サッカー観戦日記

2003年04月12日(土) 関西学生春季リーグ第1節 立命大−大体大  阪南大−大産大

いつものように摂津峡を経由して徒歩で萩谷に向かう。車も徒歩も大して時間は変わらない。公共交通ならもっとかかる。前日の雨の影響で芥川は増水し、激流とまではいかないものの普段よりも勢いを増して流れる。が、そんなことはお構いなしに花見客のグループがバーベキューだ、カラオケだ、と騒いでいるのだった。コラコラあなたたち、この近くは昨年ほんのちょっとの雨で崩れたのだよ、とかこの先は岩崩れで通行不能になっているのだよ、とか心の中でつぶやく。カラオケで騒ぐ連中はちょっと落石があれば、「市の安全対策が甘い」などと訴えるのだろうか?摂津峡のいいところはコンビニ観光地ではなく、あまり整備されすぎないところなのに。カラオケもミスマッチだ。ぬかるんだ山道に手こずりながら慎重に歩く。白滝を過ぎた辺りから、サッカー場からのアナウンスが川辺に響く。木々が取り囲む中、ぽっかりあいた頭上から降ってくるような音。サッカーが溶け込んだ自然。萩谷の楽しみはゲーム前から始まっている。最後の坂を登りきって姿を見せたサッカー場を見るとメインスタンドは50人弱。立命大の応援の姿もまだない。開幕戦だしこの10倍はほしいな、などと思っているとキックオフが迫るにつれてスタンドが埋まりだす。200人くらいか?

関西学生春季リーグ第1節 立命大−大体大 
4月12日(土) 萩谷 12時 ピッチ良 曇り


立命大              大体大  
−−−関−−−石田−−− −−−森前−−廣津−−−
−−−−−西−−−−−− −−−−−−−−−−−− 
−藤田−−渡部−−西本− 夏田−中島−−荒木−麦田
藤村−水谷−−日高−季− 椿本−前田−−趙−−才寺
−−−−−金子−−−−− −−−−−古田−−−−−

立命大の中盤は例年通りダイアモンド型で関が引いてボールを受けゲームを作る。西はどんどんスペースやゴール前に飛び出す。大体大は最終ライン・中盤ともフラットで全体に引き気味。廣津も引くことが多く森前のワントップ気味。新人の荒木(登別大谷)と麦田(星稜)が開幕スタメンを飾った。立命大ではベンチに身体能力の高い阪田(平安)や俊足・花澤(草津東)がいる。

ゲームは序盤から立命大のペースで進む。大体大は関を捕まえきれず、ここを起点に藤村の攻撃参加や西本へのサイドチェンジなどが面白いように決まる。石田へのラストパスだけはなんとか防ぐが、サイドチェンジを受けた西本のクロスにもう少し精度があればシュートにいけるシーンがいくつもあった。大体大は中盤右の麦田・荒木のところの守備が弱く再三狙われる。またセットプレーからは水谷の打点の高いヘッドが襲う。22分立命大、関とのワンツーから藤田が左サイド深くまで侵入しマイナスのグラウンダークロス、前田が辛うじて触るが、これを石田が決め先制。25分立命大カウンター、西ペナ手前右までドリブルで持ち込み、さあタテに抜いてシュートか、切り返してファーか、それとも正面の石田にパスか、というシーンでまさかの逆サイドへの展開、しかもミスキックを犯す。30分過ぎから大体大もいい流れが出てくる。才寺が中にドリブルし、開いた麦田にパスを通す。初めて完全にサイドを破るが、クロスはイマイチ。43分中島の右クロスをニアを取った森前がヘッドであわせゴール!と思いきや直前の動きでファウルを取られノーゴール。その直後またも関から藤田へ、鋭いクロスをペナ正面で西が左足ハーフボレーで決め2−0。このまま前半終了。

後半大体大は両サイドが高めとなる。CHは荒木が守備的・中島は攻撃意識が高い。森前が裏をつくシーンや夏目のドリブル突破も出てくる。7分中島のFK廣津がニアをとりヘッド、DFもしっかり寄せていて枠を外す。中島はFKだけでなくロングスローがあるがあまりスピードはなく有効ではない。さらに夏目がコーナー付近で季をかわしゴールライン上ドリブルを見せるが日高が潰す。後半序盤の大体大の攻めが落ち着くとゲームはやや膠着する。後半半ばに双方ともメンバー交代、これで勢いづいたのは立命大だった。70分石田が一瞬DFの裏をとって受けるがシュートは前田がブロック、さらに古田の好セーブなどで辛うじて失点を逃れる。77分関の右CKのクリアを拾った関がクロスと見せて中に切れ込みシュート、DFクリアがゴールインしてしまい3−0。さらに79分関のショートCKから西の上げたクロスが直接ゴールして4−0。残り時間も大体大は果敢に攻めるが決定機は作れず終了。

1部昇格の大体大としては実力を発揮できていない印象を受けた。前半は引いてはいたもののマークが曖昧だし鋭いカウンターもなく、立命大に楽をさせていた。パスを簡単に回され、次の受け手へのマークがルーズで落ち着いてトラップさせていた。中盤が引き気味なのに守備が効いていない。しかもカウンターの形もないので得点の可能性もあまり感じない。後半荒木に代わった梁はよかった。なぜスタメン落ちしてるのだろう。廣津や中島もこの日はプレーがおとなしい。
阪田はRBで出場したが機能せず。多分頭を使うサッカーをしてきていない選手だと思うが上を狙える身体能力の持ち主だけにここを頑張って欲しいところ。

