サッカー観戦日記

2003年08月31日(日) 高校選手権大阪1回戦 大阪学院−槻の木 高槻北−勝山 天皇杯大阪 阪南大クラブ−G大阪ユース

前夜の雨でじわ〜と湿度の高く、日陰に立っているだけでも汗が吹き出す蒸し暑さの中、選手権予選の幕が切って落とされた。この日足を運んだ高槻北高校では午前中の2試合を観る。率直なところ勝敗は試合前から分かっている。でも私が高校サッカーに求めるものは勝負のスリルや金の卵の発掘以外に色々あるのだ。

第1試合に登場する槻の木高校は今年開校の全日制単位制高校で、全員1年生というチーム。監督は“日本のコリーナ”として知られ、国際主審として実績十分の奥谷先生。また、高槻市を含む学区唯一の単位制高校ということで好選手が集まる可能性もあるかもしれない。このゲームが歴史的な公式戦デビューとなる。対するは府内でコンスタントに上位に顔を出す大阪学院である。もちろん大阪学院優位であろう。学院は赤と黒のタテライン、背中にはフェニックスの文字、槻の木は緑に白の横ラインが入り、黄文字で「槻の木」とあるが見えにくい。両チームの区別もつきにくく、ゲーム中は何度も混乱した。


高校選手権 大阪大会1回戦 大阪学院−槻の木
8月31日(日)高槻北高校 9時30分 クレー悪 曇 無風


大阪学院              槻の木
−−−八番−−七番−−− −−−八番−−十一−−−
−−−−−十九−−−−− −−−−−十番−−−−−
−十番−−十四−−六番− −七番−−三番−−十二−
十七−十二−−五番−十六 二番−六番−−九番−五番
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

序盤から学院が一方的に押し込みハーフコートマッチとなった。SBもどんどん上がり、特に左の突破力ある10番と17番(モリヤ)が絡んだ崩しからクロスが次々入る。下がり目の14番は重心が低く、力強い守備から強いキックがあり、機を見てのドリブルで突っかけ、インサイドを支配する。GKも絶えず声を出し、DFの集中も途切れず槻の木はカウンターすら出せない展開となった。しかし守備では厳しいマークを続け、組織もしっかりしておりなかなか失点しない。やはり並みの1年生チームではなかった。しかし耐えに耐えた34分、14番の直接FKをGKが何とかはじいたもののコロコロ転がってゴールイン、ついに学院先制。ここで集中が切れ、ロスタイムには10番が決め2−0で前半終了。

ハーフタイムの練習では槻の木の部員は18人〜20人くらいのようだ。

後半学院は上手く入り、いきなり攻勢に出る。1分、14番の25mミドルが決まり3点目。ここで槻の木は身体能力の高いCB9番やハートあふれる6番、センスを感じるボランチ3番を中心によく耐えるが、学院も激しいフォアチェックで槻の木を自陣に釘付けにし、サイド攻撃を繰り返す。気迫も十分で槻の木は気圧されているように見える。また槻の木は当たりではまるで勝てず、相手にキープされては他の選手を使われ、振り回されるのみ。9分、8番の上手いドリブルからの右グラウンダークロスを10番がダイレクトで決め4点目。学院は7(ナガサキ?)、19(ヤマグチ?)、16→11、18,15と同じポジションに選手3人を入れ替える。31分には8番が後方からのパスを反転シュート、見事決まり5点目。その後も終始攻めた学院が順当に勝ち、2回戦に進んだ。


高校選手権 大阪大会1回戦 高槻北−勝山
8月31日(日)高槻北高校 11時10分 クレー悪 曇 無風


高槻北               勝山
−−−十番−−九番−−− −−−十番−−不明−−−
−十四−−八番−−七番− −−−−−−−−−−−−
−−−−−六番−−−−− 十二−八番−−十四−七番
三番−四番−−五番−二番 二番−四番−−六番−十三
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

