皇杯大阪 準決勝 佐川急便大阪−桃山学院大 G大阪ユース−関西大 |
先週に引き続き天皇杯観戦。あらゆるタイプのチームが集うこの大会は実に私好みだ。この時期は上のカテゴリーほどコンディションが悪いので番狂わせも起きやすい。大学勢は先週もゲームをしており、夏合宿の疲労やゲーム感はある程度回復しているはず。例年通り場内放送などの選手紹介は一切なし、経費削減で切り詰めての大会運営ぶりである。
天皇杯大阪大会 準決勝 佐川急便大阪−桃山学院大 9月6日(土)長居 11時30分 ピッチ悪 曇のち晴 微風
佐川急便 桃山大 −−−−−中野−−−−− −−−−森−−姜−−−− −−岡村−−−−成田−− −−−−−−−−−−−− 松本−野口−−孫−−山崎 大西−南茂−−井上−柳田 −−川口−中垣−求衛−− 福西−江添−−木村−重光 −−−−−玉浦−−−−− −−−−−田中−−−−−
JFL佐川はこのゲームが大会初戦で、近畿国体から3週間ぶりの公式戦となる。現在JFLで4位につけており、戦力的にはもちろん大本命だ。3−4−3で3トップはポスト役の中野(草津東→阪南大)と交互に左右に入るウイングの岡村(国見→関西大→G大阪)・成田。インサイドは孫(桃山大OB)が守備的、野口(G大阪Y→大体大→大塚製薬)が攻撃的。ルーキー中垣(G大阪Y→大体大)が守備をまとめ、求衛やブラジルで数チームを渡り歩いた経験を持つ川口がストッパー。玉浦はヒガシ三冠を支えたGKだ。ボールを持てば中盤はダイアモンド型となり、多くのパスコースを作りつないで崩す。松本が左足FK、野口が右足FK担当。
一方桃山大は負傷中のCF川井のところに姜が入っている以外はベストメンバーで、ユニバー帰りの江添もスタメン。中盤もフラット気味で、攻撃の中心・南茂も守備に重点を置いたプレー。ポストプレーヤー川井のところに入った姜は本来俊足のサイドアタッカーであり、やはり俊足の森と組んで完全にカウンター狙いの起用だ。
到着時(前半30分)には井上のゴールですでに桃山大が先制していた。しかしそこからの内容は佐川が中盤を完全に支配しほとんど桃山大陣内でゲームを進めている。38分に追いつき、1−1で後半突入。
後半開始すぐ佐川が押し込み、いきなり惜しいシュートを放つ。3分山崎の右クロス、ニアの中野は桃山大二人がかりのマークで潰すが、頭に当たったこぼれを野口がヘッド、これも外れる。6分、山崎の右クロスを木村が少し触ったボールがサイドネットの外へ、あわやOG。10分、桃山大は相手CKからのカウンターで右のスペースに流れた森に絶妙のロングパスが通り、カットに行く川口のスライディングも届かず、中垣が強引なタックルも間に合わず(警告)森はニアの姜へ柔らかいグラウンダークロス、玉浦も勇気ある飛び出しで姜と激突しながら押さえる。このプレーで玉浦は負傷し、元プロの植田が入る。15分過ぎから桃山大はサイドのスペースに流れたFWが活き、カウンターを出し始める。桃山大も動きがイマイチだがそれ以上に佐川の足が重く鋭さがない。技術・戦術で圧倒するものの突破に迫力がなく、シュートにも鋭さが欠けている。16分、佐川・成田の左クロスを中野ガスルーして岡村シュート、江添好ブロック。19分、江添の素晴しいロングボールに森が左のスペースで受けドリブルからクロス、DFがクリアしたボールを南茂が左足ダイレクトボレーでサイドネットに叩き込み桃山大が勝ち越し。直後佐川は特に動きの重い10番成田→ルーキー中村(近大附→法政大)。佐川が再び押し込むがクロスの精度が低く、トップも長身選手がいないため江添・木村にことごとく跳ね返される。桃山大は快速SHも自陣に張り付き完全に守りきる構えだ。23分、27分と姜カウンターからシュート。30分佐川・ボランチ孫→長身CF秦(新居浜工→大体大)。野口をボランチに下げて3−5−2というか3−3−4に変更。31分、松本の左クロスを中野が落とし秦決定的シュート、DF(多分江添)にかすりCKへ。そのCKで秦のヘッド、外れる。佐川の選手交代の意図はパワープレーのはずだが、秦目がけて放り込まず、何故かボールを繋いで崩そうとする。さては選手達が自分のプレーに酔っているのか?秦なら江添と空中戦で五分に渡り合えるのだが・・・・・・。むなしく時間が過ぎたロスタイム、CKからのヘッドもDFが体を寄せ枠外。ロスタイム2分での25mミドルも上に外れ、桃山大が逃げ切った。