立命大もこんなものではないはず。後半の2ゴールは運に恵まれたもので決定機はあまり作れなかった。前半は大体大が悪すぎた。このままでは関を抑えられれば勝てない。全体に消極的だったのは開幕戦の緊張かもしれないが・・・・・・って、まさか、立命大が?右からの攻めが物足りない。もう少しクロスなりドリブル突破なりあれば面白いのだが。優勝は厳しいかもしれない。応援は例年通り面白い。ここは例えゲーム内容が低調でも観ていて楽しいチームだ。プログラムのチーム紹介のページも相変わらずで「疲れ知らずのコンパ好きサイドハーフ三宅宏道(3年)はホクロをヒゲで隠すことを誓った」「作り物の笑顔が印象的な西望実」「いまだかつてないナルシスト副キャプ渋谷慶典」「黒く輝くファンタジスタ関雅至」と素晴らしすぎる!プログラムを読むかぎり今や同志社や関学も立命病に感染しつつあるようだ。

公式記録

関西学生春季リーグ第1節 阪南大−大産大 
4月12日(土) 萩谷 14時15分 ピッチ良 曇



阪南大               大産大
−−−阿部−−奥本−−− −−−武藤−−下田−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
永末−−梁−−更家−大西 姜−−武田−−間宮−山本
正原−−南−−深谷−川口 全−−橋本−−木田−高橋
−−−−−梅村−−−−− −−−−−中村−−−−−

阪南大は例年通り中盤・最終ラインともにフラットでラインを高くとり前線からの激しいプレスを掛ける。ラインの裏はGKが飛び出してカバー。サイドが詰まれば戻して逆サイドに展開。インサイドは梁がより攻撃的。動き出しの早いFWや両CBからのロングフィードといった特徴も変わらず。関西学生選抜の長身CF長峯やRH松浦はスタメンから外れている。開幕戦のメンバーはMF・FWともに小柄。

大産大は全体に引き気味。やはり中盤・最終ラインともにフラットで阪南大のサイド攻撃にはサイドの二人とボランチで粘り強く対応。奪ったボールはあまり繋がず、シンプルに前線に送る。

序盤から阪南大ペース。激しいプレスでボールを奪い、ワンタッチ・ツータッチのパスで相手陣に入りサイドアタック。FWが絶えずDFの裏を狙う動きを見せ、大産大CBは下がるしかない状況となる。快速永末と梁の連携が冴える左を軸に攻勢に出る。右の大西も俊足で、更家のシンプルなインサイドキックがうまく持ち味を引き出す。大産大RB高橋も俊足でLH永末のタテ突破にしっかりついていき、クロスを再三ブロック。LB全も速い。またCB橋本・木田は空中戦で阪南大の阿部・奥本に完勝し、クロスを跳ね返す。13分、阪南大・RB川口のクロスをニアの奥本ワントラップシュートも外す。直後に奥本がDFのマークを外したところにRH大西のクロス、しかし届かず。さらに17分LB正原のクロスにDFが触りG正面にこぼれるが間一髪クリア。大産大は高さでは勝てると踏んだようだが阪南大も低いクロスを入れ、惜しいチャンスを何度も作る。梁や大西がキッカーを務めるセットプレーも武器。23分中央のパス交換から奥本が戻し梁のアウトサイドシュート、外れる。さらにCKで大西のボールを深谷が圧倒的な高さでヘッド、これも外す。マーカーの橋本も深谷相手では厳しい。30分頃からややペースが落ちたものの終始阪南大ペースで前半終了。ただ意外にシュートは少なく、一本も枠に飛ばなかった。

後半大産大は山本に代えて樋高をLH、下田をRHに回し姜をトップに上げる。最初の攻めで武藤が姜に当て、戻ったボールを持ち込みシュート、これが決まる。大産大は初シュートで先制。阪南大にとってはキックオフ直後の集中力不足による悔いの残る失点。10分過ぎには右クロスから姜が惜しいシュートを放ち、大産大も20分頃までは互角の展開に持ち込む。20分阪南大は疲れの見える大西と奥本に代えて松浦と尾花を投入し、右サイドが活性化し前線からのプレスも効き始める。直後永末のクロスを尾花シュート、これも枠に飛ばず。31分CKからふわりとしたヘッドも中村がなんなくキャッチ。これがなんと阪南大の初の枠内シュート。直後にはRH松浦のクロスを受け尾花シュートもDFブロック。さらに攻勢に出るが、がっちり守りに入った大産大を崩せずシュートにいけない。42分CKから大産大がカウンターに出るところを奪い返し、松浦が低い右クロスを尾花がスルーし流れで前線にいた南が落ち着いて決め同点。辛うじて阪南大が引き分けた。

阪南大は全体に小柄で攻撃面では空中戦に全く勝てないことが響いた。長身選手はDFだけだ。また全体に一本調子でリズムの変化もなし。まるで1点ビハインドで残り10分、と言う状況が90分続いたかのようだ。梁以外に中から個人で崩せる選手がいないという弱点が出てしまった。両サイドはスピード勝負にこだわり、中に切れ込む選択が無かった。動き出しのいいFWにも中央ではパスが通らず、昨年ほどの力はないか。シュートも枠にはほとんど飛ばず。守備は昨年の大量失点が嘘のように安定しているし、早く点を取ろうと焦る必要はないはずだ。南は不調だったが全体に攻勢だったのであまり影響はなかった。

大産大の守備は見事だったが攻撃の方策が全く見えずかなり厳しい。姜の突破力は面白いが、守備に追われてしまっている。カウンターの形も見えず残留も厳しいかもしれない。スピードあるSBが攻撃面で生きれば・・・・・・。30人ほどの控え部員が応援していた。

公式記録


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