サッカー観戦日記

2003年08月15日(金) 近畿国体少年男子 大阪−和歌山 兵庫−京都

関が原を抜けるとそこはもう南国だった。とにかく暑い。自宅に戻ってもくつろぐほどの余裕もないのでそのまま高槻総合SCに向かう。今年はプログラムを市販している。一部300円。高槻での開催ということで、ある程度の売り上げが期待できるからなのだろうか?有難く購入する。

第1試合は大阪−和歌山戦。今年の近大和歌山は好チームだが、戦力的には大阪が圧倒的優位に立ち、おそらくどのような戦い方でも勝つ可能性が高い。それだけに1ヶ月後の国体本番に向け、大阪の仕上がりに注目した。


国体近畿ブロック大会 少年男子 大阪−和歌山
8月15日(金)高槻総合SC 12時 ピッチ並 晴 微風


大阪                和歌山
−−−江口−−三木−−− −−−中出−−辻尾−−−
−−−−−松岡−−−−− −−−−−−−−−−−−
−家長−−竹林−−寺田− 坂田−山本−−東−−山下
馬場−小野原−丹羽−野村 西谷−川端−−小林−秋田
−−−−−稲田−−−−− −−−−−栗林−−−−−

35分ハーフ。プログラムはやや怪しいが多分これであってます。大阪はまあ自然な、というか一番クセのない、あまり周囲から文句の出ないようなスタメン。G大阪7人。このゲームではG大阪と似たサッカー。開始時には寺田がトップ下だったもののすぐ松岡と入れ替わる猫だまし。SBは守備的。中盤はよく繋ぎ、ポスト得意の2トップに当てて受け崩す。和歌山は近大6人。サッカーも近大と同じ方向性に見えるが、組織力は格段に落ち、近大の特徴である、極端なまでのラインの押し上げも中盤での組織的な激しいプレスもない。

開始1分、丹羽のフィードを三木が落とし寺田20mシュートは枠外。いきなり決定機である。3分には家長ドリブル突破、ペナ手前で倒され、正面18mFK。小野原のシュートをGK栗林好セーブ。和歌山はプレスが甘く大阪にパスを回されてしまう。近大和歌山単独チームのほうが数段強そうだ。タレント的には上なのだが、近大は元々組織力の高いチームで、しかも昨年からあまりメンバーが代わっていないので、連携も抜群だが、選抜チームゆえその長所が消えてしまい、厳しい展開となった。国体選抜をほぼ単独チームにするか、オールスター型にするかは難しい選択だ。とはいえチーム作りに失敗したとは言えず、それなりにしっかりしたサッカーだが。5分、大阪・三木が和歌山主将のRB秋田から直接奪いGKと1対1、しかし狙い済ましたシュートはポストに当たりラインを割ってしまった。8分、今度は和歌山・辻尾が丹羽から奪うが小野原しっかりカバーし、事なきを得る。14分家長、中にドリブルから江口に当てて戻ったところを浮き球で三木へ、前が開いていたがトラップミスでシュートならず。16分、家長パスで抜け出しかけるが栗林いい飛び出しでセーブ。19分、松岡ドリブル、FWがDFの注意を引きつけ、松岡そのまま20mシュート、GK栗林はじくが、こぼれを三木が押し込み大阪先制。21分、山下のパスに中出が抜け出すがシュートは稲田が何となく触り右CKに逃げる。22分、CKを難なく跳ね返しカウンターから家長ロング、枠外。26分、家長ドリブルシュート、枠外。27分、家長のクロスを三木胸トラップで反転して川端をかわしループを決め2点目。29分、三木のポスト、江口に落としすぐ三木へ、江口はマーカーを振り切って三木の右に回りこみ左スミにループシュート、枠外。33分竹林に警告。34分、和歌山LB西谷のいい左クロス、GK稲田キャッチ。前半終わって2−0で大阪リード。

後半2分、和歌山・山本の30mのスルーパスにRH山下が抜け出し、落ち着いて決めていきなり和歌山が1点差に迫る。3分、勢いに乗った和歌山・秋田のフリーでのクロスはミスでライン割る。4分、江口のキープ、DF倒しFK。すぐに横に出し寺田ミドルも大きく外れる。大阪はシュート数は多いが枠に飛ばない。7分、スルスルと上がった竹林の左クロスに三木のヘッドが届かずかすっただけでGKキャッチ。10分、ロングボールに突っ込む中出と稲田が激突。中出負傷。警告はなし。頑丈な稲田は無事だった。12分、右の寺田から江口に当て開いた三木へ、クロス入れ江口を囮に家長に渡り、きっちり決めて3−1と突き放す。和歌山は中出・山本→吉田・大島。ケガもあるだろうがエース格の中出を下げるからには前からのプレスかと思いきや、全然行かず全体に引き気味。勝負を半ば諦め翌日の奈良戦に備えるつもりだろうか?しかし18分、馬場自陣コーナー付近でキープに行くが山下が寄せて回りこみ奪う。これを受けた坂田が右からラストパス、代わったばかりの吉田が決め1点差に詰め寄る。ズバリ采配的中!でもないか。痛恨のミスで大阪はペースダウン、和歌山は勢いに乗りこの試合初の攻勢に出る。21分、東シュート、丹羽ブロック。22分、江口ポストに入り反転シュート、これも枠外。和歌山はベンチも辻尾→西本とFWを代えて同点を狙う。「裏へ、裏へ、徹底して」大阪はややバテているようだ。三木も目の前で和歌山・秋田がゆっくり持ち上がろうとしているのをただ見ているだけでパスコースを防ごうともしない。鳥が遊ぶのをぼ〜と見ている牛のようだ。吉田・西本は快速を飛ばし裏を狙う。しかし31分、三木がドリブルで数人をかわしシュート、やや当たり損ねたがタイミングの外れたGK栗林の股間を抜け4点目。和歌山ははっきり・きっぱり気落ちした。33分、DFのミスが三木に渡り20mシュート、枠外。直後の34分、今度は三木が狙ってボールを奪い持ち込んで決めとどめの5点目。気落ちした和歌山と、これでいいや、という感じの大阪はともに残り5分決定機もなく終了。5−2で大阪の勝利。