佐川はパスにこだわり過ぎた。決定力不足で動きも悪かったがそれでも十分勝てたはず。桃山大は格下であっても楽に勝てる相手ではない。試合巧者ではなかった。楽をして勝つのが試合巧者ではない。もっと連動してスペースを作らないと3−4−3の布陣の意味がないじゃないか。終盤パワープレーを徹底しなかったのも腑に落ちない。JFL4位が大学生に負けてはいけない。
桃山大は先週清明学院相手に2−1と不甲斐ないスコアを残しており心配していたが、全員が忠実にゲームプランを遂行した印象。自陣に引いてカウンターという戦いを貫いて見事な番狂わせを演じた。多分秋リーグでも阪南大との熾烈な優勝争いが見られるだろう。
天皇杯大阪大会 準決勝 ガンバ大阪ユース−関西大 9月6日(土)長居 14時 ピッチ悪 晴のち曇 微風
G大阪ユース 関西大 −−−江口−−三木−−− −−−櫻田−−森本−−− −−−−−佐藤−−−−− −−−−−−−−−−−− −家長−−寺田−−松岡− 生田−小下−−緒方−古橋 野村−−牧−−丹羽−河内 八柄−山戸−吉田−亀ケ渕 −−−−−三橋−−−−− −−−−−清野−−−−−
G大阪は1回戦の阪南大ク戦とはLBを野村に変えてきた。ボランチにはパワーに難があるもののボールをさばける寺田が下がりトップ下には先週に続き佐藤が入る。FKは寺田(右足)と家長(左足)担当。家長・松岡は突破力十分。SBは守備的、というか上がる前に家長・松岡がさっさと仕掛けるので攻撃に絡めない。2トップは長身で大学生相手でも当たり負けせず、平然とポストプレーをこなす。
関大はベストメンバーからは数人落としているが、現状でのベストか、様子見かは分からない。CB西・ボランチ宮津・FW前田(JFA特別指定選手、ユニバー代表)は本来完全なレギュラーのはずだ。中盤インサイドはともに守備的な選手。元々“のびのびサッカー”が持ち味で良く言えば各選手が自由に動き回る印象の強いチームだが、今年のチームはポジションをしっかり守りバランスを保って守る。生田が左足、古橋が右足FK担当。前田と並ぶエース森本(4年・G堺→関大一)はスピード・突破力十分で単独でも得点できる選手。櫻田(1年・清商)は上背があるがポストタイプではなく、スピード豊かな選手。
ゲームは双方の注文どおりのスタートとなった。G大阪は自陣からボールをつなぎ中盤を広く使って攻め、関大は引き気味の中盤がしっかり守り、2トップ主体のカウンターを仕掛ける。ただ中盤の守備が甘いためG大阪は左右に揺さぶり多彩な攻撃を展開。関大はSHが押し込まれてあまり素早いカウンターに加われず、サイドからはアーリークロスしか上がらない。1分、関大・生田(3年・G大阪YOB)のアーリークロスは誰もいないところへ。2分、関大カウンター、森本が牧を力強く振り切りペナ少し中の右45度シュートも上外。3分、関大・生田の左クロスはわずかに森本に届かず。4分、G大阪・松岡の右クロスは山戸がカット。9分、G大阪・家長単独ドリブルで持ち込みシュートは右外。10分、G大阪・寺田が切り込んで江口へラストパス、シュートはDFブロック。12分関大CKから櫻田のヘッドは惜しくも右に外れる。17分、関大カウンター、左で受けた櫻田が丹羽をスピードでかわし左足クロスもあさっての方向へ。21分、G大阪・左に開いた寺田を起点に家長・松岡とつなぎマーカーをかわしシュート、清野冷静に横っ飛びキャッチ。ここまではややG大阪が押し気味だが、ともに相手ゴールを脅かすシーンはない。給水タイムを挟み27分、関大・櫻田がDFのウラをつくがオフサイド。28分、G大阪・寺田の右45度30mFKはミス。関大は給水タイムを境に中盤の守りがよくなり、G大阪もパスがまわせない。30分、G大阪・家長のドリブルを引っ張って止めて八柄か小下に警告。31分、G大阪LB野村がオーバーラップ、ドリブルで仕掛けて江口へ、シュートは清野横っ飛びキャッチ。33分関大RB亀ケ渕幹のオーバーラップから鋭いクロス、森本が豪快なジャンピングハイボレーを決めて関大先制。このプレーには午睡に浸る会場もどよめいた。34分関大カウンターに行くところを河内がインターセプトから上がり江口へ、切り返しシュートはDFブロック。35分関大櫻田のスルーパスに森本が飛び出すが三橋キャッチ。38分関大、ロングボールに牧の後ろから走った櫻田が追いつきCKを奪う。G大阪もCKを跳ね返し、亀ケ渕幹のロングスローを古橋ワントラップシュート、これは三橋キャッチ。41分、家長のドリブルから三木に当て江口のシュートもヒットせず右に流れる。松岡の折り返しはDFブロックしCKへ。寺田から丹羽当てただけのヘッド。前半は0−1で関大リード。
