2010年12月26日(日) |
いつか終わる恋のために、恋ひめやも |
※27日分の日記が収まりきらなかったので 書いていなかった26日分のスペースを使用してます。
※801注意
前置き
さて、先日からわーわー言ってる「恋ひめやも」。 CDの感想は一応全部書きたいと思っているのですが 聴いた順番に書いていくと確実に来年になってしまうので この作品だけ順番飛ばしてテンションが高い今のうちに書いちゃいます。
BL以外のCDの感想もちょいちょい言いたいので タイトルを「立花(櫻井)CD感想・CDタイトル」に改めて 気休めの検索避け「/」は今後裏名の際のみつけることにします。 こういうときカテ分けできるブログはいいよなと思うけど 書いてる本人すら過去分を遡って読むのが面倒な仕様だからこそ 気軽に書き捨てられるのがいいや。
というわけで以下感想。数えたら33番目でした。
「立花CD感想・恋ひめやも-BLCD.33」
カップリングは日野聡さん×立花さん 受けの元恋人に千葉一伸さん
攻…25歳の真面目誠実黒髪眼鏡美男子。身長180cmくらい。 普通の会社員。一人称は僕。
受…32歳高校国語教師で攻めが高3のときの担任。 160cm後半52kgのスーパーフライ級。 顔はそれなりに整ってるけどパーツが小作りのため地味な印象。
当て馬…30歳後半高校数学教師。温厚そうな男前。妻子持ち。
好き原作に攻め受け共に好きな声のキャスティング、外れのない演出。 こんな俺得幸福CDは二度と来ないだろうと思うくらい 私にとって珠玉の一枚。
こ れ は い い ! 大好き!
ただ原作からしてそこそこ人を選ぶ作品であることと、 事件も何も起こらない日常の地味BLであること、 そしてドラマCDとして非常に勿体ないと思うのですが CDだけ聴くといまいち良さがわからないのが難点。 なんで攻めが受けを好きになったのかよくわからんという。
原作自体が地の文でじわじわくる系なので そういう細かな感情の機微を音声化するのは難しかったのではないかと。 小説原作では仕方がないことですが 結構エピソードが端折られたり短縮改変されてたりする。 そのせいでフリートークでもどうして○○したんだ? と物議を醸してる事柄もあったりで なんでこのセリフを入れなかったんだ、と思うところが何箇所かあった。
2枚組5000円にしても喜んで買うところですが 尺を長くしたところで地味BLであることは変わらないので この辺が落とし所なのかなとも思いました。 私個人としてはこんな地味BLがそらもう大好きなんですけどね。
そういうわけでこのCDは小説を読んで気に入った人が 小説のハイライト部分を音声化したものとして 聴くのがベストな気がするなあ。 個人的に演出はすごく良いと思う。 メーカーが倒産してしまったので今はもう聴けませんが 試聴を聴いたときからBGMのチョイスがいいなあと思ってました。 あと原作小説の絡みは淡々とした文章なので 別段エロくない(と私は思う)のですが 音声化するとわりとエロイなと思った。 削られたエピソードは沢山あるのに何故かエロは削られてない。笑
立花さんのトーンはやや低音でテンション低め声。 うーん「黒衣の公爵」から艶っぽさを抜いたような声だろうか。 デレる前はそっけないやや硬質なトーン デレ後はデレ前と比較してやや高く、柔らかいトーンになります。 絡み演技は「不確かなシルエット」系統な気がする。 不確かな〜はあまり聴いてないので曖昧ですが。 私としてはこの立花さんかなり好みです。
そして日野さん。日野さん!! 前も書きましたが超良かったです。やられました。 普段の優しい声色とSっ気を出す演技、 絡みの攻め喘ぎにほわああああああ!!!ってなった。 この声で一人称僕の敬語攻めとか…萌え死ぬ。 神キャスティングだ。 正直未だに声が覚えられなくてバクマン見ても ? なんだけど 私の中で日野株爆上げです。
