2003年06月21日(土) |
関西学生春季リーグ 1−2部入れ替え戦 第2戦 近畿大−大教大 |
本来この日は淡路島までクラセン(U−15)を観に行くつもりだったが、どうもその気になれない。妙な義務感・使命感を持って観戦はしない、というのがポリシーなので、予定は取り止めにした。心の奥からサッカーが観たい気持ちが湧き出すからサッカーを観るのだ。前向きに観たくなければ観ない。そういうわけでサッカー観戦自体に関しては生まれてこのかた倦怠期など経験したこともないのだった。毎月一週は観戦に行かない週末を作ることにしているが5月は守らなかった。だからこの週末は空けておくことにした。早朝のコンフェデ観戦もあって朝寝坊。軽く朝食を取ってからさらに寝る。軽く昼食を取って散歩に出かける。頭はぼ〜としている。考え事だか妄想だか良く分からない脳内作業を行いつつ、行き先も決めずにただ散歩している、はずだった。しかし気がつけばサッカー場からの場内放送が・・・・・・。いつのまにか萩谷近くまで来ていたのだった。確か大学サッカーの入れ替え戦があるのだった。これも運命だ、観に行こう。
京産大−大院大戦は到着時には1−2と形としては接戦だが、先週の第1戦では大院大が4−1と大勝しているので事実上4点差がついており、ゲームとしては終わっている。案の定残り時間に次々とゴールが決まり結局1−5で大院大が圧勝した。初昇格の昨秋は直ちに2部に逆戻りとなったが、今秋はどうなるか?
さて、日本のサッカーを支えてきた柱の一つが教育学部を持つ大学である。大学サッカー界を引っ張るのみならず、数多くの指導者を輩出してサッカーの普及に大きく貢献した。、競技レベルに問題のあるアメフトを除けば、大学メジャースポーツの中ではサッカーだけが教育学部を持つ大学(その多くは国公立)がトップクラスにある。つまりそれだけ質の高い選手が入学し、情熱的にサッカーに取り組み、卒業後は教員・指導者として各地で活動している者が多い。この現実はサッカー界の将来にとって大きなアドバンテージとなる。ただ大学改編で教育学部が消えつつある流れは気になるが・・・・・・。仮に国公立大学だけで全国大会を行っても関東・関西以外は大きくレベルは落ちないのではないか?関西の場合、神戸大、大市大に続く存在が大教大である。
関西学生春季リーグ 1−2部入れ替え戦 第2戦 近畿大−大教大 6月21日(土)萩谷サッカー場 13時45分 ピッチ良 曇 微風
近畿大 大教大 −−−杉本−−浅野−−− −−−宮浦−−大北−−− −−−−−江本−−−−− −−−−−長手−−−−− −−石橋−藤原−小寺−− −−天野−稲垣−中田−− 寿−佐々木−−尾内−足立 大西−御神本−三好−金川 −−−−−花水−−−−− −−−−−菅野−−−−−
第1戦は大教大2点先制後に近畿大が3点返し大逆転勝ちを収めている。 近畿大はCFに片山(1年・G大阪Y)ではなく、CBもできる杉本(2年・初橋)を起用。RBは阿部(3年・G大阪Y)ではなく足立(4年・広島Y)。トップ下に江本(3年・G大阪Y)。確実な守備を意識した選手起用か。CBは長身コンビだが、大教大2トップは小柄なドリブラーである。
大教大は全体的に小柄。CB三好(4年・富田林)は170cm以下でスタメンに180cmを超える選手はいない。GK菅野(3年・長田)は反応のいいGKだがフリーの状態で時々ミスキックを犯す。マークはいったんついたらほとんど受け渡しはしない。逆サイドのMFが必ず下がり、確実に後ろに4枚いる守備。SHもほとんど引いており、事実上7−3のカテナチオである。稲垣(4年・三島)が多少当たりに強い。天野(4年・大手前)は細かいドリブルがある。長手(2年・V神戸Y)がエース格で唯一正確なキックとパスセンスを持つ。後ろの7人は技術が低く、まずパスをつなぐことはない。FWはドリブルを徹底的に仕掛ける。
