- different corner -
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私は昔から、人から必要とされたり、 逆に自分が相手を必要としていることを悟られるのは あまり好きではなかった。
お互いにずっと依存しあってきた両親と、 私に対する依存が強すぎた母を見ていたせいか、 誰かを必要とするのはみっともないことだと思っていた。 だから、誰かを好きになることはなかなかなかったし、 あっても何かしら理由をつけて嫌いになろうとしていた。 好きだからこそ自分の人生に巻き込みたくなんかなかったし、 みっともなくその人にすがる自分なんて想像したくもなかった。 だから、友達と一緒に遊んでいても、 次はもうないかもしれないといつも思っていた。
大人になるにつれ、自分の中の「一緒にいてほしい」という 気持ちをうまく隠せるようにはなった。 わざと嫌いにならなくていい分少しは楽になったけど、 私が「好き」だとも「一緒にいてほしい」とも言わないから 相手がすぐに去っていってしまうのだ。 最初は辛かったけど、次第になれて、 やさしくはするけどできるだけ人には深入りしないようになった。
とはいえ、自分の中の誰かを好きになる気持ちが まったくなくなったわけではなかったから、 たまにこちらの気持ちに気づかれてしまうことがあった。 そして悪いことに、相手も同じ気持ちであることに 気づいてしまうこともあった。
でも、私はその人とどうにかなりたいわけではなかった。 ただ、やさしくしたことで喜んでくれる顔が見たかっただけ。 その手や頬にふれたいなんて口に出していってしまったら 気持ちが止まらなくなってしまうから、 絶対に言ってはいけないと思った。
今までどおりのやさしい関係が保てないことを 少し残念に感じながらも、相手には そういう感心がないことをはっきりわかるように告げた。 はっきり言わなかったせいで人を傷つけたこともあるから、 進む気がないことは早目にはっきり示さないといけなかった。
愛情なんて半年程度しか持たないんだから、これでよかったのだ。 どろどろになって別れるより、 今のうちにセーブしておいたほうがいい。 そう何度も自分に言い聞かせたけど、 大抵しばらくの間はうまくやれなかったことで落ち込んでいた。
好きだと言ってくれる人と 勇気を出してつきあってみたこともあった。 だけど、彼らが必要だったのは私ではなく、 私の向こう側にいた別の人だった。 相手の選び方が悪かったのかもしれないけど、 一緒にいても一人でいるようにしか思えなかったから 相手の気持ちにはなかなかこたえられなかったし、 他の人と付き合ったところで同じ結果にならないとは 限らないから、やっぱりこういうのは無駄なんじゃないかと思える。
回りに気を使うことが多いせいか、 ずうずうしい人ほどなかなか離れてくれない。 その人に手をかけているうちに、 本当に好きな人にかける手のほうが少なくなって しまったこともよくあった。 それでもその人からおかえしがあればいいけど、 ほとんどの場合私はその場限りのお友達だ。
その場限りの友達のために 好きな人とはあまり関われなくて残念に思う一方で、 自分と関わらなくてよかったのだから、 かえってその人には感謝すべきかもしれないと思ってしまう。
好きな人には近づけない。 好きになってくれた人にも心を許せない。 好きじゃない人には好きな人以上に 時間をかけてやさしくしている。
普通は逆なのだろうけど、私はそうするのが怖い。 自分の人生にまきこんで後悔させたくないし、 相手との関係がだんだん薄れていくのを感じるのも辛い。 だから、こうでもしないと自分を守れないのだ。
傷つけたくないし、私も傷つきたくない。 だから、私の気持ちにはどうか気づかないで。 あなたにやさしくできる間だけが、私にとっては 一番幸せなのだから。
すぐに人から離れたがる私のことを、 病気だと言っていた人がいた。
たぶん、そのとおりだと思う。
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