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2003年02月22日(土) Be still my beating heart


始める前に止めなくちゃ、

静かにして、私のときめく心。




業者さんと書類をやりとりするときに、
時々会う宅配のお兄さんがいる。

宅配の人にはほとんど平日は毎日会っているのだけど、
この人がくるのは三回に一回くらいだ。
最初、この人の印象はすごーく悪かった。(^^;

荷物の扱いは荒いし、愛想なんてまるでなし。
荷物受け取ったらありがとうございましたもなし。
愛想がないのはまあいいとしても、
こっちが話し掛けてもにらみつけるような
視線を返してくるのでなんだかムカムカした。
こちらは毎回笑顔で接してるんだから
せめて荷物は丁寧に扱いなさいよ、と思いつつも
にこにこしながら荷物の受け渡しをしていた。


その一方で、
この人、笑ったらかわいいだろうなあ。
とか馬鹿なことを思ってたりもした。
たぶん、この人は普段から客にはこうなのだろうから、
彼の笑顔を見る機会なんてありえないと思った。


ある日、いつものように「よろしくお願いしますね(^^)」と
愛想笑い100%で声をかけたら、
「おあずかりします」と笑顔でかえされ、一瞬ひるんでしまった。


い、いつもと違う!!!

……しかも、
……しかも……。

笑うと本当にかわいいじゃない。。。


その日から、彼は笑顔で接してくれるようになった。
私も彼に対する第一印象が悪かったことを忘れ、
彼がくるのが楽しみになった。
荷物の扱いもいつのまにか丁寧になっていたので、
やればできるんじゃーん(^^)、と思ったりもした。


でも、ある時から、
その感情がただ「くるのが楽しみ」と
いうだけじゃないことに気づいた。

私は、宅配の人がきたときは
なるべく他の人に出てもらうことにして、
彼が無愛想だったときによくやっていた荷物の引き取りにも
しばらく呼ばないことにした。
今後もかかわっていく人なのだから、
その気持ちに対して冷却期間をおかないと
いけないと思った。

その後、どうしても今日中に出さないといけない荷物があり、
コンビニに行くついでと称して近所のコンビニから
荷物を出すことにした。その日のことだった。


「あれ、どうも」

道の途中で後ろを振り向くと、彼がいた。
店の近くに荷物をもってきたらしい。
彼は私が彼のところの会社の伝票と
荷物を持っているのをみつけたようだ。

「荷物だしにきたんですか? もうちょっと待っててくれればなあ。
 俺、お宅にさっき書類届けにいったんですよ」

「ああ・・・そうだったの」

彼の顔がまともに見られない。

「○○さんに預けましたんで、よろしく。
 あ、それもってっちゃいますから貸して」

彼は軽くにこっと笑いながら
荷物の近くに手を差し伸べ、
私は言われるままに荷物を渡した。
彼は手続きをして運転席の近くにおき、
「じゃ」といって車に乗って去っていった。

私は、いつもの愛想笑いをする余裕すらなかった。
彼の車が見えなくなったあとでも、まだ顔が熱いのが
とても恥ずかしかった。


な〜んでこうなるの。
せっかく冷却期間おこうとしてるのに。。。

私は自己嫌悪に陥った。



たぶん、来年の今ごろには引越していると思うから、
そう遠くないうちに終わる縁なのだ。
それまでの間、ときどき会う配達の兄ちゃんに
でれでれしても別にかまわないじゃないか。
どうにかなりたいわけじゃないんだから、
黙っていれば誰にも迷惑はかからないのだ。

そもそも、無愛想くんが営業スマイル君になったくらいで
ころっとまいる私も私だ。



……だけど、会うたびにこんなふうになっていたら、
いずれ変なことをしそうで怖い。



早目に、嫌いになる理由を探さないと
いけないな……。


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