予定より少し早めにキックオフ。勝山はボールの近くでは頑張るのだが、少し離れたところでは集中力が足りず、ゴール前でのマークもルーズだった。おそらく組織的な守備練習はほとんどしていない。2列目の飛び出しにボランチがついていかず、数的不利のケースも多い。開始5秒、ボールを受けた8番が一直線にゴール前に進みフリーで決め先制。1分、勝山GK、ゴールキックを20m前に立っている高槻北10番に当て、10番が飛び出したGKをひきつけ9番に出すが、正面5mフリーを外す。2分、10番胸トラップから頭越しの右足シュートがサイドネットに決まる。3分、ペナスポット付近にこぼれたボールを9番が決める。しばらくシュートミスが続き追加点を逃す。しかし10分、8番がアウトサイドで決め4点目。11分、スルーパスを9番が決める。12分、14番の左クロスを9番が決める。勝山DF陣は大人しいが、13番がおそらく自分の判断でスイーパーに入り、味方に指示を出し、守備の秩序作りを始める。17分、CBの5番が流れの中で上がり、フリーで決める。19分、右から崩し、8番が中へ出し、10番がペナ外から決める。20分、右クロスに二人フリーで抜け出し14番が決める。ここまで9−0だが、高槻北のシュートが勝山DFに当たるシーンも増えており、序盤よりは明らかに勝山の守りはいい。21分、左クロスに9番のヘッドがゴールネットを突き破る。(最初から破れていた)22分、7番シュートのこぼれを10番が決め11点目。この辺りからセンスのある勝山13番のカバーリングが光るようになる。つまりまかりなりにも勝山DFが高槻北攻撃陣をマークするようになり、13番がカバーの狙いをある程度絞れるようになったのだ。終盤にも3番の左クロスをペナ右コーナー付近で10番が見事なボレーを決め12−0で前半終了。

高槻北は左利きのテクニシャン10番を軸にボールをどんどん動かし、圧倒的に攻め続けた。がむしろ勝山の守備は徐々に整備されていく様のほうが興味深い。2週間後にもう一度対戦したら、前後半で10失点くらいで済むかもしれない。高槻北の出来を確認して、会場を後にした。天皇杯大阪予選を観るために。


天皇杯大阪大会には例年大阪のチームのうち、JFL、関西社会人リーグ最上位、大阪社会人選手権覇者(府リーグ以下)、大学上位2校、高校1位、クラブ1位が出場することになっている。ただし阪南大が総理大臣杯に準優勝しシードで本大会出場を決めたため予選には出場せず、代わりに関西大が出場する。阪南大クラブは学生を社会人チームとして登録し、公式戦に出場させるというチームで、関西では大体大などの先例がある。近年でも鹿屋体育大クラブが、体育会サッカー部をさしおいて天皇杯本大会出場を果たしたこともある。阪南大クラブが阪南大Bチーム並みの実力を持っていれば、G大阪には99%勝機はあるまい。しかし阪南大クラブの公式戦の結果を見るかぎり、Bチームほどの力はなさそうだ。阪南大はIリーグに3チームエントリーしており、事実上のEチーム以下かもしれない。


天皇杯大阪大会 1回戦 阪南大クラブ−ガンバ大阪ユース
8月31日(日)長居第2 14時 ピッチ並 晴 弱風


阪南大クラブ            G大阪
−−−中澤−−十三−−− −−−江口−−三木−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−佐藤−−−−−
鍋谷−四三−−二六−七三 −家長−−寺田−−松岡−
四六−四四−−五番−高橋 森山−−牧−−丹羽−河内
−−−−−不明−−−−− −−−−−三橋−−−−−

