雑感
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2001年12月14日(金) ユーロ統一通貨がやって来る

明日15日に国内郵便局60箇所でユーロ通貨のスターターキットが
販売される。およそ、200シリング相当のユーロ通貨が入っている
という。銀行は17日午前8時からの販売。

欧州の統一通貨構想から10年くらい経つのだろうか。オーストリアは
95年にEUに加盟してからの保守的な国情も変わらざるを
えなかった。まず夏時間の終わりが9月末から10月末の日曜になり、
土曜日のお店の取引が夕方17時にまで延長された。(以前は13時まで)
国境は事実上フリーパスになり、域内の人とモノとの往来が自由になった。
EUの政策は欧州議会や首脳会議で検討され、各国は独立性を維持しなが
らも大きな連邦性の意識をもつにいたった。そして仕上げともいうべき
単一通貨の時代があと数時間で始まる。

自国で紙幣を印刷する権利を放棄したというのは考えるとものすごく
勇気のいることだと思う。統一通貨になるということは、同じものさし
で、貧富の差がはっきり出てくる。今後はどこで買い物をすれば安いか
高いか、サービスの質が勢ぞろいするから、競争力のない企業が地域は
淘汰されていくだろう。人件費もしかり。同質で安価な労働力を求めて
企業誘致合戦も激しくなる。
旅行者にとって、よい点は、両替せずに買い物ができること。水が流れ
るごとく安いところへ移動できる。

ウィーン美術史館に、ブリューゲルの「バベルの塔」が展示されている。
人々が、一丸となって、天にも届きそうな塔を建設している作品。
神話では、人間の思いあがりを神様が怒って、人々がお互い意思の
疎通ができないようにしたとされている。

今回の通貨統合で、言葉はお互いに不自由しているけれど、通貨と人と
モノの自由往来で、欧州は再び、パッチワークのように政治、経済、
文化の面でさえ、まとまろうとしている。
このパッチワークは隙間がたくさんあるがごとく、切り取っても一つ
の作品になる。きちきちに繋いでおくと、ほころびやすいので、
すーすーして風通しのよいほうが長持ちする。
ただ、EUにいる外国人労働者(私も含めて)自由に移動できるわけでは
ない。移動には旅券がいるし、移住には労働許可がいる。
EUのメンバーカードである、オーストリア国籍を取得するかどうか、
今後生きていく上で、視野に入れなければならないだろう。

参照 ユーロと経済通貨同盟 
http://jpn.cec.eu.int/japanese/general-info/5-5-0.htm


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