凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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掴まり立ちし始めた赤ん坊は、私を見つけると這って近寄り、足にすがって私を見上げる。 私を無言でじっと見つめる。 私が口元を笑いの形に歪めると、破顔。 ぱっと光を発するかのような笑顔になる。
気が付くと後ろから這って来る。 ひたひたと小さな手が床を這う音がする。 私を探し、近寄り、すがりつく。 私を見上げる小さな生き物。
「後追い始めたのね。一番かわいい時よね。」 奥様が言う。 そうか、これが一番可愛い時なんだったっけ。 これが、一番可愛い時なんだ。そうか。
眠りに入る前、遊び足りない赤ん坊がぐずる。 私の指を咥えしゃぶる。 温かい口腔 指にからみつく舌のぬるりとした感触。
指先から肌が粟立つ 気持ち悪い。 払いのけるも赤ん坊は眠りの淵から指を捜し求める。 たまらなくなって赤ん坊の口におしゃぶりを突っ込む。
多分、鬱に入ってるんだ私。 赤ん坊が気持ち悪いなんて。 必死に私の姿を探し、寄ってくるのが気持ち悪いなんて。 すがる小さな身体が、私を見つめる小さな目が、怖い。 なんで私に寄ってくるの。何を求めているの。何をして欲しいの。
母性本能って何よ。 そんなのがあるんなら、当然赤ん坊を二人産んだ私にもあるはずでしょ。 なら、どうしてこんなに赤ん坊が怖くて気持ち悪く思えてしまうの。
あぁいけない。鬱なんだきっと今。 ストレスがたまっているのよきっと。 何かで発散すればいいんだ。何かで。 違うことを考えよう。楽しいことや好きなこと、うれしいことを。
なんだろう。それ。
暁
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