キックオフ直前は両チームとも声が出ず、重苦しい空気が流れる。ボールをつなぎ江本とSB、SHを崩そうとする近畿大だが、人数をかけて守る大教大のサイドを崩せず、逆サイドに振っても必ず大教大の選手がいるという状況である。大教大はカテナチオ的な守備をよく研究しているようで、なかなかスキをみせない。DFからのボールは不正確だがFWに繋がれば突破から強引なシュートを狙う。11分、大教大ほぼ正面からの30m弱のFK、宮浦(4年・鳴門)が左足で狙い、DFに当たってクリアミスしたボールをRB金川(4年・八尾)が狙うがDFブロック。得たCKで宮浦のボールを近畿大GK花水(3年・国見)がパンチミス、ファーで待っていた長手がダイレクトで狙うがわずかに外れる。13分、近畿大も寿(2年・G大阪Y)のクロスがファーに流れる杉本に合うが、大教大・御神本(1年・畝傍)もきっちり体を寄せ、足先だけのシュートに終わった。15分、大教大・得意のカウンター宮浦のパスから大北(4年・茨木)へ、ややシュートタイミングを逃がしDFにブロックされるが、決定機になりかけた。直後のCKでGK花水がかぶってしまい稲垣がボレー、これはDFがライン上クリア。近畿大はアーリークロスをどんどん上げる攻めに変える。21分、近畿大のロングボールに大教大CB三好がかぶり、浅野(2年・G大阪Y)が独走するところを三好が手を掛けて倒しPK。警告は無し。ピッチ内もスタンドも空気が重い。大教大応援団からの「外すぞ、外した!」と言う声だけが響く。浅野のキックはポストを叩き、GK菅野が押さえる。27分、大北が佐々木(2年・桐光)背後から迫り不意をついたチャージで奪い、宮浦へ出すが息が合わず。28分、大教大のCK、宮浦のいいボールからの空中戦のこぼれをファーの長手がダイレクトで狙い、これが御神本の足元へ、きっちり押し込み大教大先制!トータルスコアで同点に追いつく。しかし近畿大はキックオフ直後左に流れた杉本のクロスを浅野があっさり決め同点。誰も浅野を捕まえておらず、集中力不足と言う他はない。31分、近畿大CKで石橋(3年・桐光)のボールが佐々木の頭にぴったりあい、逆転。身長差がありすぎた。33分、江本のミドルがポストを叩く。36分には石橋の左クロスを江本が足で決め3点目。これもマークミス。大教大は近畿大の放り込みにDFが下がりすぎ、そうなると空中戦では勝てないのでMFも下がり、こぼれ球が拾えない上に後方からの飛び込みに対処できず、混乱状態に陥った。38分、ボールを放したあとの近畿大RB足立が大教大・天野にぶつかる。判定はなんと一発レッド。足立は不可抗力のつもりか、よけるそぶりも見せなかったので警告は当然だと思うが、やや厳しい判定だった。近畿大は藤原をRBに下げて対応。大教大は攻撃面で見せ場のなかったRH中田(3年・龍野)→柴田(1年・千里)。43分、近畿大・杉本の左クロスに小寺が飛び込み、正面5m前方全開でスライディングシュートも上に外す。普通は決まる。見所満載の前半終了。第1戦からトータルで近畿大3点リード。
後半近畿大はゆっくりボールを回し、なかなかクロスをあげない。技術の低い大教大はパスを回せず、空中戦も弱く、ただ走らされる展開。それでも6分、左クロスから柴田のヘッドがバーをかすめる。しかし7分、近畿大・浅野が大教大・大西(2年・四条畷)の甘いコントロールをかっさらい、決めて4−1となり、完全に勝負はついた。浅野は手を使って大西を押してバランスを崩したが、主審・副審から見えない巧妙な裏技だった。大教大はばったり足が止まり、近畿大がパスを20本以上つなぐシーンも出てきた。近畿大は着々と点を重ねる。大教大も宮浦の左クロスに長手が鮮やかな左足ダイレクトボレーを決めるが、結局7−2で近畿大が圧勝し1部残留を決めた。
大教大のカテナチオは戦術理解としては上出来だが集中力の欠けるシーンが何度も見られた。体力面・精神面が不足していた。日本では食わず嫌いというか、カテナチオの有効性がどうもあまり理解されていない。最近「徹底的に守ってカウンター」型のチームが少ないだけに大教大の狙いは興味深いところだ。
近畿大は前半30分くらいまでは大教大の注文どおりのサッカーをしてしまった。最初からアーリークロスを放り込むべきだったと思う。GKとCBのクロスに対する守りには危うさがあった。春リーグは最多失点だったわけだが、開幕当初感じた中央の守備の甘さは解消されず。秋に向けては山ほど準備すべきことがありそうだ。
|