夕暮塔...夕暮

 

 

弱くて - 2005年09月02日(金)

「これそっちに送ってもいい!?送ってもいいかね!? って電話で不安いっぱいにまくしたてるから、仕方なくいいですよって言ったら、もう翌日には送ってきたよ」 少々の呆れを含んで同期が言うので、私はたまらなく懐かしさをおぼえる。わああ、変わってないなあ…。今までのパターンから推察すると、元上司は手つかずのデータを手元に置いておく不安に耐えかねて、手放してしまいたくてたまらなかったのだろうと思う(実際、受け容れ許可が出るなり速攻で投げ出している)。けれど受け取った彼女も直近に控えた大きなプロジェクトのせいで連日の深夜残業、結局それはもう一度パスされてわたしのところにまわってきた。まあそれは妥当なので全然構わないのだけど、それにしても、私達の敬愛する人ときたら。「よわい……弱いひとだね」「うん、弱いね。相変わらず弱虫だ」彼女の方は、受話器の向こうで確認するような口調。「弱虫で、かわいいね…」私は思わずちょっとうっとりしそうになる。あ、いけない。



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きんいろの粉 - 2005年08月20日(土)

十五夜の影深く夏の隣にはきんいろの粉のそそぐ陶酔




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仕事の後夕方前に一旦帰宅、シャワーを浴びてから三十分ほどリビングで眠る。身支度して、近所に住む知人と飲みに出かける。地元のバーを開拓しましょうかという話になっていたので、とりあえず彼の案内で軽い食事を済ませた後、2人とも行ったことのないバーへ足を運んでみる。お店はかなり暗め、ゆったりしたブランデーグラスに灯されたろうそくと、古いガラスでできた琥珀色のモービルを連ねたような照明。カクテルの種類がものすごく豊富で、味もなかなか。グラスと氷の質もいい。割と気に入ったかも、また来てみようかなと思いながらもう一件寄って、並んで帰路につく。金の粉こぼれ落ちるような満月の下、ゆるやかな坂道を一緒にのぼる、そんなささいなことが大変に不思議に思えてならない。道というのはつくづくわからないものだと、学生時代のことを思いめぐらしている。


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帰省 - 2005年08月12日(金)

午前だけ仕事をした後、予定通りの新幹線に乗って、あっという間に眠ってしまう。ぐったりというかぐんにゃりというか、あまり心地好い眠り方ではないのだけれど、それでもどうにか目的地に着くと、ギャルの妹が真っ赤な外車で迎えに来てくれている。ありがとうと言いながら助手席に乗りこむ、これもいつもと同じ、のどやかな地での時間の始まり。


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視界は - 2005年07月22日(金)

きみが夏を好きだと笑っているうちはどうにか陽射しの下にいたいよ



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思い出せばいまだ視界は滲みゆく 閉じる瞼の裏の熱さよ



好きだよと閉じる瞼に嘘はない いまだ視界は滲むけれども



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目をくっきり開けるのも難しいような快晴の朝、知人宅の飼い犬を連れて、短い散歩に出る。もはや吠えることすら殆どない老犬は、犬舎から公道へと続くなだらかな坂道を下るのでさえよろよろと覚束ない。老衰をおもんばかって、散歩は10分が限度。ゆっくり行こうねと声をかけながら、夏草の匂い立つような木陰を歩く。
もうじき、ルルと別れてから一年経つ。ルルは亡くなる一週間前でさえこんな風にふらついたりしなかった、と自分の右側をふらつきながら(それでも楽しそうに)歩く柴犬を見ながら考える。だからわからなかったなどと言ってしまえば、きっと自己弁護が過ぎるだろう。そう遠くないとは思っていたけれど、あんなにすぐ来るとは想像しなかった。ごめんね。ごめんね。ごめんね。今も愛している。もっと触れてやればよかった、もっと大切にすればよかった。何かに追い込まれるように真夏の朝を立ちつくす、陽射しがあたためるのは喜びばかりではない。
生き物が、少しずつ老いていくことの意味を思う。


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凪ぐようで - 2005年07月14日(木)

きみの微笑う刹那世界が凪ぐようで こんなにも青い風を知らない



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邂逅も - 2005年07月08日(金)

邂逅も夢も傷みもきみのためにあるようだ馬鹿な話だけれど



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みどりびの - 2005年06月30日(木)

みどりびの中をくぐれば夏の風凛々と立ちてきみの名を呼ぶ




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気づいたらもう6月も終わり、銀杏のみどり葉を見上げれば、空を覆い尽くすような深さ。
今週末は母が遊びに来る、あちこち出歩くよりはのんびりしたいと言うので、岩盤浴に一緒に行ってみようと思う。時間制で区切られていなくて、ゆっくり自分のペースで楽しめる所。夕食はどこにしようかな。お昼はカレーとナンを食べたいと言っていたから、夜はお刺身とかがいいだろうか。


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鳥よりも甘く - 2005年06月02日(木)

恋を知った鳥よりも甘く歌えると思ってた頃はもう遠いけど



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午後の買い物 - 2005年05月23日(月)

近所のコーヒー豆屋さんでいつものを100g挽いて頂きながら、自宅のシンクの上、お茶やコーヒーの収まっている棚に置きっぱなしになってしまっているミルのことを考える。そろそろ仕事も減って生活ものんびりしてきたし、豆で買って帰って、毎回飲む前に挽くようにしようかなあ。随分前、割と暇だった頃は毎朝(もしくは前夜眠る前に)ミルで豆を挽いてからコーヒーをいれていたのに、忙しくなってからはそういうわけにいかなくなってしまった。…うん、そろそろいいかも。そんな風に自分に確認してみる。今度は自分で挽こう。


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棘のない - 2005年05月10日(火)

今を盛りと咲き誇っている木香薔薇を撮りたくて、午後の日差しが途切れないうちに外に出なければと思うのに、作業の進捗はどうにもはかばかしくない。あと少しと思っているうちに陽が暮れて、とろとろと甘い飴を溶かしたような色になった西の雲を眺めながら歩くと、淡い黄色の花をたっぷりつけた大木にたどり着く。たわわに結ばれた花の重みで自然にカーブを描くその姿は、地上に光を差し伸べるようで優しい。葉先の方に触れてみてようやく思い出す、そういえばこの薔薇には、棘がないのだった。


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