大阪はSBが機能せず。野村・寺田の右でバランスを取り、家長・馬場の左は攻撃的と言う風ではなく、家長と馬場の連携はよくない。近畿レベルでは中盤でボールを持てるが、トップが動かないし、動き出しも遅いので国体本番では辛そうだ。

試合中、和歌山の年配の協会関係者が大阪のプレーにずっと文句を言っていた。曰く、三木や江口などのボールをキープするために手を伸ばすプレー(もちろんファウルではない)が汚いそうである。スペースへのボールに対し半分体が前にあるケースで少し手を広げるプレーやヘッドで腕を張るプレーなど、手を使ったプレーに特に反応し、「サッカーの精神を汚す行為だから許せん」とまで言うのだった。長年サッカーに関わってこられた方らしからぬ発想だ。昨日今日に見始めた方なら理解できるが。私も野球を見ていて「投手がマウンドを外し打者の打ち気を逸らす」「打者がボックスを外し投手の間合いを外す」「内角高めの(ビーンボールではない程度の)ボール球を投げて打者をビビらせる」といった、私のような素人目には汚いと思える、また一部は日本以外でも玄人に汚いとされる行為が横行しているが、これもマリーシアなのだろう。日本人はどうも臨機応変な狡賢さはやや欠けているかもしれないが、野球にも見られるような、マニュアル的なマリーシアを状況に応じて発揮する能力はあると思う。とりあえず、もっと手を使おう。この種なプレーが日本中で常識となり、その上で「許せん」というのもそれはそれで素晴しい美学じゃないですか!



国体近畿ブロック大会 少年男子 兵庫−京都
8月15日(金)高槻総合SC 14時 ピッチ並 晴 微風

兵庫                京都
−−−瀧原−−大谷−−− −−−松田−−今井−−−
−−−−−稲田−−−−− −−−−−藤本−−−−−
−新井−−池島−−関−− 坂口−佐藤−−永田−山田
金子−石澤−−河本−西谷 −−足立−岩城−浦−−−
−−−−−中山−−−−− −−−−−横井−−−−−

兵庫のスタメンは怪しい、というか放送とプログラムは少しずれていた気がする。例年通りオールスター型の兵庫選抜はスタメンの所属が実に7チーム。ベンチ入り20人が14チームに所属している。中盤はダイアモンド型で新井(滝二)も関(弘陵)も攻撃的な選手。瀧原(滝二)、がポスト、大谷(御影工)が裏を狙う。京都はサンガを軸に高体連が脇を固める。ボランチは永田(京都S)が攻撃的、佐藤(伏見工)が守備的。トップ下藤本(成美)がゲームを作る。

開始3分、中に入った新井から瀧原へスルーパスが通り、あっさり兵庫先制。開始から大谷がキレキレで京都守備陣をかき回す。5分にはその大谷のグラウンダークロスを稲田が力強く決め2点目。和歌山と比べ兵庫の連携はよい。もともと滝二は組織力に秀でたチームではないが、滝二単独チームと比べ、組織・連携で極端に落ちることもなく、しかも個々の能力で上回り、滝二単独チームを上回るなかなか強力なチームに仕上がっているようだ。稲田もヒールなどトリッキーなプレーを混ぜつつFWとからんでマンマークの京都守備陣を混乱させる。京都も藤本がアウトフロントなど多彩なキックでパスを捌くが、FWに納まらず、決定機を奪えない。13分、新井のクロスを瀧原強シュート、横井がっちりキャッチ。池島(宝塚)は力強い守備で永田にも当たり負けせず、展開力もあり、ロングシュートも武器。20分、永田の左からのFKにファーで今井が合わせるがポスト直撃。このプレーで京都もよくなる。藤本を囮に永田がゲームを作り、サイド攻撃が機能する。この時間帯坂口と10番のRB西谷(津名)の対峙するシーンが多い。31分ケガで京都・今井→森(北稜)。残り5分は兵庫優勢の攻め合いで終了。

面白いゲーム。特に兵庫は素晴しい。昨年は国体本番に出場できなかったが、今年は個々の能力の高さがチーム力に反映されている。単独チームのほうが強そうな大阪や和歌山と比べて、数段魅力的だ。力強い池島や攻撃センス、スピードのある西谷など初めて見た選手も凄かった。本番が楽しみだ。京都もいい。

このまま観ていたかったが、実はちょっとした用事があって前半だけで帰宅しなければならないのだ。100円ショップでビールとチューハイ500ml缶を5本買い、日本古来の伝統に則りビールを飲んでお盆に先祖を偲ぶのだった。


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T.K. [MAIL]