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2003年02月03日(月) 強くなれるものをくれる人


「ああ、だめだよ。この油とり紙。
 肌に悪い成分がはいってるんだよ。
 僕のをあげるからこっち使いな」

「ありがとう〜(^^)」

彼は私と同い年なのに、お兄さんのように
何かと世話を焼いてくれる人だった。


肌にやさしい傷テープ。
ノンカフェインのコーヒー。
リップクリーム。
ペンダントのチェーン。
元気づける言葉。
成功するおまじない。
他にもいろいろ。


彼は、私の持っているものを強くしたり
守ったりするものをくれるのが上手だった。
誰にでもそうだったので、
プレゼントがうまいなあと思っていた。

彼がいろいろくれるので、
たまにはこっちからおかえししようかな、と思って
「何かほしいものある?」と聞いてみると、
彼は微笑みながら「ないよ」と答えた。

私は彼が照れてるから言えないのだと思っていた。
でも数日して、彼がほしいものがなんだったのかを知った。

彼は同じ職場のUさんが好きだったのだけど、
彼女は女性が好きな人だったので、
彼の気持ちにはこたえられなかった。
ほしいものがないわけじゃなくて、
あるけど手に入れようがないのだ。

それを知った時、なぐさめるべきなのか
何も言わないのがいいのかわからないでいた。
彼は私の様子を察したのか、
「一緒に食事にでも行ってくれればいいよ」と言ってくれた。

一度だけ、彼がUさんを見つめているのを見たことがある。
普段見たことないくらい真剣で、悲しそうだった。
でも、私が彼のほうを見ているのに気づくと、
すぐにいつもの笑顔に戻っていた。

彼はいつも誰かに気をつかっていて、
求められればなぐさめたり一緒に遊びにいったりしていた。
でも、彼がなぐさめられているのは一度も見たことがなかった。
プライベートで心を許せる友達がいるのかと思ったけれど
そういうわけでもなかったらしく、
両親とも連絡をとっていないと言っていた。
それを聞いてから、彼がなぜいつも笑顔でいられるのか
私には疑問だった。


強くなれるものをくれる人は、
誰から強くなれるものをもらうの?
守るものをくれる人は、
どうやって自分を守っているの?


必要なものをいろいろくれた彼だったけど、
その問いには答えてくれなかった。

彼と最後に会ったのは何年も前で、
今どこにいるのかはわからない。
今ごろ、どうしているのだろうか。


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