千葉(一)さんも落ち着いた男前声で素敵でした。 ほぼ立花さんと日野さんの会話で話が進むので 千葉さんの出番はあまりありません。
CDだけじゃ原作の良さは伝わらないのでは?と書いたけど 声を堪能するという意味では 立花日野ファンは聴いて間違いないCDだと思います。 お耳が幸せすぎる。 3人フリートークもそこそこ面白いです。 千葉さんが水原(受け)面倒くさい!って突っ込んだりとか 立花さんのキスマーク疑惑とか。
もう少し細かく声的な感想を言うと やはり普段誠実でいい子ちゃんの攻めが Sっ気を出すところが聴きどころではないかと思う。 「僕が女と寝たのが悔しくて、ヤキモチを焼いてるんでしょう?」 「本当に腹が立つほど強情な人だな。本気で泣かせてやりたくなる」 このセリフ大好き。 先生が「違う」と否定するのを「違わないでしょ」 「好きじゃない」と言うのを「天邪鬼」 と強い語調で遮るように言うところもすごくいい。
「僕は先生のことを、ちょっと甘やかしすぎたみたいですね」 「先生みたいな人は、たまには追いつめてやらないと駄目なんです。 そうしないと自分をさらけだせないでしょう。 僕は物事を強引に進めるのは好きじゃないけど これ以上先生に逃げ道は与えたくない」 あとここも好き。強硬手段に出る攻めにひゃっほう!ってなった。
1回目の絡みはとにかく必死な感じの攻め喘ぎに萌える。 「先生、痛い?無理?」 「え?何?」 「……先生、好き?僕のこと、好きですか?」 の言い方と声色が本当に最高だと思うんだ。 原作では好きですか?と問われて頷いた描写だけでしたが 音声では頷く動作がわからないので 喘ぎながら「う、うんっ…!」と言うセリフが入っていて それにもはげ萌えした。 このトラックもう何回リピートしたかわからない。
くっついてからのちょっと調子こいてきて ウキウキしてる演技も好きだなあ。 「もう先生に申し訳ないくらいにエロい想像ばっかですよ」 「それは、すごいエロい人ですよ。 あんなことしてくれたり、こんなことしてくれたり」 「顔は関係ありません。男はみんなロマンチストなスケベ野郎です」 ロマンチストなスケベ野郎に吹いた。 いいフレーズだ…。 先生の痴態をよく見ようとして眼鏡を掛けるシーン 原作では地の文だけだったけどCDでは 「あ、眼鏡かけなきゃ」って浮かれた声で入っていて笑った。
立花さん的にもデレ前のそっけない声もいいし デレ後の堅さがほどけた声も可愛いしで非常に満足です。 デレ前でも攻めと偶然出会って嬉しいときとか 酔っているときは油断してるのか攻めへの好意がだだ漏れで 無意識にふんわりした声出すせんせがかわゆい。 当て馬に対して 「もうそんなのどうでもいいんです。今さら会ってどうするんですか」 と冷たく言い放つ声と 恋心を募らせて「会いたい。声が聞きたい」 と言うときの声とかもすごく好きだな。 泣き演技が2回(+α1回)聴けるのもポイント高い。
ちなみにトラック6 5:18〜あたり「きれいごと言うなよっ」 の直前のSEは先生が風立ちぬ(小説本)を攻めに投げつけた音。 「本気で泣かせてやりたくなる」の後6:24〜のSEは 攻めがキスするために眼鏡を外しポケットにしまった音。
8:54頃に大容量のものを飲み込んだような ゴクリ…って音がするけど これは日野さんが自分で出してるSEなんだろうか。 どうでもいいことだがすごい気になってる。
タイトルの「恋ひめやも」の意味については 作中で以下のようなやり取りがあります。
攻めが先生に堀辰雄の「風立ちぬ」に出てくる 「風立ちぬ、いざ生きめやも」という文章は作者の誤訳か?と尋ねるシーン
