凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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花が好きな叔母夫婦宅は庭から室内から花が絶えない。 叔父が「結婚した時、ひとつだけお願いした事がある」と話してくれたことがあった。 「一輪だけでもいいから、いつも室内に花を飾って欲しい」 そして叔母はそれから何十年もかかさず、室内に花を絶やさない。 庭に、室内に、叔父のためにいつも花を。
里帰りした時、叔母が出産祝いをくれた。 お返しの内祝いを何にしよう、と悩んだ挙句、全然お返しとして一般的ではないかもしれないけれど、だから、花を送った。 寄せ植えの鉢にしてもらった。 ピンクの桜草が可愛かったのでそれをメインに、後は花屋さんにお任せ。 出産の内祝いなので、赤ん坊をイメージして可愛らしい感じに。
叔母からお礼の電話。 ああでも。 叔母ってこんな話し方じゃなかったな。 こんな、頭の中の言葉を捜しながら、やっと見つけ出し、あぁこれこれ、そうそう、としゃべりだす感じ。 「歳取ると思うように言葉が出てこない」と母がぼやいていたが、これがそうか。 叔母も、確実に歳老いて行ってるんだ。
夫婦二人で土をいじり花を育て花に囲まれ 二人静かに、歳老いていっている。 「私達に何かあったらお願いね」と冗談まじりに私の兄に言う。 「実の息子は頼れないから」
私が近所なら、毎日子供を連れて遊びに行くのに。 それより従兄が結婚して子供を連れて遊びに来るのが一番幸せなんだろうけど。
結婚って 出産って 誰のためなんだろう。 もちろん、本人達の為とはわかっているけど。 それじゃ、この叔母達の寂しさはどうなるんだろう。
叔母達がいなくなったら この庭の花達は静かに枯れていくんだろうか。
暁
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