立ち上がりはG大阪のほうがいい。いつものようにパスをつなぎポストに当て、前を向いて次のプレーに入るサッカーができている。2トップもCBも当たり負けせず、中盤は相手に当たるスキを与えない。一方阪南大クは技術面で物足りず、CBのフィードも中での繋ぎも不正確で、伝統のサイド攻撃も不発だ。組織面でもさえず、プレスが効かない。そのためラインコントロールが甘くなり、トップに楔が入ってしまうのだった。7分、家長が左から右へ一気にサイドチェンジ、松岡大きな切り返しから中へクロス、不正確だったがポスト直撃。9分、松岡切り返しでLB46番をかわしゴールライン際ペナに少し入ったところからマイナスのクロスを江口へ、しかしすぐ囲まれシュートならず。12分、家長の後方からの浮き球パスを三木、DFを体でブロックしながら受けてシュート、見事決まりG大阪先制。10分過ぎから阪南大クも落ち着き、サイド攻撃を繰り出す。20分にはRH73番のクロスに13番が突っ込むがシュートは当たり損ねる。これが最初の決定機。22分、家長のクロス、三木に惜しくも合わず。26分、鍋谷の左クロスが高さのある中澤に頭に合い阪南大ク、同点に追いつく。28分、この試合キレている松岡が単独ドリブルからシュート、阪南大ク辛うじてCKに逃げる。31分、阪南大ク、26番から73番へ、森山を引きつけタメにタメてRB高橋へ、トップスピードでタテに進みクロス、またも中澤のヘッド炸裂で阪南大ク逆転。この時間帯から阪南大クペースで進み、サイド攻撃が続く。左CKから高橋のヘッドがマウスを襲うが、G大阪DFクリア、さらに鍋谷のクロスがファーでフリーの44番へ、しかしスタンディングヘッドはまさかの枠外。42分、河内のフィードを三木が落とし、家長25m右足ダイレクトで決めG大阪2−2と追いつく。流れと無関係というか、唐突なゴールだった。

後半も入りはG大阪のほうがいい。阪南大クは実戦慣れしていない感じだ。2分、22mFK寺田のキックは大きく右にそれる。3分には松岡の右クロスが三木へ、しかしトラップは流れてしまった。さらに寺田のスルーパスを三木、DFを体でブロックしながら受けシュート、前は開いていたがポストに当たる。6分、G大阪のGK三橋へのバックパスに阪南大ク、中澤もよく追いかける、三橋はキックを中澤に当ててしまい、中澤は冷静にGKの上を抜くシュートを決めハットトリック達成。10分、阪南大ク54番→57番。いきなり思い切ったシュートを放つ。しかし阪南大クはどうも流れを掴めない。16分、G大阪・松岡が中にドリブルから江口へスルーパス、これを決めて3−3の同点に追いつく。19分、G大阪・佐藤→岡本。家長をトップ下に置き、岡本が左に入る。20分、ペナ右コーナー付近からペナのラインを横切るように松岡、岡本へパス、45度の角度でのフリーでシュートもGKセーブ。直後阪南大クはハットトリックの中澤を下げて俊足の90番を投入する。ケガでもないし、謎の交代である。24分、カウンターから90番が牧との1対1のチャンス、しかしややバランスを崩し突破できず。阪南大クはRB高橋→52番と交代。この暑さ(33℃)で湿度も高い悪条件だが、G大阪はペースが落ちない。むしろ阪南大クの方が落ち気味になった。27分、家長のスルーパスを三木が体を上手く使い受けるがシュートは枠から外れる。30分、江口のシュート、これも枠外。直後寺田、三木へのパス、52番がよく戻り体を寄せて防ぐ。31分、CKのこぼれを家長が狙うが宇宙開発。32分、阪南大ク57番の左クロスを90番ヘッド、三橋左手1本で好セーブ。34分、25m右60度FK、蹴るのはもちろん家長、しかしファーにふわりと上げたボールの先には誰もいない。35分松岡の右クロスが三木へ、超決定機だったが5番のブロック、というかシュートを当ててしまう。38分、三木のスルーパスに寺田が抜け出す。飛び出したGKの上をチョコンとかわすシュートも52番が戻りながらライン手前でクリア。ピンチの続く阪南大クだが驚異の粘りでよく耐える。しかし41分、右からのFK、家長のボールが江口の頭に合いついにG大阪が再逆転。43分には三木→出口と交代しつつきっちり時間稼ぎもしてG大阪が逃げ切った。

G大阪は勝つべくして勝った1戦だった。つくづくG大阪は高校レベルを超えたチームだと思った。しかし阪南大の凄まじい選手層の厚さもまた証明された。


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