シュート数8対4、壁FK2対1、CK1対5、クロス2対5。20分まではややG大阪ペース、20分過ぎからはやや関大ペースで全体としては互角だったといえよう。決定機は少ない。気候が穏やか(といっても30℃は優に超えている)なこともあり、眠気を誘う内容。双方ゲームプランどおりのゲームはある程度で来ているとは思うが・・・・・・。関大は櫻田がスピードで牧やSBをかき回したが、後半は確実にバテる。パスを回された中盤のスタミナも心配だ。G大阪はいきなりトップに当てたり、スペースに松岡を走らせる動きがなく攻撃のリズムが単調だった。佐藤は機能せず。関大CBを外せないなら、江口が引いて他の選手が飛び出す動きがあってもよかった。
G大阪は前半まったく機能していない佐藤を下げて大型ボランチ大野を投入し、寺田を前に上げる。関大は交代なし。1分関大・櫻田がペナ内でクロス、古橋のシュートは三橋好セーブ。2分関大、正面25mFK、生田のキックは壁に当たりCK。古橋からファーの櫻田折り返すが三橋キャッチ。5分、G大阪のCKのこぼれを松岡が拾うがクロスを目の前の相手選手に当てて奪われ、八柄が前線にフィードし飛び出した森本に合うがオフサイド。11分、G大阪・松岡から江口、上手く出して三木シュートもオフサイド。13分、関大・生田のクロスがファーの森本へ、しかしヘッドはかすっただけ。G大阪は家長が度々ボランチの位置まで下がりボールを受けてさばく。大野とのドイスボランチではなく、自分の判断だと思う。とはいえ、関大のカウンター時にはいつもいない。守備はしないので、守備的MFではなく、あくまで攻撃の舵取り役。14分関大・櫻田→前田。ついにエース登場。1点リードで森本・前田の迫力あるカウンターを狙う意図だと思う。しかし15分ロングパスに抜け出した三木が決め、G大阪同点に追いつく。17分関大浮き球パスを森本が後ろに落とし、前田がペナにトップスピードで突っ込むところを丹羽が引っ張って倒す。当然退場のシーンだが高校生に遠慮したか、主審の判定はなぜか警告止まりでG大阪は命拾いした。生田のFKは上に外れる。22分、G大阪・家長のFKは八柄が跳ね返しカウンター、前田の速いドリブルを丹羽よく見極めスライディングで止める好守備。23分関大・小下→宮津投入。中心選手を次々に入れ、関大は守りの要の西がいない他はベストとなった。24分、関大・森本を丹羽が倒すが2枚目の警告はなし。25分、関大GK清野のミスキックを拾い寺田から三木へ、シュートはヒットせず。27分、G大阪・江口→出口。関大・前田の落としを受けた緒方の飛び出しを大野が後ろから引っ張り警告。これで得た生田のFKはFWに合わない。このゲーム生田のFKはイマイチ。31分、関大・古橋→宮崎投入。宮崎もレギュラー濃厚の選手だ。33分、亀ケ渕幹の力強いシュートも外れる。34分、流れから丹羽が上がり倒され、家長のFK。しかし跳ね返されカウンター、関大LB八柄が上がるところを家長が必死に戻りチャージで奪う。やればできるじゃないか、家長。38分、関大の連続クロスも高さに優るG大阪はことごとく跳ね返す。43分カウンターの応酬から関大の左クロスを前田が決め1−2と勝ち越す。44分三橋が負傷し東と交代。この後も関大は確実に守りつつチャンスを作り逃げ切った。
後半シュート数5対8、壁FK2対3、CK1対2、クロス4対3。互角の力を持つ好敵手がお互いにある程度の実力を発揮し紙一重の差で勝負が決まった内容だった。森本のスーパーゴールは見事。しかし関大の秋はとても心配だ。強力なFWコンビの調子が落ちるようだと二部落ちの危険性もかなりありそう。G大阪はまたしても準決勝の壁を破れず。しかし普段からこのレベルの相手と公式戦で対戦できればよいのだが。プリンスリーグは率直なところ手ごたえが無いのではないだろうか?
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