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2003年01月26日(日) |
Big Joke(1 of 3) |
彼がこの週末には会えないかもしれないというたびに 一瞬喜んでいる自分に気づく。 そして、やっぱり大丈夫だといわれてがっかりしている。 我ながらなんてやつだと思う。
去年までは私なんかが一緒にいちゃまずいんじゃないかな、と 思っていたけど、彼が今年帰ってきてからは 私って何だったんだろうとしか思えなくなってきた。 心のどこかで「別れる理由さがしてたんだから ちょうどいいんじゃないの」とニヤついた声がする。 そんなことない、と声に出そうとするけれど、 本当にそんなことないのか自分でもわからない。
初めて出あった頃の彼はいろいろなことを知っていて、 他の人と違って強くて、自分の意見を持った人だった。 他の人が何の理由もなしにメディア戦略にのせられて 惹かれているアイドルを見て 「あんなのは●●のパクリにすぎないよ。 こっちのほうがずっと本物だ」と 自分の考えに即した「本物」を教えてくれた。 それは、必ずしも私が好きなものではなかったけれど、 少数派でも自分の考えに自信を持っている彼が 好きだったから、それを好きになってみようとした。
でも、彼は自分の信じるもの以外は見ようとしない人だった。 彼の否定するものの半分以上に私の好きなものがあってとまどいもした。 でも、前の彼と別れたばかりで、 どうせこの人ととも3ヶ月も持たないだろうと思っていた。 ほんの少しの間、自分の感覚を殺せばいいだけ。 何が好きか嫌いかより、この人が少しでも長く 一緒にいてくれるかのほうが大事だった。
三ヶ月をすぎ、半年をすぎ、 一年以上たった。
最初はいろいろやさしくしてくれた彼だったけど、 だんだん本性のめんどくさがりな面がでてきた。 「前にいったあそこに行きたい」と言っても 「うちにいたほうがいい」という答えが返ってくる。 出不精ではないのだけど、余計なことにはお金を 使いたくないらしい。 海辺のドライブが好きだったけど、 彼がそのつもりがないのなら仕方がないなとあきらめた。 彼の中の「どうでもいいこと」の中に私の好きなものを いくつか入れることには何度か成功したけれど、 やっぱり一緒にいるとちょっとつらい。 同じCDを聞いていても、 彼が好きなのが二曲目で嫌いなのが三曲目だったとすると、 私が好きなのは大抵三曲目なのだ。 ほんのちょっとズレているだけ。 音楽が好きなことにはかわりないでしょ? そう何度も自分に言い聞かせた。
彼の前では好きなものを飲んだり食べたりできないし、 好きな本の貸し借りもできない。 一緒に美術館にいっても見たいものが違う。 会うたびに自分の感覚が疲弊しているような気がした。
でも、二人で力をあわせて何かをするときは お互いの欠点を補いあえるから 何かを一緒にするときは最高のパートナーだった。 問題は彼と一緒にしたいことが あまりないのが欠点だけど、 外食すると二人に出された皿は 何も残らずきれいになった。
何度か別れようとしたこともあったけど、 そのたびに、こんなふうに自分をひきとめようと する人はもういないと思えた。 好き嫌いや、考え方の違いなんてどうだっていいじゃない。 一緒にいられればいい。 私は自分の感覚を捨てることにした。 彼が私にくれるちょっとしたやさしさや 時々見せる恥ずかしそうな笑顔、 肌のあたたかさ。それだけがあればいいと思った。 だけど、それが自分にとってどんなに負担なことか その時はわかっていなかった。
To be continued...
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