>「めやもの『め』は助動詞『む』の已然形で、『やも』は反語の終助詞になる。 >『風が吹いてきた。さあ、生きていこうか、いや死のう』。 >これが堀辰雄の訳した文章の正しい意味になる。でもヴァレリーの詩を直訳すると、 >『風が吹いている。私たちは生きる努力をしなければならない』になる」 >「それだと、全然意味が違いますよね。やっぱり誤訳なんですか」 >「誤訳と言えば(〜中略)判断は人それぞれだ。その本を読んでから、自分なりに考えてみろ」
「風立ちぬ」を読んで自分で考えてみた攻め
>「『生きめやも』は誤訳じゃないのかもって気がしました」 >「主人公は(〜中略)生きていくぞって強く言いきるのは、しっくりこないっていうか。 >でも辛くても生きていかなきゃって気持ちはちゃんとある。 >そういう心の揺れを『めやも』を使うことで表現したかったのかなって」 >「誤訳だという人間もいれば(〜中略) >紫の匂へる妹を憎くあらば、人妻ゆゑに我れ恋ひめやも。この歌、知ってるか?」
>「美しいあなたを憎いと思っているなら、人妻なのにどうして恋しく想ったりするでしょうか。 >大体、こんな感じですか?」 >「正解。ここにも『めやも』が出てくるから、正しくは『どうして恋なんてするだろうか、いやしない』 >となるけど、歌そのものの意味としては、『私はあなたに恋している』に他ならない。 >『生きめやも』も『生きよう、いや死のう』が反転し、結局は『生きよう』という意味になる。 >――という考え方もできる」 >「なるほど。でもそれって国語教師の回答ですよね」 >「先生個人として、この『生きめやも』っていう言葉をどう思いますか?」 >「俺だったら普通にそのまま受け取るな。風が出てきた、さあ生きようか、 >いや、生きていけない、死のう。絶望の言葉だ」 >「後ろ向きだ」
攻めを拒絶してから攻めが会いに来てくれなくなり一人寂しく攻めを想う先生のシーン
>長月の有明の月夜ありつつも、君が来まさば我恋ひめやも。 >君が会いに来てくれたなら、こんなに狂おしい気持ちになることはないのに――。 >我恋ひめやも――。 >恋などするだろうか、いやしない。恋なんてしない。恋なんてしない。恋なんて……。 >水原(先生)は唐突に思った。頑なな心は裏返しだった。 >自分は本当に真剣に棚橋(攻め)が好きだったのだ。 >好きだから恋人になりたくなかった。いつか終わる恋なんかで結ばれたくなかった。
CD・原作共に表題は「恋ひめやも」ですが 原作は2部構成で、1部のタイトルは「いつか終わる恋のために」。 CDで言うとDISC1にあたります。 攻め視点で先生と再会、恋をしてから恋人と別れるまで。 そしてDISC2にあたる2部が先生視点の「恋ひめやも」となっています。
いつか終わる恋のために恋などするだろうか、いやしない。
恋愛感情が長続きしないことを知っている先生は 苦しい恋なんてもうしたくないと自分に言い聞かせながらも 恋心を募らせてしまう。 まさしく「私はあなたに恋している」という意味に他ならないと。
これはいつか恋が終わることを知っていて だからこそそれが怖くて恋なんてしたくないと思っている受けと 恋心が消えても暖かく続く関係性を築きたい、 幸せになる努力をしたいと思っている攻めの話なので このタイトルが本当にぴったりだなあと思って。
…ってこれCDというより原作の感想だな。
CDのブックレットに原作の後日談である 「恋ひ恋ひて」というタイトルの 書き下ろしショートストーリーが載っています。 くっついてからの先生の心境の変化が描かれていて 短いながら2人がいい感じで超ほっこりできるのですが CDではカットされているエピソードから派生する話なので 原作未読の人には多分わからないと思う。
※>で始まるグレー文字は英田サキ「恋ひめやも」より引用
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