電車の窓から流れる景色を眺めていると、ところどころにコブシを植えている家があって、遠くてもあの大きな花は良く目立つ。 死んだじいさまのカラオケの十八番が「北国の春」だったこともあってか、自分にとって春はコブシの白い花が呼んで来る。 ソメイヨシノは都の春、対して村の春がコブシといったイメージか。あのぽやーっとして牧歌的なところがなんとなく懐かしい気にさせる。 雨の中、霞む街の向こうの方で明かりが着いたようにコブシの花の白が見える。