凪の日々



■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■

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2006年06月27日(火) 借金(1)

幼馴染のRと久しぶりに電話で話した。

久しぶりに近況を愚痴りあおう(近況が愚痴しかないってとこが哀しいが)とメールじゃなく電話したら、いきなりヘビーな話だった。
借金の返済に困窮しているという話。

Rのお姉さんのお店が資金繰りに失敗して不渡りを出し、借金を背負ったそうな。
Rの実家は相談して自分達が住む家を担保にお金を借り入れ、お姉さんに工面してあげたとか。
それでも足りず、やむをえずRもいかほどかを用立ててあげた。
しかし現在パート勤めのRに自由に動かせるお金がそうあるわけでもなく。
そしてRははじめて、金融機関からお金を借りたそうだ。
その金融機関があまり性質の良いところではなかったらしい。

来月返済日が迫っているのにどうしようか途方に暮れている、と、Rはいつものように投げやりな笑い声で話す。

私達はいつもこうやって投げやりに笑いあいながら、互いの境遇を愚痴りあってきた。
父親が倒れた時。家族が不祥事を起こして警察沙汰を起こした時。祖母が死んだ時。入院した時、Rの手術に長いリハビリ生活に、あの時もあの時も。
私達は運命の流れのようなものに逆らう事もできないでいる自分達を感じながら、「でもやるしかないしねぇ」と投げやりに笑いながら泣きながらやり過ごしてきた。

Rとは気が合うわけでも仲がいいわけでもないが、互いにとても近い他人なので、家族とはまた違う面で密に思いを共有しあっている。

その長い付き合いの仲で、しかし互いにお金を借りあったことは一度も無い。
私は「親兄弟でもお金の貸し借りはしない」という主義。
お金が絡むとそれまでの付き合いが変わっていく。
その人との今までの関係は終わりだ。
これからはもう違う関係になっていく。
それでも構わないのなら、返って来ない事を前提に、あげるつもりで渡せ、という考え。

Rも勿論、私にお金を用立ててもらおうと話しているわけではあるまい。
それは分かる。現に、「貸して」なんて一言も言わないし。
でも、ここは言われなくても貸すのが友情ってものなんだろうか。
でも、それじゃRは「私に金を借りた」という事実がRにとっては負い目になるんじゃ。
私も「Rが困っている時に金を貸した」という事実が、私自身の心にどう変化をもたらすのか想像がつかない。

互いに生活に困りながらも、そこは互いに別の生活で人生なのだから、己が自身で乗り越えていくしかない、と、愚痴りあいながらも助け合ったりはしなかった。
勿論、気持ちの面では支えあっていたけれど、実際に生活面で互いに助け合う余裕なんかなかったし、自分自身の問題ではなく、家族の問題に、他人が手を貸すというのは差し出がましいし、貸されても身内の恥を晒すといった感じで、互いに良い気持ちはしないだろうというのは暗黙の了解だったし。

しかし今回の問題はRの借金の返済日。
良くも悪くも、金があればなんとかなる問題だ。
R自身が借りた金額は、私が子供の出産祝いで貰った預金を解約すればなんとか足りる金額。
お姉さんの借金や、実家の借金はどうしようもないけれど、R一人の借りた金額なら私にもなんとかできそう。
でもそれはRにとってとても失礼なんじゃ。
ここは愚痴として聞き流していいのか。Rも少しは私に期待して話しているんじゃ。いや、でもRはそんな人間じゃ。でも結婚してから状況も変わってR自身も変わっていったのかもしれないし。お金を貸したらもうRとの関係は終わりだ。もう愚痴りあう事も出来なくなる。互いに助けを期待しあう仲になったら、私達はもう互いに愚痴を言い合う事はできなくなる。きっと付き合いも終わる気がする。どうする。どうしたら。





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